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よくあるトラブルと解決法

雇用契約書の書き方 フォーマット

著者:社会保険労務士行政書士 岩元事務所 代表  岩元 洋一


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不当解雇問題を未然に防ぐために

よくあるトラブル事例

労働基準法には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と定められています。
従業員の勤務態度に問題があった場合などに、「嫌なら辞めれば」、「もう明日から来なくていいから」などと不用意な発言をしてしまうことはないでしょうか。経営者としては指導のつもりでも、このような発言は、後から不当解雇だと訴えられるようなケースもあります。
正当な解雇理由がある場合にでも「解雇予告手当」は支払う必要があり、不当解雇である場合には、本来であれば得られたはずの解雇後の賃金についての金銭賠償を求めることになり、一般的には、平均賃金の3ヶ月分~6ヶ月分の請求となります.。これは「解雇」自体を不当として認めていない上での請求になります。

トラブルを防止するために契約書にどの様な工夫が必要か?

労働基準法においては、就業規則への「解雇事由」の記載が義務付けられています。
就業規則が無い場合は、雇用契約書に記載すべきです。すべての解雇理由を記載することは難しいかもしれませんが、最低でも次の項目は記載しておいたほうがよいでしょう。
(1)出勤状態が悪く勤務不熱心で、数回にわたって注意を受けても改めないとき。
(2)業務上の指示や命令に従わず業務に支障を来したとき。
(3)他の社員との協調性に欠き業務に支障を来したとき。
(4)過失等により業務に支障を来したとき。
(5)不正・不信の行為をして、社員としての体面を汚したとき。
(6)会社の秩序を乱すような噂や流言飛語を行ったとき(セクシュアルハラスメントのケースを含む)。
(7)本人の不注意または監督不行届のため災害または事故を発生させたとき。
(8)会社の資材・金品・帳簿および重要書類を破損または紛失したとき。
(9)氏名または重要なる経歴を詐り、その他詐術を用いて雇われたとき
(10)業務上の重大なる機密を社外に漏らしたとき、または漏らそうとしたとき。
(11)数回懲戒・訓戒を受けたにもかかわらず改悛が見込めないとき。
(12)刑事事件に関係して有罪の判決を受け、就業に不適当なとき。
(13)会社外の非違行為により、会社の名誉や信用を傷つけ、または重大な損害を与えたとき。
(14)正当な理由なく、会社が命じる出張、転勤、配置転換、職種変更、出向、昇進を拒んだとき。
(15)その他前各号に準ずる行為のあったとき

勤務態度等に問題があった場合には、始末書の提出や面談による注意を行ない、文書として記録を残すことが重要です。厳重注意など行って、改善される見込みがないと判断して解雇という手順を踏むことになります。

残業時間の問題を解決するために

よくあるトラブル事例

労働基準法では、「法定労働時間の8時間を超えて労働した場合、通常の賃金の1.25倍以上支払わなくてはならない」と決められています。一般的な「労働契約書の雛型」にも賃金の項目には必ず記載してあります。法律の定め通りに残業代を支払っていれば問題はありませんが、正しく残業代を支払っていない会社が多くないのではないでしょうか。

よく、「営業手当を付けているから」「年棒制だから」「フレックス制だから」と言って残業代を支払っていない会社がありますが、この場合も法定労働時間を超えた場合は、残業第を支払わなければなりません。このような未払い残業を放置していると、労務トラブルになった場合、時効になる2年間の未払い残業代を請求されてしまうことがあります。

トラブルを防止するために契約書にどの様な工夫が必要か?

残業代対策の一つの手法として「固定残業代」というのがあります。
一定額の固定残業代として支給する場合、「手当の中に割増賃金分が含まれている」ことを明記しなければなりません。また、含まれる割増賃金は「何時間分」で「何円」あるかについて明らかにする必要があります。実際の残業が賃金に含まれる時間を超える場合は、その差額を支払うことを就業規則、雇用契約書で明示することも必要です。

実態に合わせて残業時間を設定するとき、「月100時間」などと長時間とするのは、社員の不信感を生むことになります。一般的には、1か月あたり30~40時間で設定することが多くなっています。

すでに在籍している社員に対してこの制度を適用する場合には、不利益変更となるため個々の同意をとること、基本給が最低賃金を下回らないことに注意が必要です。

不利益変更の問題を解決するために

よくあるトラブル事例

「不利益変更」とは、あらかじめ会社が明示した条件より、労働者にとって不利な条件に変更することです。
業績不振等の経営上の都合により、不利益変更をせざるを得ないと判断されることもあると思います。
その際に、給料を引き下げたり、各種手当てを減らすなど、労働者にとって都合の悪い変更、つまり「不利益変更」を一方的にすることは基本的には不可能と考えたほうがよいでしょう。

個人の合意を経ずに不利益変更を強行した場合、これに反発する従業員により、無効を確認する訴訟が提起される恐れがあります。そして、裁判所において合理性なしと判断されると、当該変更は無効となります。
その結果、会社への不信感による企業内の士気が低下し業績悪化に拍車がかかってしまいます。

トラブルを防止するために契約書にどの様な工夫が必要か?

会社が存続の危機にあるような状況で無理をして給料を支払っていたら、会社は倒産してしまうかもしれません。そうなれば当然、労働者も困ります。
労働条件の不利益変更には、次のような要件を考慮して総合的な判断が必要です。
・変更の目的と経営上の必要性
・従業員の不利益の程度
・他の労働条件の改善状況
・労働者との交渉の経過
・他の社員の対応
これらの要件を満たしていない場合は、使用者の権利の濫用として無効となる可能性が高いでしょう。

会社が存続の危機にあるような状況で無理をして給料を支払っていたら、会社は倒産してしまうかもしれません。そうなれば当然、労働者も困ります。
労働条件の不利益変更には、次のような要件を考慮して総合的な判断が必要です。
・変更の目的と経営上の必要性
・従業員の不利益の程度
・他の労働条件の改善状況
・労働者との交渉の経過
・他の社員の対応
これらの要件を満たしていない場合は、使用者の権利の濫用として無効となる可能性が高いでしょう。

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著者プロフィール

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岩元 洋一

社会保険労務士行政書士 岩元事務所 代表

建設業・広告業・小売業において就業管理業務に従事し、2009年に社会保険労務士・行政書士として独立起業。 経済産業省後援ドリームゲート登録アドバイザーとして、起業支援に取り組んでいます。

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