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手順書の書き方・作り方とポイント

手順書の書き方・作り方とポイント

手順書とは、作業や業務を適切に行うための方法や基準を解説した文書のことです。よく似たものに「マニュアル」がありますが、マニュアルは業務を円滑に遂行するために必要な知識をまとめたものです。

手順書はマニュアルのなかのひとつです。特定の作業の進め方に焦点をあてたもので、効率的かつ合理的な手順で行えるようにすることを目的としています。

本コラムでは、手順書の基本的な書き方や注意したいポイント、業務内容別のテンプレートなどを紹介していきます。


手順書とマニュアルの違い

手順書とマニュアルは似ているように思うかもしれませんが、実はこのふたつはまったく別のものです。マニュアルは業務のすべてを網羅したもので、会社の業務全体をカバーしています。マニュアルの内容は幅広く、その企業の企業理念や事業内容、組織、ルール、各部署の業務の流れ、製品の合格ラインなど多岐にわたります。会社全体の業務が、マニュアル通りに作業すれば一定の水準を保つことができるようになっています。

一方の手順書は、数ある業務のなかのひとつの作業の手順を表わしたものです。どのような点に違いがあるのか、くわしく見ていきましょう。

目的の違い

手順書は、ひとつの作業に焦点をあてたものです。その作業をする人が業務の内容や進め方を理解するために作成されます。それに対し、マニュアルは業務全体を把握できるようになっています。業務を効率的に進め、一定の成果を出すことが目的となっています。

役割の違い

手順書はひとつひとつの作業を具体的に説明しています。知識がない人でも、手順書を読めば何をどうすべきかがわかるようになっています。一方のマニュアルは、作業の手順を追うのではなく、業務全体の流れや背景、概要などを盛り込んでいます。細かな作業ではなく、あくまで全体を把握するためのものです。

内容の違い

手順書は作業内容をひとつひとつ、順を追って細かく書かれています。どのボタンを押すのか、どの工具を使うのか、といったことも詳細に記載しています。マニュアルは手順書のような細かなことは書きません。どの工程にはどのくらいの時間がかかるのか、この製品の合格ラインはどこなのか、といった、広い範囲の業務の工程やノウハウなどを記載します。

手順書を作るメリット

手順書を作るとさまざまなメリットが得られます。ここでは、とくに注目したい3つのメリットを紹介します。

一定の品質を担保できる

手順書があれば、誰がやっても一定の品質を保てます。どの部品にはどのネジを用いるのか、ネジを取り付けた後はどこに部品を置くのか、といったことまで細かく記載されているため、新人でもその通りに作業を進めればミスなく一定の品質を保てるようになっています。

新人でも理解しやすい

通常、新人にはその作業を手取り足取り教えなければなりません。教える側が付ききりになるため、人件費もかかります。しかし細かな作業のやり方を記した手順書があれば、誰でも読むだけでその作業をすることができます。新人教育の手間を格段に減らすことができます。

作業内容を共有できる

なんらかのトラブルがあったり、他部署が新製品開発のために作業の手順を確認したりするときには、その業務の責任者が説明するのが一般的です。しかし、責任者が出張などで不在になってしまうと、説明できる人間がいないことになってしまいます。手順書があれば、他の部署の人間でも作業内容を共有できるため、確認が容易になります。

手順書の書き方・作り方を5ステップで解説

まずはじめに、手順書の基本的な書き方と作り方を紹介します。初めての方は「何から始めたらいいの?」と迷うかもしれませんが、ステップごとに順に作成していくとスムーズに進められます。

なお、手順書の作成にはエクセルやワードが便利です。フローチャートや図解なども記載できるので、視覚的にもわかりやすい手順書を作ることができます。WEB上には無料でダウンロードできるテンプレートや素材などもあるので、これらのツールを活用して読む人が理解しやすい手順書を作成しましょう。

①仕事の内容をすべて書き出す

最初にするのは、手順書に記載する作業をすべて書き出していくことです。現場の担当者にしかわからないこともあるので、その業務を担当していない人が思い込みで書いてはいけません。実際に作業している人に細かくヒアリングし、どこで作業をするのか、どのような道具を使うのか、なぜその作業をする必要があるのか、といったことを、すべて書き記していきます。

②手順書の目次(骨組み)を作る

作業内容をすべてリストアップしたら、それらを記載するための目次を考えます。たとえばカレーライスを作るという業務であれば、ヒアリングによって「にんじんを洗う」「たまねぎの皮を剥く」「牛肉を解凍する」などの作業内容がリストアップできていることでしょう。

これらを「野菜の下ごしらえをする」「肉の下ごしらえをする」「具材を炒める」などのカテゴリにグループ分けします。この各グループの作業名がそれぞれの目次となります。最後に作業をする順番に目次を並べます。

③各目次の作業内容を書く

各目次の中身となる作業内容をくわしく書いていきます。このとき注意したいのは、作業フローに従って書くことです。手順書を読む人はその作業が初めてであることも想定されるので、「これをしたら次に何をするのか」がわかるように、手順書の通りに進めれば作業を完了できるようにします。

④出来上がった手順書の通りに作業してみる

すべての目次の内容を書き終えたら、実際にその手順書にしたがって作業してみます。手順書を書いているときは問題ないと思っても、実際に作業をしてみると、何をするのか分かりにくかったり、同じような部品や材料がいくつもあったりといった、トラブルのもとに気づくことがあります。気づいた点はすぐに修正し、再度その通りに作業をして確認します。問題なく運用できるようであれば本格的に導入します。

⑤手順書の改善やアップデートをする

手順書が完成しても、作業現場の状況は変化することがあります。「使っていた部品や機械をもっと安価なものに入れ替えた」「現場で作業の手順が変わった」「作業者の提案により工程をひとつ減らした」など、会社側の都合や作業現場の声が反映されて作業のやり方が変わることは珍しくありません。手順書は作ったらそれで終わりにするのではなく、状況の変化にともなってアップデートしていきます。常に現場の担当者の声に耳を傾け、適宜改善していくよう心がけましょう。

手順書の書式テンプレート

手順書を作成する際のポイント

手順書を作成する目的は、業務を標準化すること品質を管理することの2つです。手順書が明確化されていれば、業務経験のない新人でも、先輩社員と同様の作業ができます。決められた手順の通りに業務を進めることができれば、担当者による成果のムラがなくなるだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながるのです。手順書作成のポイントは、その業務を知らない人が読んでも理解でき、その手順に沿って誰が作業しても、同様の品質でできるような内容にすることです。

誰が何を何のためにするのかを明確にする

「このぐらいは書かなくてもわかるだろう」といった思い込みは禁物です。その作業をするのが初めての人でもわかるように、「誰が」「何を」「なぜ」「いつ」「どのように」といったことを具体的に示し、これからどのような作業をするのかをイメージできるようにしましょう。

最初に作業全体のフローを図で提示する

各目次ごとに、最初に作業全体の流れを図で示しておくと理解しやすくなります。文章で書くだけでは伝わりにくいこともありますが、作業の流れを図で示しておくと、これからする作業がどの段階なのか、その後でどのような作業があるのかなどを把握しやすくなります。

手順書を読む人の立場に立って書く

手順書は読み手の立場に立って書くことが大切です。とくに手順書を読む人はその作業に関する知識がまったくないことも想定されるので、社内では当たり前に通用している略語や専門用語などを使っても理解されない可能性があります。手順書にはなるべく正式名称を記載し、略称や専門用語などを記載する場合は、その言葉が何を意味するのかも併記します。

また、一文が長くなってしまうと情報が多すぎて読み手を混乱させてしまうことがあります。なるべく一文は短く、簡潔な文章を心がけましょう。

画像や図を活用する

画像や図は視覚的に相手に伝えることができるので、積極的に活用したいものです。たとえば、見たことがない道具や工具を使う場合は、文字のみで伝えようとしても読み手にはイメージが難しいものです。画像があればどのような形状のものなのかが一目でわかるようになるので効果的に伝わります。

また、画像はどのように作業をするのかを説明するのにも役立ちます。立って作業をするのか座って作業をするのか、機械のどの位置に立つのか、といったことは文字で伝えると長くなってしまい、かえって伝わりにくくなります。作業中の風景画像なども適時挿入しておくとよいでしょう。

文体を統一し、誤字・脱字がないか確認する

手順書は「読みやすさ」と「正確性」も大切です。文体が「~です」で終わったり「~だ」で終わったりしてバラバラになっていると、読みにくく理解しにくくなってしまいます。リズムよく読めるように、文体は「です・ます調」で統一するのがおすすめです。

また、誤字脱字があると相手に内容を誤解させてしまうおそれがあるため、書き終えたら必ず誤字脱字などがないかを確認することも忘れないようにしましょう。このとき、手順書を作成した人以外の第三者にも確認してもらうと、ミスを発見しやすくなります。

手順書の書式テンプレート

業務内容別の手順書のテンプレート

ここでは、業務内容別の手順書の書き方について解説していきます。業務内容によって注意点も異なるため、それぞれの作業の特性を理解してわかりやすい手順書を作成しましょう。

①経理業務手順書

経理業務はルーティンワークが多く、やるべきことも日次、月次、年次とそれぞれ異なります。混同しないよう日次、月次、年次ごとに分けて書くと良いでしょう。また、経理部門は後日監査が入るため、領収書や請求書、その他添付書類の保管方法等も、モレなく記載しておく必要があります。システムや台帳への入力の仕方や、ID・パスワードなどでのログインの仕方なども忘れずに書いておきましょう。実際に使用する画面のスクリーンショットや必要書類のコピーなども貼っておくと、イメージがしやすく親切です。

経理業務手順書

経理業務手順書

②電話受付手順書

基本的な電話応対の仕方はどの会社でも大きく差はありませんが、会社によって必ず聞かなければならない事項があったり、転送に関するルールがあったりします。特に新人にとっては電話を取るのは緊張するものです。聞き漏らすことなくスムーズな対応ができるよう、電話受付手順書には、応対の流れの順を追って書いておくようにしましょう。具体的なフレーズを盛り込み、可能であれば注意事項なども記載しておくと、クレーム防止にもつながります。電話に出た人が会社の顔となることをイメージして手順書を書きましょう。

電話受付手順

電話受付手順

③変更管理の手順書

変更管理は、システム運用における正確な変更業務の実施と、生産性向上のための管理業務です。定常的に稼動するシステムは、常にバージョンアップを要し、ハードウェアは経年劣化もします。そのため、状況に合わせて変更を加えることが必須となります。変更を加えることでソフトウェアが問題を起こさないよう、正確に変更作業ができるよう管理しなければなりません。変更管理手順書の書き方のポイントは、定められた手順・段階を明確に記載すること。復旧手順を書くこと。変更履歴を残すことの3つです。誰が見てもわかるよう、省略せず細かいところまで書いておきましょう。

④システム運用手順書

システム運用手順書は、顧客側で利用されます。SEには当たり前に通用する用語でも、運用をする顧客側には専門用語は通用しません。そのため、利用者の目線に立つことが求められます。専門用語の使用を避け、図解や写真などを入れてわかりやすくすることが大切です。また、顧客が見て理解できるシステム運用手順書を書くことで、運用開始後の問い合わせ件数も減少します。運用手順書がわかりやすいものであれば、多少つまずいたとしても自分で解決することができるからです。システム運用手順書に盛り込むべき内容は、運用管理ポリシー運用ルール運用手順の3つです。

手順書の書式テンプレート

まとめ

手順書は、人に教えてもらわなくても、それを読めば作業ができる業務手順の説明書です。電化製品や携帯電話の取扱説明書を思い浮かべてみてください。説明書を読めば、誰かに解説してもらわなくても自分で製品を使うことができますよね。手順書も、読んでその通りに作業をすれば業務ができるものでなければなりません。

また、手順書を作成することで多くのメリットが得られます。
・誰が作業をしても一定の質を保てる
・新人でも理解しやすい
・作業内容を共有できる

手順書の運用は会社の生産性を向上し、トラブルを防ぐのにも効果的です。業務内容によって必要ポイントを押さえ、誰が見てもわかりやすい手順書作りを心がけましょう。

手順書の書式テンプレート

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