会社設立までの手順と提出資料
会社を作って起業しよう!と決心すれば直ぐに会社を設立できるのか?と言われるとそうではありません。
このページでは、会社を設立するまでの流れをまとめ、更には必要な提出資料を無料でダウンロードできる様に構成しています。
会社を設立するまでの流れは以下の通りです。
- 会社設立までの流れ
- 会社の基本的事項を決める
- 称号を決定する
- 事業目的を確認する
- 会社の実印を作る
- 個人の印鑑証明書の発行を受ける
- 定款を作成し、認証を受ける
- 出資金を払い込む
- 代表取締役を選出する
- 払込金の調査を行う
- 会社設立登記の申請を行う
ざっとみると、面倒くさそうでいろいろとやることは多そうだということがわかります。
こちらでは、特に会社設立における面倒な提出書類についてまとめ、わかりやすく解説します。上記の表でいうと、6番と10番にフォーカスしてお話します。
会社設立における必要な書類について
- 会社設立に必要な書類
-
- 定款認証のために必要な書類
- 定款
- 委任状(定款認証に欠席する発起人がいる場合)
- 収入印紙
- 登記申請のために必要な書類
- 登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 印鑑謄本
- 定款謄本
- 発起人の決定書
- 就任承諾書
- 選定書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 印鑑証明書
- 本人確認照明書
- 出資の払込みを証する書面
- 資本金の額の計上に関する書面
- 収入印紙
上記が会社設立において必要な書類になります。
必要な書類は大きくわけて2つです。それは定款と登記申請書類になります。
それぞれどういった役割でどこに提出するのかは、追って説明しますが上記の表の通り会社を設立するにあたっては、これだけの書類を用意しなければならないという認識が必要です。
上記の表、「会社設立時に必要な書類」はダウンロードが可能です。
ダウンロードしたファイルには各書類、何部必要なのかと、作成したのかどうかが分かるチェック欄を用意しましたのでそちらをご確認ください。
まずは発起人の選出
発起人とは、会社を設立しよう!と言い出した人のことを指します。
何をする人かというと定款の作成や株式の引受、割当、出資金の払込など、会社設立における一連を仕切り、動く人です。
発起人は印鑑登録する必要があり、15歳未満の方は印鑑登録ができないため、発起人になることはできません。
さらにはどのような会社にしたいのかを発起人が決定します。
下記が決めるべき事柄です。
- 本店所在地の決定
- 決算日の決定
- 会社の名前と事業目的の決定
- 資本金の決定
- 払込金融機関の決定
を発起人は決める必要があります。発起人が会社の方向性を決定し、会社を形作っていきます。
定款を作成して、認証を行う

定款とは会社の規範を定めた「会社のルールブック」です。
定款には会社経営における基本的な事項について定めておく必要があります。
どの会社にも定款の作成は必須で、特に絶対的記載事項については記載しなければいけません。
絶対的記載事項とは、必ず記載しないといけない事項で、記入漏れ・抜けがあると公証人に認証されず、会社設立ができないので注意が必要です。
同じ内容の書式を3部作成し、発起人全員分の署名・押印する必要があります。
そして、会社の本店所在地を管轄する公証役場に提出し、認証を受ける必要があります。
何故3部必要なのか?
用途が違う為、3部必要になります。
- 公証役場保管用
- 登記申請用
- 会社保存用
それぞれ1部ずつ必要となる為、3部用意が必要です。
定款の認証は発起人の立ち会いが必要です。
委任状を作成して代理人を立ててもOKですが、定款の認証は本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。
公証人とは法務大臣が任命する公務員です。
業務内容は、各種公正認書の作成や会社定款や私署証書の認証事務を行っています。また、公証人役場とは、公証人が執務をおこなう事務所のことです。
下記から、公証人役場を検索することができます。
定款の認証に必要なもの
定款認証に必要なもの
- 定款(3部)/公証人保管用、会社保存用、登記申請用の3部
- 発起人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 委任状(発起人が定款認証時に立ち会えない場合)
- 発起人の実印
- 収入印紙(4万円)
- 公証人の認証手数料(定款認証手数料:5万円(取扱は現金のみ))
定款認証に必要なもの | 部数 | 備考 |
---|---|---|
発起人の実印 | ||
発起人個人の印鑑証明書 | 1部 | 3か月以内のもの |
定款 | 3部 | 原本、正本、謄本の計3部 |
委任状(定款認証に欠席する発起人がいる場合) | 1部 | 委任状には実印を押印 |
収入印紙 | 4万円分の収入印紙 作成時に貼らないほうが無難 |
|
公証人の手数料となる現金 | 手数料:5万円 謄本交付手数料:250円 |
定款に記載する内容について
絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項でそれぞれ役割が違います。
絶対的記載事項
- 商号
- 事業内容
- 本店の所在地
- 設立の際の出資額
- 発起人の氏名または名称及び住所
- 発行可能株式総数
会社法の規定により、定款の中に必ず記載しなければいけません。上記項目の記載がない場合は定款は法律上無効となります。つまり、公証人役場で認証を受けても定款の認証は通りません。
相対的記載事項
- 現物出資がある場合にはその内容
- 財産引受(会社設立後に財産を譲渡することを予め約束している)がある場合にはその内容
- 発起人の報酬、その他特別利益の内容
- 会社設立に関する費用(定款認証の手数料など)
- 株式譲渡制限に関する規定
法律上の効力が発生します。
記載がなければ、法的には無効ということになります。必要に応じて記載しておきましょう。
任意的記載事項
- 事業年度
- 取締役の人数
- 株券の不発行
- 株主総会に関する定め
- 配当金に関する定め
法律に反しない内容であれば、会社で任意に決めた事項を記載することが可能です。
定款の書き方に関するコンテンツ
資本金の払込みをおこなう
金融機関はたくさんありますが出資金の払い込みをどの金融機関に依頼するかは、事前に決めておくほうが好ましいです。
払込取扱金融機関は会社を運営していくにあたりメインバンクになることが多く、非常に重要な決定事項です。
できればご自身が付き合いのある金融機関にするか、会社の所在地から近い金融機関にするか、長期的な視点で考え、将来融資をお願いした際に受けてくれそうなのか?ということを考えて、払込先の金融機関を決定しましょう。
払込先の金融機関が決定したら、資本金を振り込みます。
振込みにあたって注意しなければいけないことがあります。
発起人が2人以上いる場合は、誰がいくら払ったかの証拠を通帳に残す必要があります。
ですので資本金をまとめて振込むのではなく、誰が幾ら振込んだのか?を通帳に記録を残すようにしましょう。
登記申請のために必要な書類
定款の認証が無事に完了したら次に、登記申請書類を作成し、登記を行います。
会社を設立する=登記を行うと言い換えても良い程です。
登記所に登記申請を行うにあたり、必要な書類を登記申請書類といいます。
申請に必要な書類をあらかじめ把握しておいて不備がないように申請しましょう。
- 登記申請のために必要な書類
- 登記申請書
- 別紙
- 印鑑届書
- 定款謄本
- 発起人の決定書
- 就任承諾書
- 選定書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 印鑑証明書
- 本人確認証明書
- 出資の払込みを証する書面
- 資本金の額の計上に関する証明書
- 収入印紙
登記申請に必要な書類は上記の通りです。また、上記に書いた順番がそのまま登記申請書をとじる順番になります。申請書類に1つでも記入ミスや漏れがあった場合は、登記は認められません。
書類作成時のチェックすべきポイントを記載します。
登記申請書類の用紙の大きさは合わせるようにしましょう。一般的なA4サイズを利用することをオススメします。
多くの企業で一般的に使われている用紙サイズですので、まよったらA4サイズを使用することにしましょう。
文字の大きさや文字のフォントは揃えましょう。
大きさは11ポイント、もしくは12ポイントを使用し文字フォントは明朝体か、ゴシック体を使用しましょう。
見やすく、読みやすい書類にするために、この2つのルールは守るほうが無難です。
登記申請における添付書類
添付書類は下記の9種類が必要になります。
- 定款謄本
- 発起人の決定書
- 就任承諾書
- 選定書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 印鑑証明書
- 本人確認証明書
- 出資の払込みを証する書面
- 資本金の額の計上に関する証明書
添付書類において注意すべき書類があります。
本人確認証明書と印鑑証明書です。
本人確認証明書は平成27年2月以降に登記申請する際は、役員の住民票等の本人確認証明書が必要となりました。不正に他人の名前や、実在しない人の名前を使って登記をおこなうケースが増えたからです。本人を確認する証明書とは
- 住民票
- 住民票記載事項証明書
- 印鑑証明書
- 運転免許証
- 個人番号カード
等のことを指しています。
印鑑証明書については、有効期限があるということに注意をしましょう。
通常、発行から3ヶ月が有効となりますので、提出の際には発行日を確認してください。
登記申請に必要な書類はすべて綴じなくてはいけません。
しかも、その順番もきめられており、綴る順番が間違っていた場合は綴じ直しとなります。
ですので、予め綴る順番を把握し間違いのないようにしましょう。
登記申請を綴る順番は
- 登記申請書
- 別紙
- 収入印紙+貼付台紙
- 登記申請書の添付書類
となっています。印鑑届書について、綴るのではなくクリップで止めて提出するようにします。
登記申請をおこなう
登記申請は本店の所在地を所轄する登記所で行います。
登記所はコチラから検索できます。
登記申請は期日があり、一定の日より2週間以内に登記申請を行う必要があります。
一定の日とは、設立時の取締役による出資金の払込みや設立手続きにおいて法令や定款に違反していないことが調査として完了した日もしくは、発起人が決めた日になります。
また、登記期日より2週間を過ぎてしまった場合には罰則があります。
その罰則は、少額ではありますが金額を払わなければいけなくなります。
会社設立=登記と言いました。
事前に登記までのスケジュールを作っておき、その通りに進めることも大切になってきますので余裕を持った行動を取り、都度スケジュールを見返しましょう。
おわりに

このページを読んでいる方は、できるだけ早く会社を作りたい!と思っているのではないでしょうか。
会社設立を1日でも早くするために、気を付けたいポイントを「おわりに」の代わりに述べたいと思います。
発起人の数はできれば1人に
発起人は1人でもOKです。自分だけが発起人になってしまえば定款の内容は1人で決めることができます。2人よりもスピード感はあがるハズです。
取締役は1人に
取締役が自分1人であれば、書類の押印や印鑑証明に関して待ちの時間がなくなります。自分で取得してしまえば、押印も直ぐできますし時間が短縮できます。
手間を省くことができる箇所については、予め省けるようにしておけば会社設立に掛かる時間を大幅に短縮できると言えます。
本記事が会社設立における書類作成の時間短縮に貢献し、読者の皆さまを後押しできればと思います。