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業種別

飲食業編/理容・美容編/ 医療・福祉編

著者:社会保険労務士行政書士 岩元事務所 代表  岩元 洋一


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飲食業編

よくあるトラブルとは?

飲食業界では店長の、「長時間労働」「名ばかり管理職」などの問題が付きもので、「時給を計算してみたらアルバイト以下だった」というようなこともよく聞く話です。
店長と少数の社員が多くのパート・アルバイトを使って、長時間労働でお店を回しているのが実情です。
店長の役割、管理監督者の定義をあいまいにしておくと、「サービス残業や不払残業」の問題につながる可能性が高くなります。

パート・アルバイトについは、飲食業界の場合、その構成割合が高く店舗運営に大きな影響を与えます。
しかし、パート・アルバイトに対する雇用契約書を疎かにしているケースを見受けます。多くの店舗では、シフトで勤務しているため業務内容や勤務時間を曖昧にしたまま採用してしまうと、後々トラブルになってしまいます。

トラブルを防止するために雇用契約書作成時の注意点

平成20年9月9日付けで厚生労働省から出された「多店舗展開する小売業、飲食業などの店舗における管理監督者の範囲の適正化について」という通達があります。
この通達では、管理監督者と判断される基準として、「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」の三点があげられています。
管理監督者と位置づけるのであれば、一般職と比較して管理職にふさわしい役職手当、基本給を支給する必要があります。管理監督者としての位置付けられないのなら、固定残業代での対応を検討する必要があるでしょう。
固定残業代として支給する場合、「手当の中に割増賃金分が含まれている」ことを明記しなければなりません。また、含まれる割増賃金は「何時間分」で「何円」あるかについて明らかにする必要があります。実際の残業が賃金に含まれる時間(たとえば30時間)を超える場合は、その差額を支払うことを就業規則、契約書で明示することも必要です。

パート・アルバイトの業務内容は、「接客および調理補助」等と記入するのが一般的ですが、「接客、調理、清掃等店舗営業に関連する業務」などと具体的に書くことにより、店舗運営に付随する業務を指示することができます。労働時間は、営業時間が11時から21時の場合は、「10時00分~22時00分のうち8時間以内(シフトによる)」と書き、具体的なシフトパターンがあればその時間を記入します。
休憩時間は、法律通りであれば「6時間超労働で、休憩45分」「8時間超労働で、休憩1時間」となります。

理容・美容編

よくあるトラブルとは?

理容・美容業においては離職率が高く、その半数以上が3年未満で退職していると言われています。退職理由としては、「業務内容の割に給与が低いから」、「1日に働く時間が長い」「休みが取れない」と、勤務日数や時間に関する事が多数です。1日の営業時間が10時間を超えるため、拘束時間が長くなる場合がほとんどです。理容・美容業では未だ徒弟制度の名残りが強く、指示などを伴った就業後の研修を労働時間として取り扱わない事業主が多いようです。その為、残業代未払い、労働保険、社会保険への未加入などのトラブルが増加しています。

トラブルを防止するために雇用契約書作成時の注意点

労働基準法では、6時間超労働で、休憩45分」「8時間超労働で、休憩1時間」が必要です。
拘束時間が8時間を超えるような場合は、途中に1時間以上の休憩時間を付与する事も考えられます。問題となるのはこの休憩を与えてもらえなかったとして、退職時に割増賃金を請求される場合です。雇用契約書には必ず、この勤務時間と休憩時間についての記載しておくことが必要です。

平日と土日で営業開始時間と終了時間が異なるような場合は、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用し、繁閑の差に応じた労働時間の設定を行うことも考えられます。
1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月の労働時間を平均して1週40時間以内だったら、40時間を超える週や1日8時間を超える労働をさせても構いません。

固定残業代として支給する場合、「手当の中に割増賃金分が含まれている」ことを明記しなければなりません。また、含まれる割増賃金は「何時間分」で「何円」あるかについて明らかにする必要があります。実際の残業が賃金に含まれる時間(たとえば30時間)を超える場合は、その差額を支払うことを就業規則、契約書で明示することも必要です。

医療・福祉編

よくあるトラブルとは?

福祉事業所では、やりがいを求めて現在の仕事を選んでいる労働者が多い一方で、社会福祉施設等については、労働基準法違反が指摘される割合が他の業種と比べ度高いとも言われています。
介護職の勤続年数や離職状況を調べたところ、約8割が3年未満、約5割が1年未満で退所しています。その多くは労働時間や勤務体制や、給与・賃金への不満となっています。

訪問介護の業務に直接従事している時間だけでなく、移動時間、業務報告書の作成時間、待機時間、研修時間についても労働時間に該当する場合があります。「労働時間」に該当する場合は、賃金を支払わなければなりません。支払っていない場合には、退職後に未払い賃金として請求される恐れがあります。

トラブルを防止するために雇用契約書作成時の注意点

介護事業所の現場で、移動・待機に要する時間、交代制勤務における引継ぎ時間、業務報告書等の作成時間、業務に関する打合せや会議等の時間、施設行事等の準備と実施に係る時間、使用者の指示に基づく研修の時間は労働時間に該当します。
介護サービスの提供に従事した時間に対して支払う賃金と、移動時間に対して支払う賃金額は、最低賃金額を下回らない範囲で、金額を決めることは差し支えありません。
その場合には、雇用契約書にその移動時間に対する賃金を記載することになります。

訪問介護の労働には、季節、時期、時間により変動もしくは繁閑差がみられる場合があります。このような事業所では、変形労働時間制を採用し、繁閑の差に応じた労働時間の設定を行うことも考えられます。変形労働時間制では、事業所ごとに、その実態に応じて1週、1か月または1年の労働時間の総枠の範囲内で、多忙な日、多忙な週は所定労働時間を1週40時間(1か月変形労働時間制の場合、常時10人未満の従業員(訪問介護員等)を使用する小規模な事業所は44時間)、1日8時間の法定労働時間を超えて定め、他方、業務量の減少が見込まれる日や週には所定労働時間を短時間に定めることができます。

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著者プロフィール

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岩元 洋一

社会保険労務士行政書士 岩元事務所 代表

建設業・広告業・小売業において就業管理業務に従事し、2009年に社会保険労務士・行政書士として独立起業。 経済産業省後援ドリームゲート登録アドバイザーとして、起業支援に取り組んでいます。

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