第4回 行動計画に基づくプロセス管理
専門家に学ぶ!シーン別事業計画書の書き方
目標達成に至るプロセスの管理
最後に、それぞれの部門において、目標達成に至るプロセスを明確化するための行動計画表の作成と管理が必要になります。今回は、前回までの流れで浮かび上がった今後の対策を具体的な行動に落とし込むときに便利な書式をご紹介します。まず、行動計画表をつくるところまでが、前回までの仮説設定の具体的落とし込みになります。そして、その行動計画に沿って実際に行動し、その結果を記入し、仮説が正しかったかを検証するのが最終のチェックに該当します。
目標達成に欠かせない行動管理
最終的な目標は、各企業ごとに定性的、定量的な両面があると思いますが、数値目標の達成を確実にするためには、日々の現場レベルにおける行動管理の良否が決定的に重要になってきます。ここでは、やるべきことをその内容だけでなく、実施時期、期間、回数などの数値で明確に設定することが肝要です。
例えば、数値化せずに、文章で「~を強化する」とか「~の徹底」などとやってしまうと人によって受け取り方が違ってしまいます。そうすると、「まあ、このくらいやっておけば・・・」となりがちです。結果については「一生懸命やりました」で終わりです。これでは、何の改善にもつながりません。
業績評価指標(key Performance Indicator)の設定
今回の書式は、新規開拓行動計画表として、営業担当者が新規顧客を獲得するための計画になっています。この例でいうと、業績評価指標(KPI)として、どういう指標が考えられるでしょうか。行動プロセスに即して考えてみるとわかりやすいと思います。まず、1人の営業担当者が1か月に何件新規の客先を訪問できるかという"新規顧客訪問件数"、次に、そのなかからどのくらいキーマンに面談できたかという"キーマン面談件数"、さらに、そこからどくらいの提案に結びついたかという"提案件数"、そして、またそのなかからどれくらい見積りにつながったかという"見積件数"、最後に成約まで漕ぎ着けた"獲得受注件数"といった具合です。
結果測定と改善項目の絞込み
上記のKPIをつなげていくと、それぞれの割合(キーマン面談件数/訪問件数=キーマン面談率)などの比率がわかります。その比率と件数を各営業担当者ごとに比べてみると、明らかに違いがあるはずです、ある担当者は「面談率は高いが提案率は低い」などどいった具合です。ここに改善のカギが隠されています。それぞれを比較して一番高い比率をはじき出している担当者の行動を調べると、必ず他の担当者がやっていない何か独自の工夫がなされているということがあります。
各々の担当者が結果を検証するときに、そのことも一緒にわかれば、自ずと各人の弱点が明確化されるだけでなく、改善の具体策まで共有できることになります。
戦略目標の行動への落とし込み
これまで、2~4回までの3回に亘って述べてきたことをつなげてみると、今後の方向性から導き出された戦略に基づく売上や利益、キャッシュフローなどの最終目標が絵に描いた餅ではなく、個々の従業員レベル、各々の立場で日々の行動の積み重ねとして認識されるようになります。
事業計画は、いくら高い数値目標を掲げても、達成されなければ何の意味もありません。大きな数値は、そのままでは莫として掴みどころがありませんが、徐々にブレークダウンしていって日々の行動にまで落とし込めれば、皆が今自分のやっていることが最終的な会社の目標達成につながるんだという認識を持てるようになります。これができれば、目標達成はかなりの確率で達成可能になり、なおかつ組織としてもパフォーマンスも格段に向上します。絵に描いた餅に終わらせない事業計画の作成を心掛けましょう。