クレーム報告書の書き方・文例
顧客や取引先からクレームを受けた際に、対応報告や再発防止のために提出するよう求められることがある「クレーム報告書」。どのような内容にすれば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、クレーム報告書の書き方や、クレーム報告書を作成するときのポイント・注意点などについて解説します。
クレームとは
クレームとは、あるサービスに対する苦情や改善要求のことをいいます。クレーマーという言葉があるように、中には不当な強迫や請求という意味合いで使われることもあります。
企業活動におけるクレームとは、提供する製品やサービスに不具合が見つかり、その補償を要求することを指します。
営業はクレームを受けたらその場で回答を出すのではなく、まず事実確認をすることが求められます。自社起因のクレームなのか、顧客起因のクレームなのかを見極めることが大切です。
クレーム報告書を書く際のポイント
クレーム報告書は適切に作成しないと、かえって問題が大きくなる可能性があります。クレーム報告書を書く際のポイントを知っておきましょう。
クレーム報告は迅速な対応が重要
クレームを上司に報告するのは勇気がいるもので、あまり気が進みませんよね。それでも、良くないことほど迅速な報告が求められます。
特にクレーム対応に関してはスピードが求められ、時間が経つほど解決が難しくなってしまうこともあります。発生したらすぐに報告を挙げましょう。
誰に向けての報告書なのかを明確にする
クレーム報告書を作成するときには、社内向けなのか社外向けなのか、誰に向けた報告書なのかを明確にしましょう。
社内向けの報告書の場合、クレームの内容や緊急性、どのような対応をしたのかといった情報共有がメインになります。
対して、社外向けの報告書の場合、クレームの内容についての謝罪や調査報告といった内容になるでしょう。読み手に応じて内容をしっかり書き分けることが大切です。
客観的に事実を記載する
クレーム報告書には、客観的に事実を記載するよう心がけましょう。とくに理不尽なクレームだと感情的になりがちですが、冷静に事実だけを記載しないと読み手に内容が伝わりにくくなります。
関係者にヒアリングするなどして事実関係を明らかにしたうえで、感情を入れずに事実のみを書き連ねましょう。
時系列で内容を整理する
クレーム報告書は、問題に適切に対応するためにも、読み手が内容を正しく理解できるように書く必要があります。
誰が見ても状況が把握できるように、いつ何が起きたのか、トラブルの原因は何でどのような対応をしたのかなど、内容を整理して時系列で記載しましょう。
クレーム報告書に記載すべき項目
クレーム報告書には主に、受付日、顧客名、発生場所、クレーム内容、原因、対応策、処置完了日、処置内容を記載します。クレーム情報をデータベース化することで業務改善につながるだけでなく、マーケティング情報として活かすことができ、さらには会社のリスク管理にも役立つのです。
クレーム報告書のテンプレート
クレーム報告書の作成に手間取っていると、報告までに時間がかかって問題が大きくなるリスクがあります。そのため、テンプレートを活用して、スピーディーに報告書を作成できるようにするのがおすすめです。
ここでは「苦情処理簿のテンプレート」と「無茶なクレームに対する反論状のテンプレート」を紹介しますので、ぜひクレーム報告書の作成に役立ててください。
苦情処理簿のテンプレート
苦情処理では不良品の返品に伴う代品の発送、サービスの再提供などの方法が考えられます。処理をするにあたり、その所在を明確にするために必ず苦情処理簿を記録しなければなりません。それに基づいて売上げ戻し処理などを行う必要が出てきます。
記載すべき項目は、苦情内容、原因究明の結果、苦情に対する弁明の内容、改善措置等が挙げられます。文章で経緯をまとめることによって背景が見えてきます。苦情を受けると早く丸く収めたいと思いがちですが、苦情内容を客観的に見るためにも記録をつけることは重要です。
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無茶なクレームに対する反論状のテンプレートと書き方
クレームの中には、無茶な要求や理不尽な要求もあります。時には毅然とした態度を取らなければならないこともあるのです。反論状は、クレームに対して持たれている誤解や認識の違いを解き、正当性を主張し相手に認めさせることが目的です。ここで大切なのは、不用意に感情的になったり相手を非難したりしないということです。
文面には、受けた苦情の内容、それを受け入れることはできないという意志、その理由、了承頂きたい旨を記載します。こちらも、できればいきなり送りつけるのではなく、担当者に一報を入れてからの方が良いでしょう。
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クレーム報告書を作成する際の注意点
クレーム報告書を作成する際に、いくつか注意したいことがあります。速やかな問題解決のためにも、報告書を作成する前にチェックしておきましょう。
十分な事実確認を行う
クレーム報告書を作成するときには、事前に十分な事実確認を行いましょう。クレームの内容を鵜呑みにして事実に目を向けないと、会社に損害を与えたり、根本的な問題が解決できなくなったりするかもしれません。
反対に、クレームの原因となった担当者の発言だけを信じると、顧客や取引先の怒りが増幅して問題が大きくなる可能性があります。
複数の関係者にヒアリングを実施し、どのような説明があったのか、クレームの内容について客観的に判断できる記録はあるかなど、原因や状況、証拠を洗い出すことが重要です。
クレーム相手の気持ちに寄り添った適正な提案をする
クレーム報告書では、相手の気持ちに寄り添った適正な提案をすることも大切です。仮に「届いた製品が故障していた」というクレームに対して、代替品を送る提案をしたとします。
対応自体が間違っているわけでありませんが、機械的に処理すると相手が気分を害し、さらなるクレームにつながることもあるのです。
クレームの内容から相手の希望を汲み取り、どう対処すると良いのかを考えて報告書に記載しましょう。
報告書は適切に保管する
作成したクレーム報告書は、適切に保管しておきましょう。きちんと保管しておけば、追加で対応が必要になったときや内容を振り返りたいときなどに、すぐに確認できます。
紙の報告書だと保管スペースを圧迫するだけでなく、追記や修正にも手間がかかるため、Excelなどを活用してデータで保管するのがおすすめです。
クレームの事例として情報を社内で共有する
クレーム報告書が完成したら、クレームの事例として社内で共有しましょう。どんなクレームがあったのか、原因は何だったのか、どう対応したのかといった情報を共有しておけば、今後のクレーム対応がスムーズになります。
顧客や取引先がどういった点に不満を抱いているのかがわかれば、製品やサービスの改善にも役立つでしょう。
まとめ
クレーム対応は、出す側も出される側も心理的負担が大きいものです。早く終わらせたい気持ちは募りますが、しっかり向き合う勇気が必要です。
クレーム対応が良ければ、お客様は逆に良い印象を持ってくれることがあります。不思議なことに、クレームの無い取引よりもクレームが出たあとの対応の素晴らしさの方が、お客様の記憶に残るものなのです。
実際に、クレーム対応の的確さによってお得意様となった事例を、あらゆる企業で耳にします。チャンスを逃せば、そのお客様を永遠に失います。逆境はチャンスであると捉えて、ポジティブなクレーム対応を心がけていきましょう。