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メンタルヘルスに不調をきたした従業員への対応

著者:渡辺総合事務所 社会保険労務士  渡邉 勝行


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メンタルヘルスに不調をきたした従業員への対応

メンタルヘルスに不調をきたした従業員に対して、さまざまな対応が考えられますが、その中で「休職」という選択肢がでてきます。そこで、今回は、下記の休職辞令を発するために、(1)そもそも「休職」とは、どういう意味なのか、(2)「休職」させることができる根拠について、さらに(3)具体的な就業規則の規定例をみていきます。

(1)そもそも「休職」とは、どういう意味なのか

皆さんは、「休職」(※)について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
「従業員を休ませる」ということに違いないのですが、そこには注意すべき点があります。それは、「従業員自身が労務の提供ができない」場合などに、労働関係は維持しながら、「労働しろ」といわない、ということですね。
ではなぜ、「休職」させるのでしょうか?
厳しい言い方ですが、ここには休職期間満了後、「退職」という意味が隠されていたりすることが多くなっています。いきなり、「解雇」ではないけど、その後「解雇ですよ」ということです。少し法的な言い方をすると、「解雇」を猶予している状態、ということになります。
従業員にとっては厳しい処遇ですが、会社としてみると、労務を提供できない従業員を雇用し続けることは難しい、という実態をあらわしています。

(2)「休職」させることができる根拠について

「休職」の裏には、「退職」という意味が隠されているため、その根拠を明確にしておくことが必要となります。また、法律で「休職」に関する規定をおくことを義務づけられているわけではありません。
そこで、「休職」させることを考えると、就業規則などに「休職」の規定をおいておくことが必要になります。
また、「休職」の場合、その従業員は賃金は支払われないでしょうし、勤続年数に算入しない場合などもあります。そのため、休業の目的、機能などを明確にしておくことが必要になります。

(3)具体的な就業規則の規定例

就業規則の中で一般的な「休職」に関する規定は下記のようになっているのではないしょうか?(傷病に関する部分)

第○条
会社は従業員が次の各号の一つに該当する場合には、休職を命ずる。
(1)業務外の傷病により、欠勤が連続して○か月以上に達したとき
(以下、略)

上記の条項では、メンタルヘルスに不調をきたした従業員の特長である出社、欠勤等を繰り返す従業員に対して、休職命令はできません。そこで、メンタルヘルスに不調をきたした従業員に対しても休職命令を発したい場合には、次のように規定することこが必要になります

第○条
会社は従業員が次の各号の一つに該当する場合には、休職を命ずる。
(1)直近○か月間で、欠勤が○日以上に達したとき
(以下、略)

メンタルヘルスに不調をきたした従業員については、次回、ご説明する復職の際さらに注意が必要になりますが、休職させる場合についても注意が必要です。

※「休職」には、いろいろなパターンがありますが、今回は、「傷病休職」を中心に考えていきます。

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著者プロフィール

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渡邉 勝行

渡辺総合事務所 社会保険労務士

大学卒業後、新聞社勤務。その後、平成10年に行政書士、平成12年に社会保険労務士事務所開設。平成19年には早稲田大学大学院にて労働法の修士課程修了。現在創業支援とともに、人事労務コンサルタントとして、人材開発に取り組んでいる。

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