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第2回 【建設業許可の要件】

著者:行政書士つばさ綜合事務所 行政書士  松野 和樹


建設業許可申請(新規)についてのコラム
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【建設業許可の要件】

建設業許可を受けるためには以下の条件が必要です。
①経営業務の管理責任者が常勤でいること
②専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
③請負契約に関して誠実性を有していること
④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
⑤欠格要件等に該当しないこと
⑥暴力団の構成員でないこと

以上の様に、6つの要件を満たす必要があります。
以下、順番に解説をしていきます。

①営業務の管理責任者が常勤でいること

「経営業務の管理責任者」とは、営業取引上、対外的に責任を有する地位にある者で、建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有している者です。
建設業は、受注した工事毎に内容に応じて、資材の購入や技術者や作業員の配置、施工管理等を迅速かつ的確に行う必要があり、このような経験をもつ者(経営業務の経験者)がいないと経営が成り立ちません。
そのため、このような経験を持つ方が、法人であれば役員(取締役)、個人事業主本人、または支配人(支配人登記されている場合に限る)として建設業者に常勤でいることが求められます。
分かりやすく言えば、建設業者での法人役員(取締役)の経験か個人事業主としての経験になります。
経営業務の管理責任者になるためには、原則として、許可を受けようとする業種に関し、5年以上の経験が必要です。
なお、7年以上の経験があれば業種を問わず経営業務の管理責任者になることができます。

ポイントとして
・建設業許可取得のためには経営業務の管理責任者が必要
・経営業務の管理責任者は法人役員(取締役)の経験か個人事業主の経験が該当する
・許可を受けようとする業種に関して5年以上の経験が必要。但し、7年以上の経験があれば業種は問わない

以上の条件に当てはまるか確認してみてください。

なお、この条件以外に経営を補佐した経験等でも認定可能な書類が残っていれば、認められるケースがあります。どのような書類が必要かについては各都道府県窓口に直接お問い合わせください。
また、経営業務の管理責任者は常勤である必要があります。常勤とは休日そのほか勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者をいいます。
そのため、非常勤役員等は対象になりませんのでご注意ください。

②専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること

「専任技術者」とは営業所毎に置く、請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から確保するために、常時その営業所に勤務する者です。
専任技術者は許可を受けようとする業種毎に必要です。但し、ひとつの営業所内であれば一人で複数の業種を担当することが可能です。

専任技術者になるためには
ⅰ)所定学科を卒業して一定の実務経験を有するもの
ⅱ)10年以上の実務経験を有するもの
ⅲ)国家資格等(~施工管理技士等)を有するもの
なお、どのような国家資格が該当するかは各都道府県窓口にお問い合わせください。
平たく言えば、国家資格等を有しているか、実務経験を有しているかのどちらかになります。
実務経験があることを証明するには、申請書の書式にある「実務経験証明書」を記載することにより証明します。
(「実務経験証明書」に記載した経験を裏付ける資料が別途必要になります)
また、経営業務の管理責任者と専任技術者は同一営業所であれば両者を一人で兼ねることができます。
また、専任技術者も経営業務の管理責任者と同様、常勤の必要があります。

③請負契約に関して誠実性を有していること

これは、「請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないこと」という条件で、法人、役員、個人事業主、支配人、支店長、営業所長等がこの条件に該当する必要があります。

④請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること

具体的には
ⅰ)自己資本が500万円以上あること
「自己資本」とは、法人では貸借対照表「純資産の部」の「純資産合計」の額です。
ⅱ)500万円以上の資金調達能力のあること
取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書により判断
資本金が500万円以下の会社は500万円以上の預金残高証明書を添付すれば条件を満たします。
もちろん、資本金が500万円以下であっても貸借対照表「純資産の部」の「純資産合計」の額が500万円以上あれば残高証明書は不要です。

⑤欠格要件等に該当しないこと

欠格要件は以下に該当すると許可を受けることができません。

ⅰ)許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。
ⅱ)法人にあってはその法人の役員、個人にあってはその本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長・営業所長等)が、次のような要件に該当しているとき。

1.成年後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2.不正の手段で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
3.許可の取り消しを免れるために聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しないもの
4.建設工事を適切に施行しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれがあるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しないもの
5.禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
6.建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの

以上を申請前に一度確認してみてください。

⑥暴力団の構成員でないこと

こちらも該当すると許可を受けることができません。

以上が建設業の許可を受けるための条件になります。
このような条件を満たしているかどうかを申請書や添付資料を通して証明(説明)していくことになります。申請書を記載する前に許可の条件を知ることで、申請書の記載の意味がわかるようになります。
そうすることで、記載漏れが少なくなり、スムーズな申請が可能になります。

<続く>

提供元:ドリームゲート

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著者プロフィール

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松野 和樹

行政書士つばさ綜合事務所 行政書士

許可手続きを単に代行するだけでなく、許可手続完了後も許可を維持するためのサポートを行うことが大きな特徴です。会社設立から建設業許可はもちろんのこと、公共工事受注に必要な経営事項審査のコンサルティング、電子入札の格付けまで、建設業に関する制度全般を幅広くサポートしています。

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