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第3回 PDCAサイクルのスパイラルアップ

専門家に学ぶ!シーン別事業計画書の書き方

著者:西岡経営管理事務所 代表  西岡 隆

前回の書式では、現状とギャップを埋めるための方向性を明らかにし、そのための具体策についての計画までお話しました。

今回の書式は、それを実行に移すための計画と実施、およびその差異の分析という、PDCAサイクルの基本をなすものです。注意すべきは、絶対に売上のみの測定評価にしないことです。

ここでは、業績評価の基本である粗利益を中心に分析表が構成されています。また、個々の企業様が使いやすいように、タイムスパンを設定することも必要でしょう。

その成果は、できるだけ短いスパン(1~3か月単位)で、しかも商品別や顧客別、担当者別に把握しなければなりません。


結果は数字に表れる

前回の書式で、各カテゴリーごとの次年度の重点戦略・方針がまとまりましたが、それを具体的な行動に移した結果は客観的に数字となって表れます。ただ、ここで一般的によく用いられるのは、決算書の項目を並べた計画と実績の比較表です。

しかし、これは、月次、四半期、半期、1年と期間の長短はあっても、すべて活動の結果です。残念ながら、こういう形での結果を見ただけで仮に差異はわかったとしても、経営者がその原因を探ることは難しいと思われます。なぜなら、各勘定科目の数字は、複雑に絡み合っており、どの活動から導き出されたかを具体的に特定することは難しいと考えられるからです。

まずは、最も重要な数字を押さえる

今回の書式が「売上分析表」ではなく、「粗利益分析表」となっているのは、最終的な業績評価を売上ではなく粗利益額で行うことの重要性を物語っています。売上は、要素に分解すると大きくは数量と金額に分けられますが、どちらが増減するかで粗利益の金額は大きく異なってきます。例えば1個500円の商品を月に1,000個売ったら月商は500,000円、1個400円で月に1,250個売っても同じく月商は500,000円ですが、仮に原価が1個あたり300円とすると、前者の例の粗利益額は、200,000円、後者の場合は125,000円となり、約40%もダウンしてしまいます。

つまり、売上ベースでは同額でも、粗利益額は大きく違います。そして、すべての支払いの源泉は、あくまでも租利益額なのです。

粗利益額の最大化に向けた対策の決定

粗利益額の重要性はご理解いただけたと思いますが、粗利益額の掴み方は様々です。ここでも粗利益額の分解の仕方が重要になります。今回の書式は、例として得意先別に分解して、得意先ごとに差異を分析していますが、冒頭でも述べましたように商品別や担当者別などの分類も考えられます。重要なことは、それぞれの分類で達成すべき目標を設定しておいて、未達の原因を分析し、対策を考える必要があるということです。勿論、業種業態によって可能な分類の仕方には違いがあると思いますが、できるだけ多くの分類を設定しておいたほうが、あらゆる角度からの分析が可能になります。イメージとしては、今回の書式が分類の数だけ存在するといったところでしょうか。

今後の対策についての仮説

今回の書式は、まず、数字の上から、計画と実績との差を捕まえて問題点を把握し、原因分析をするものです。この書式は、できるだけ月次ベースで作成し、仮説検証を繰り返すことでより利用価値が上がるように出来ています。つまり、ここで立てた対策を翌月実際に実行してみて結果がどうだったかを検証する。ただし、結果に至るプロセスが検証できるようになっていないと意味がありません。その点については、次回の書式を用いてお話したいと思います。

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著者プロフィール

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西岡 隆

西岡経営管理事務所 代表

現在まで、延べ3,000人以上の経営者と接し、その経験を通して「行動評価マネジメントプログラム」という独自のコンサルティング手法を構築、社員のマネジメントに悩む企業への導入を推進しています。

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