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第4回 契約のプロセスを管理しよう

著者:弁護士法人あすなろ 弁護士  池田 直樹


おつきあいとしての契約

男女関係と同じく、契約は長いおつきあいです。交際=交渉、婚約=仮合意、結婚=本契約、生活=契約の履行、離婚=契約の解消というように、契約関係にも「一生」があります。成行きの中で事実だけが先行し、内容は曖昧なまま、けじめのついていない契約関係は、トラブルの原因となります。

交際ルールは秘密保持から!

まずは、お互いにシナジー効果がある共同事業化について相思相愛の相手がいるとしましょう。

しかし、手のうちをすべて見せてから他の相手と浮気して情報を漏らされては困ります。

そこで、交渉開始時に、秘密保持契約を締結しておく必要があります。営業上の秘密を守り、もし漏らした場合の制裁を決める契約です。ただし、提携業務の「検討」が目的であって、本契約の締結を強制できません。あくまでもお互い気に入るかどうかを見極める期間の交際ルールです。

お試し期間は業務協力契約を!

相性は良さそうだが、実際に一緒に仕事をしてみないと不安なときには、試行的な「同居」期間を置いてみることです。まずは一緒に業務をやってみるものとして共同開発契約があります。

■共同開発契約書
http://www.bizocean.jp/doc/detail/102346i/

経営支援・技術協力を目的とした人事交流を考える場合、緩やかな交流なら顧問・委嘱契約が使えます。
■顧問・委嘱契約書
http://www.bizocean.jp/doc/detail/103005i/

より突っ込んだ関係を作るなら役員の派遣を行う経営委託契約になります。
■経営委託契約書
http://www.bizocean.jp/doc/detail/103471i/

これらの契約の特徴は、問題があれば期間満了で終了でき、後戻りができる点にあります。

めでたくゴールイン!でも関係は続く

情報交換、人事交流を通じて信頼関係ができれば、共同経営契約等の本契約に至ります。

■(契約書雛形)共同経営契約書
http://www.bizocean.jp/doc/detail/515079i/

出資比率や経営権の取り決め(多数決をどこまで貫くか)、契約解消の場合のルールなど、本来は非常に複雑な契約になります。なぜなら本契約締結はゴールではなく、山あり谷ありの長い取引関係の出発点にすぎないからです。

まとめ

①契約は同じ長いおつきあい(プロセス)ととらえる
②後戻りもできる共同化の合意書を段階的に交わす
③最終合意の際には関係解消のルールも決めておく

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著者プロフィール

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池田 直樹

弁護士法人あすなろ 弁護士

1961年愛媛県生まれ。87年大阪で弁護士登録。93年ミシガン州弁護士。あすなろ法律事務所パートナー。中小企業法務を中心としつつ、社会起業家やNPOの支援など公益活動にも力を入れている。

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