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M&A契約書の書き方


M&Aとは「Mergers and Acquisitions」企業の合併や買収のことですが、契約の締結までにはかなりの期間を要します。これは、M&Aが取り決める内容が個々のケースごとにまったく異なることや手続きが煩雑なことからきます。さらに場合によっては株主や従業員の反対もあり、調整に時間を取られるのです。交渉が最終段階に入っても、どの事業を残すか、金額のミスマッチなどにより頓挫することもあります。

このように難しいM&Aですが、着実に進めていくには両社が合意する文書を1つずつ作成していく必要があります。このページでは、M&Aを進める上で必要な文書の雛形と書き方を紹介しています。

M&A契約書・合併契約書の書式テンプレート

M&A契約締結までのステップ

M&Aを実行するまではいくつかのステップがあります。序盤のステップはおもに売り手にアプローチし機密保持契約を結ぶことです。これにより買い手は売り手の情報を入手し、また取引の内容などについて交渉を始めることが可能となります。中盤のステップは、ある程度の情報を入手し取引内容やお互いに重要と考える事項についての交渉を行い、基本合意書を作成することです。

基本合意書は、最終のものではなく、更なる詳細な調査(デューディリジェンス)をおこなう前段階です。必ずしも取引の完結を約束するものではないので、合意解除に関する定めを織り込む必要があります。終盤のステップは、本契約の締結。本契約とはいえ、クルージングまでにすべきことは沢山あります。その過程で契約解除が必要となることも想定しておく必要があります。

この3つのステップは、M&Aの態様、すなわち株式譲渡、営業譲渡、合併などにより秘密保持契約書、基本合意書、本契約に織り込まなければならない内容は様々に変化します。また売り手と買い手の規模、労働組合の有無、取引先との関係、取引金融機関との関係などからもそれらに織り込む必要のある事項は変化します。

この3つのステップは、M&Aの態様、すなわち株式譲渡、営業譲渡、合併などにより秘密保持契約書、基本合意書、本契約に織り込まなければならない内容は様々に変化します。また売り手と買い手の規模、労働組合の有無、取引先との関係、取引金融機関との関係などからもそれらに織り込む必要のある事項は変化します。

M&A契約書・合併契約書の書式テンプレート

序盤のステップ:秘密保持契約の締結

M&Aを進める最初のステップは、秘密保持契約の取り交わしです。このためにはまず、対象企業へ買収・合併などを打診して、社内検討期間を経て相手が同意する必要があります。秘密保持というのは、相手企業からM&Aの判断に必要な情報を得ても、それを外部に漏えいしないことです。

情報を提供する企業からすれば、提供した情報を提供先企業が勝手に使わないようにすることも大切です。さらに、両社がM&Aの検討をしているということが第三者に知られると、信用や評価を落とすことにもなってしまいます。

序盤のステップ:秘密保持契約の締結

機密保持契約の要点は、①なにを秘密とするか、②開示対象者の特定、③機密保持の期間、です。ここでいう秘密とは、M&Aの検討をおこなうということ、顧客や仕入先、売単価、仕入単価、製造方法、ノウハウ、事務処理マニュアル、教育マニュアル、株主総会・取締役会・その他の議事録、研究開発資料、財務資料、人事資料などなど多岐に渡り、その企業の培ってきた利益を生み出す源泉となるものです。

あらかじめ秘密として相手方に提供した情報のみを、この契約の対象とするというのが一般的です。しかし、その中にも例外を設けるのが通常です。その例外とは、一方から開示される前に他方が知っている情報、すでに公表等されている情報などです。

情報の提供を受けた会社はこれを使い検討することになりますが、実際にこの情報を必要とする者にのみ開示する制限を設けます。これは、機密を保持する必要上当然のことです。情報の提供を受けた会社が、会計や法務などの外部専門家に検討を依頼するため受けた情報を開示することもあります。このため、第三者に開示するときには、その第三者も秘密保持の義務を負い、その者が義務に違反したときは開示した会社が責を負うとすることが必要です。

秘密保持の期間は、秘密保持契約の期間と必ずしも一致する必要はないでしょう。契約の期間は本契約の締結が行われると見込まれる時期とし、それ以上の長期間とする必要はありません。不幸にして本契約が締結されない場合、機密保持の期間を契約期間と同じにしておくと情報提供企業に大きな不利益が生じます。これを防ぐため、本契約が締結されない場合機密保持契約の期間満了後数年間秘密保持の義務は存続する、というように定めておくことが得策です。

M&A契約書・合併契約書の書式テンプレート

中盤のステップ:基本合意書の作成・検討

次に、お互いの情報を共有し、M&Aを進める上で弊害がないと判断されれば基本合意書を作成・締結することになります。この時点である程度骨格ができている必要があります。たとえば金額面でもだいたいの目安を付けていることが求められます。金額以外にもどうしても譲れないことがあれば、この段階で交渉し合意しておく必要があります。多くの売り手が提示する従業員の雇用継続、多くの買い手が提示する重要な知的財産の移転、重要な人材の一定期間残留、主要取引先の取引継続などの点はその例です。この互いに譲れないことを一つ一つ議論し、合意しておくことが大切です。

基本合意書には、①金額を含む取引の内容、②売り手の役員・従業員の処遇などのお互い譲れない事柄に関する合意事項、③保証表明、④デューディリジェンスの実施、⑤独占交渉権の有無、⑥本契約締結の目途、⑦条件の修正、⑧機密保持などが記載されますが、個々のケースによりその内容は様々に変化します。

③の保証表明は、売り手がその現状に対し陳述しその内容を保証するものです。ストックオプションはない、決算書は真実で保証債務や簿外債務はない、土地には汚染物質はないなど買い手にとって重要な事項について保証を得るものです。本契約締結の目途までの間増資、重要資産売却、重要な人材の流出など起こさないとの陳述を入れておくことも重要です。

⑤の独占交渉権の有無は、売り手が基本合意した買い手とのみ交渉を続けるか否かということです。これは買い手側には重要な問題です。

⑦条件の修正は、④のデューディリジェンスの実施の結果、③の保証表明のみならずその他の事項で①の金額を含む取引の内容に変更を加える必要がある場合があることを明示するためのものです。この中には、合意解除の場合も織り込みます。

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終盤のステップ:本契約の締結

収益性やリスク、市場性などから企業価値を総合的に判断したデューディリジェンスの結果、問題がないと判断されればついに本契約です。

本契約は取締役会の承認は得ていても、未だ株主総会の承認は得ておらず、従業員や取引先に対しても説明を行いその同意を得ていないのが通例です。このため、本契約を締結してもM&Aが完了することにはなりません。従って、本契約にはクロージングまでに起こるかもしれない様々ことを想定し織り込んでおくことが必要となります。

終盤のステップ:本契約の締結

他方で、クロージングまでに買い手が行わなければならないことも、織り込む必要があります。これには、株主総会での承認、役員の辞任、債務保証や担保提供の解除、退職金・退職慰労金の支払い、主要取引先との取引継続、重要人材の雇用継続などがあります。

M&Aにより退任する役員に対しては、退任後5年とか10年というような一定期間同様の事業を行わない競業避止義務を負わせることも大切です。

本契約書の内容は、基本合意書の合意事項に基づきデューディリジェンスの結果などを織り込んだものになります。この中には基本合意書にいれたような保証表明も入ります。デューディリンスですべての事柄が明らかになるわけではないので、保証表明は欠かせません。もしそこに虚偽がありそれを修復できない場合には、本契約の解除ということにもなります。この本契約解除の条件を明らかとするためにも、保証表明は重要です。

そして、本契約解除になった場合の損害賠償についても定めておくことが必要です。これは、売り手、買い手双方にその原因がある場合を想定し、取引金額に対する%で定めると判り易いと思います。

【解説図付き】割り印・契印の違いと押印の正しい位置解説

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