この契約書は、訴訟や紛争を抱えている方が、その解決に必要な費用を第三者から提供してもらう際に使用する雛型です。
「訴訟ファイナンス契約」や「TPF契約」と呼ばれるもので、近年、紛争解決の新しい資金調達手段として注目されています。
通常、裁判や仲裁には多額の費用がかかります。
弁護士費用、証人費用などが必要ですが、手元に資金がない場合、正当な権利があっても泣き寝入りせざるを得ないケースも少なくありません。
この契約書雛型は、資金提供者が紛争解決の費用を肩代わりし、勝訴や和解で金銭を回収できた場合にのみ、その一部を報酬として受け取る仕組みを定めています。
重要なのは、この資金提供は借金ではないという点です。紛争で敗訴したり回収できなかった場合でも、資金を返す必要はありません。
実際の使用場面としては、訴訟費用が用意できない中小企業経営者、相続や不動産をめぐる争いで弁護士費用が難しい個人、知的財産権の侵害で損害を受けたスタートアップ企業などがあります。
資金提供者にとっては、投資案件として紛争解決を支援し、成功時にリターンを得られる仕組みです。
契約書には、資金提供の上限額、費用の請求方法、定期報告義務、成功報酬の計算方法などが記載されています。
資金提供者が訴訟に不当に干渉しないよう独立性を確保する条項や、秘密保持の取り決めなど、公正な紛争解決を維持するための配慮も盛り込まれています。
訴訟ファイナンスは欧米で広く普及しており、日本でも認知度が高まっています。
適宜ご編集の上でご利用いただければと存じます。2024年4月1日施行の改正民法対応版です。
〔条文タイトル〕
第1条(契約の趣旨)
第2条(用語の定義)
第3条(資金提供の内容)
第4条(資金使途の制限)
第5条(資金受領者の義務)
第6条(定期報告義務)
第7条(和解及び訴訟行為に関する合意)
第8条(資金受領者による表明及び保証)
第9条(資金提供者による表明及び保証)
第10条(成功報酬金の算定及び支払)
第11条(利益相反の禁止及び独立性の確保)
第12条(秘密保持義務)
第13条(契約の終了事由)
第14条(契約違反による解除)
第15条(準拠法及び紛争解決)
第16条(一般条項)
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