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損害賠償請求時の文書の書き方

損害賠償請求時の文書の書き方

損害賠償に関する問題は、ビジネスをするうえでも意識しておかなければなりません。もし自社が、損害賠償が発生するような行為をしたとすれば、そのときはブランドや評判にマイナスの効果を及ぼすでしょう。

会社が注意しなければいけない損害賠償が起きる行為は、ただBtoBビジネス上の取引だけではありません。社内のセクハラや暴力行為なども該当します。

さらに現在は、アルハラ、マタハラなどの多くのハラスメント行為があるため、会社は今まで以上に注意する必要があります。

このページでは、会社が注意するべきポイントや、実際に損害賠償を請求するときに使用できる文書を紹介しています。


損害賠償請求の書式テンプレート

どのようなときに損害賠償が発生する?

損害賠償が発生するのは、「不法行為により損害が発生した場合」です。この不法行為とは、故意または過失により他人の権利・利益を侵害することです(民法709条)。

通常契約関係等の特別な関係のない者同士の間で問題となります。不法行為による損害賠償の発生要件は、①権利や法律上保護される利益が存在し、②その権利や利益を侵害する行為があり、③故意または過失により、④損害を発生させ、⑤その行為と損害に因果関係があること、です。故意というのは、損害を与えると判っていながらあえて意識的にその行為を行うという心理状態をいいます。過失というのは、不注意により損害を与えることを見逃して権利や利益を侵害してしまう心理状態をいいます。

さらに使用者責任(民法715条)、共同不法行為責任(民法719条)などの特殊な不法行為もあります。不法行為の立証責任は被害者側が行わなければならないので、注意が必要です。
この例として、いわゆるセクハラが挙げられます。セクハラは、男女雇用機会均等法に反するもので、それを行った上司などに損害賠償を求めることのみならず、会社に対しては職場環境配慮義務違反により損害賠償を求めることが出来ます。

もう一つの損害賠償が発生するのは、「債務不履行」です。これは、契約を締結して特殊の関係に入った者同士の間で、契約に基づく義務を履行しない場合に生じます(民法415条)。この例として、物品売買の取引基本契約を結んだが納期に間に合わない、納入した物品に瑕疵がある場合や、システム導入の請負契約を結んだが納期に稼働できない場合など、契約により様々なケースがあります。債務不履行による損害賠償の発生要因は、①債務者の責任とすべき事由により、②それに違法性がある、ことです。債務不履行の立証責任は、もともと債務者に契約上の履行責任があるので、債務者が行うことになります。

なお、企業とその取締役の関係は委任関係にあり、取締役は善良な管理者の注意義務(民法644条)を負い、その違反は債務不履行となります。さらに、会社法ではこれを具体化した忠実義務(会社法335条)を定め、これを怠ったときは損害を賠償する責任を定めています(会社法423条)。

慰謝料請求とはどう違う?賠償の時効は何年間?

よく混同されるのが、損害賠償と慰謝料です。損害賠償は、自分の行為により相手方が被った不利益を償うことをいいます。慰謝料は、精神的苦痛に対する損害賠償です。例えば、自動車の運転中に脇見により通行人を引いてけがをさせた場合、治療費、切れた衣服、壊れた時計、けがの結果働けない期間の減額分などが損害賠償になります。他方、被害者の精神的苦痛に対して払われる金銭が慰謝料になります。

なお、不法行為による損害賠償の時効は、被害者又はその代理人がその損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅します。また、不法行為の時から20年を経過すると消滅します(民法724条)。前者を消滅時効、後者は除斥期間と呼ばれています。

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損害賠償請求の方法

もし自社または自分が被害にあった場合の請求方法と文書を紹介します。
加害者に対し損害の発生の事実、損害の金額、賠償請求の意思を通知することです。回答の期限も記載しておくと良いでしょう。できるだけ簡潔に、要点のみを記載することが重要です。作成日付を記載することを忘れないでください。これは、先の損害賠償請求権の消滅時効を中止させるという意味があるので、消滅時効前に行うことが必要です。

加害者に通知する方法として、証拠が残るよう内容証明郵便によるのが一般的です。契約による継続取引のある加害者であればまず話合いということになるでしょう。それで進展が見られない場合、内容証明郵便にて通知することになるでしょう。

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裁判を起こさずに解決する

問題を解決するために最も強力な法的措置は裁判を起こすことです。しかし費用や期間、精神的負担もあって実行に移すのは難しいでしょう。その場合、解決策の1つのなるのが示談です。示談とは、民事上の紛争を裁判という手段を用いずに加害者と被害者の間で、損賠賠償責任の有無、賠償金額、支払時期と方法などを定めて解決する契約のことで、刑事手続きとは別のものです。

話合いで交渉がまとまれば、その合意を書面として残します。これが示談書です。示談書には内容証明分便で加害者に送付した内容証明書の文面を基に、加害者がそれを認め支払金額、方法、時期を明記し相互に記名押印することとなります。相手方の義務履行に少しでも危惧があれば、強制執行という手段を取り得るように、相手方の強制執行の執行認諾の同意を得た公正証書を作成するか、簡易裁判所に訴訟前の和解(民事訴訟法275条)の申し立てをして和解することを考える必要があります。

当事者間での交渉がまとまらない場合、裁判外紛争和解手続き(ADR)と呼ばれる、加害者の同意を得て行政機関や民間機関による第三者機関のあっせん、調停、仲裁をしてもらうか、裁判所による調停を利用することになります。第三者機関のあっせん、調停には判決と同様の強制執行力などの効力はありませんが、仲裁は不服申立てができないものの判決と同様の効力があります。裁判所の調停は、家事・刑事事件以外のすべての法律上の問題を対象とする民事調停と、多重債務や金銭債務を対象とする特別調停、そして夫婦・親子など家庭を対処とする家事調停があります。

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しっかりとしたリスク管理を

ここまでは自身が損害賠償を請求する側として書いてきましたが、自社または自分が請求されるリスクはつねに存在します。 BtoBでは、まず契約に債務不履行がどのように定められているかを確認します。納期、品質、機密保持などに関して定められるのが一般的です。この納期や品質のリスクを適切に管理するには、日常の業務の標準化と詳細な作業手順書による従業員教育、さらに定期・不定期の監査が有効な手段です。

機密保持については、機密とされる情報を都度特定し、業務遂行上それを必要とする者のみに与え、且つ就業規則で機密保持に関する事項を定めてその者から機密保持に関する確約書を取ることが必要でしょう。

他方、社内のいろいろなハラスメント行為の撲滅には、就業規則に諸ハラスメントを行わないこと、そしてそれを行った者には懲罰を与えると定め、懲罰委員会を設けます。他方で、ヘルプデスクやホットラインを顧問の弁護士事務所に設け、駆け込む場所を用意します。そして、これらを社員全員に周知するとともに定期的にハラスメント禁止教育を行います。不幸にして発生した場合には、被害者の立場に立ち適切な対応を行うことが肝要となります。

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