第2回 知って得する、契約書の基本 その1
契約の署名・記名の違い
「契約書にハンコを押す」ということは、「契約書の内容に間違いがない」ことを確認するためにします。ハンコは「契約を結びました」という事実を確認し、お互いが契約を結んだという意思を表する意味で押されます。署名とは、本人が自分の名前を自筆でサインをすることをいいます。これに対して、記名は自筆以外(ワープロ打ち、印刷、ゴム印等)で明記することをいいます。法律では、署名を原則としています。しかし、一般的には記名捺印でもよいとされています。
契約書は、署名だけで十分だと考えられます。しかし、日本ではハンコを重要視する傾向がありますので、ハンコも取るべきでしょう
契約の印鑑とは?
ハンコには、実印と認印の2種類があります。実印は、印鑑登録がしてあるハンコのことです。それ以外のハンコは全て認印です。法的な効果の面では、実印と認印の違いはありません。ただし、信頼度は、公的な証明が取れる実印の方があります。しかし、一番重要なのはハンコの種類ではなく本人の意思です。契約書に押されているハンコが実印であっても、本人が自分の意思で押したものでない限り、何の効果も生じません。
例えば、夫のかわりに妻が実印を押しても、夫から代理権を与えられていない限り、無効となります。逆に、本人さえ納得していれば、認印であっても法的に有効となります。
契印・割印・捨印・消印の違い
契印・割印とは、契約書が2枚以上にわたるとき、そのつなぎ目に押すハンコのことをいいます。これは、契約書のページの抜き取り、すり替えを防ぐ為に押されます。また、2通以上作った場合に、その同一性を証するためにその双方にまたがるように押すことも、契印・割印といいます。捨印は、将来の訂正の必要が生じた場合に備えて、あらかじめ欄外に押すハンコのことです。訂正の際の手間を省く意味では便利です。その反面、簡単に訂正できることで悪用される恐れがあります。
消印は、契約書に収入印紙を押した場合に、印紙の再使用を防ぐために押すハンコのことです。このハンコは、契約書に使用したハンコ以外でもかまいません。