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第2回 社員の労働条件や義務・ルールを曖昧なままにしない!

著者:株式会社東海経営 取締役コンサルティング事業部長  坂井 秀一


労働者を雇う上で最も重要な「雇用契約書」

会社は、労働者と雇用契約を結ぶ際には、賃金や契約期間、業務内容などの労働条件を明示しなければなりません。

雇用契約書は、その会社が明示した労働条件を、会社・労働者双方が納得し約束したことを証拠づけるもので、労働者を雇う上で最も重要な書類と言えますので、必ず全員と取り交わして頂きたいものです。

労働基準法などに違反する雇用契約はそもそも無効となりますし、就業規則に規定された内容を下回る雇用契約は、就業規則に規定されている条件とされますので、雇用契約書を交わさずにトラブルになった時には、会社が圧倒的に不利になります。不備や漏れがあれば、確実にそこを突かれます。

労働法は、労働者の義務を規定してくれませんので、会社にとって労働者に課す必要のある義務やルールはしっかりと明示して、曖昧な部分が極力ないようにしておきましょう!

雇用契約書の内容を万全にする

まず、ひな形を使用する場合は、必ずすべての文言をチェックして下さい。
会社としては、退職金を支給するつもりがないのに、ひな形に「退職金あり」と記載されていて、それを見落としていれば、当然、退職金の支給義務が生じます。

転勤や職種変更の可能性がある場合は、その旨を明記し本人に了解をとっておきます。人事異動の有無は、後述する正社員とパートの違いを明らかにするポイントでもありますので重要です。

試用期間がある場合は、試用期間や試用期間中の給与なども明記しておきましょう。

また、就業規則のない会社の場合は、解雇事由や懲戒事由を雇用契約書もしくは別の書面に明記しておく必要があります。明示された解雇事由以外の理由で解雇することは原則できませんし、減給などの懲戒処分も規定がないとできません。

パート・有期雇用の場合の注意点

パートの場合、正社員に明示すべき労働条件に加え、「昇給、賞与、退職金の有無」と「相談窓口(2015年4月より)」を明記しなければなりません。
2015年4月に改正施行されるパートタイム労働法により、これまで正社員と差別的取り扱いが禁止されていた、①職務内容が正社員と同一 ②人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一 ③無期労働契約を締結している パート労働者という条件のうち、③の無期労働契約の締結が削除されますので、正社員との①職務内容と②人材活用の仕組みの違いをはっきりと示しておく必要があります。

有期雇用の場合、まずは契約更新時には毎回雇用契約を交わすこと、契約期間満了日を過ぎてから契約を遡って交わさないことです。これができていないと自動更新を期待させてしまい雇止めが出来にくくなります。
雇用契約書には、契約更新の有無、更新有の場合の更新の判断基準を明示することになっていますが、契約更新時にはちゃんと判断基準に従って判断や評価をした上で更新しないと、これも自動更新とみなされてしまう可能性があります。
有期雇用が5年を超えると無期雇用への転換を申し込むことができるようになるため、無期雇用転換をしない場合は「5年を超えて更新しない」と明記すると同時に、確実に5年を超えて更新しないように管理しておく必要があります。
またパートと同様、正社員との職務内容や人材活用の仕組みの違いをはっきりしておく必要があります。

その他、採用時に必要な書類

採用時には、雇用契約書以外にも様々な書類を提出せますが、その中でも特に提出させたい書類は以下のものです。

①誓約書
退職時に、機密保持や競業避止義務に関する誓約書を提出させる企業も多いと思いますが、これを拒む社員もいます。この場合、会社として強制はできませんので、予め採用時にこれらの誓約書を提出させます。

②身元保証書
社員が会社に損害を与えた場合に、社員と連帯して損害を補償する義務を定めますが、これにより、社員本人も身元保証人に迷惑を掛けられないという意識を持ちます。また遅刻や欠勤が多い等、勤務状態が不良な者に対して、身元保証人に協力をしてもらいながら指導もできます。

③マイカー通勤申請書
マイカー通勤を認めている会社の場合、万が一社員が通勤中に事故の加害者になってしまった場合、会社も賠償責任を問われる場合があります。自動車だけでなく自転車事故でも多額の賠償請求が認められていますので、自動車や自転車通勤を許可する条件として、任意保険の加入を義務付けるなどしておくとよいでしょう。

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著者プロフィール

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坂井 秀一

株式会社東海経営 取締役コンサルティング事業部長

東海経営人事労務事務所 所長 社会保険労務士
愛知大学 経済学部 非常勤講師

経営コンサル実績は200社を超え、ほぼありとあらゆる業種・業態の【新規事業開発】【事業戦略再構築】【起業支援】を経験。その豊富な実績に裏打ちされた【ビジネスモデル構築】【経営戦略立案】力には定評があり、継続率の低いコンサル業界の中で【80%以上の継続率】を誇る。

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