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社内規定の作り方

社内規定の作り方

事業を円滑に運営するために重要な社内規程ですが、作成にあたって何を記載すべきなのか、悩むことが多いでしょう。また、社内規程と就業規則がどう違うのかわからず困ることもあるのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、社内規程の作り方や社内規程と就業規則との違いなどについて解説します。


社内規程とは

社内規程は、企業側が決める社内での約束事・規則・ルールのことです。社内規程に含まれるのは各部署の役割や担当などの体系図から稟議規程、ストックオプション規程、社員割引規程、出張旅費規程など、多岐にわたります。

社内規程を定める目的は、社内秩序の統制を図り、円滑に事業を運営することです。企業が何かを決定する場合、従業員との合意が必要なことも多いですが、社内については従業員との合意なしで定められます。

社内規程と就業規則との違い

就業規則とは、労働時間や賃金、休暇、各種手当などに関する規則のことです。社内規程の一部ではありますが、従業員との「契約」という扱いになるため、従業員の合意を得る必要があります。

常時10人以上の従業員がいる企業の場合、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出るよう義務付けられています。

作っておいた方がいい社内規程

「社内規程」という1つの書類にまとめるのではなく、必要な項目ごとに規程書類を作るのが基本です。たとえば、取締役会の招集、議長の選出、決議の方法など、取締役会の運営については取締役会規程を定めます。

また最近ではFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのソーシャルメディアが企業でも広く活用されるようになってきました。その匿名性や広範囲にわたる情報の伝達からリスク管理も重要となっており、ソーシャルメディア利用規程が策定されてきています。

接待交際費規程は、接待交際費の内容や支出先を明らかにさせ事前に稟議を経るなど、支出ルールの明確化を図るとともに、明朗な支出であることを明らかにし、無用な税務トラブルを避ける効果を有しています。

就業規則において副業(アルバイト)の禁止規程を設け、職務専念義務を明確にしている例は多いですが、本来就業規則は就業時間中の義務を定めたものであり、そのアルバイトにより勤務に支障が生じない限り、就業規則は就業時間外につき規制するものではありません。そこで就業規則とは別に、副業(アルバイト)禁止規程を定め、就業時間外での副業(アルバイト)を禁止している企業もあります。

よく作られる社内規程を表にまとめてみました。

書類名 内容
取締役会規程 取締役会についての規程を定義します。開催日や開催の場所、招集方法から決議案の提出、決議法などを細かく規程にします。
勘定科目処理規程 勘定科目の項目を表組などですべて明記します。科目はコードで管理し、明記された科目以外は使用不可とします。
賃金規程/賞与規程 賃金規程に賞与に関する記述も入れてしまえば、一つの書類にすることが可能です。賃金規程においては、賃金がどのような項目で構成されているか、計算期間と方法、支払方法や支払日、各種手当に関することなどを明記します。
退職金給付規程 賃金規程とは別で作ることが多い書類です。退職金の支払い条件や、計算方法、支払方法などを明記します。
出張旅費規程 出張旅費の定義や、申請方法、仮払いや清算の方法などを定義します。海外出張については、別に「海外出張旅費規程」を作成する企業も多く見られます。
慶弔見舞金規程 慶弔見舞金が支給される種類や、届出の方法、金額を定義します。
育児休業規程/介護休業規程 育児・介護ともに同じようなフォーマットになります。一つにまとめて作ることも可能です。対象条件や申請方法、休業できる日数などを明記します。
内部情報管理規程 インサイダー取引や社内の機密情報漏えいを防止するために作られる書類です。秘密保持規程という規程で作られることもあります。適用範囲や取扱いの方法を細かく定義します。最後に罰則についても明記します。
個人情報管理規程 「個人情報保護規程」という名の書類で作られることもあります。従業員が社内・外の個人情報を扱う際のルールや罰則について明記します。
ソーシャルメディア利用規程 従業員がTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)等のSNSを利用する際に守るべきルールを定義します。最後に罰則・損害賠償についても明記します。

まだまだ他にもたくさんあります。社内規程は、その企業に合った必要なものを都度作成していく必要があります。これらの規程は更新も必要になります。規程が変わるたびに更新し、社内に通知していきましょう。

社内規程の書式テンプレート

社内規程の作り方

社内規程を一から作成するのは大変です。ネットなどでモデルとなる規程例を探し、それを基礎に自社の規程を作っていけば、スムーズに作成できるでしょう。

まずすべきことは、規程の対象となる業務の流れを把握することです。業務の実態と乖離した規程は空文化し、規程とはかけ離れた運用が続くことになります。また規程によっては部門間にまたがる業務を対象とするものもあります。その場合は、対象の各部門からその業務に精通した代表が集まり、議論していくことが必要でしょう。

ある部門の利害を一方的に反映したものではなく、各部門間で公平なものにしていく必要があります。この規程作成の過程で従来の業務のムダを見直し、効率的な業務運営になるよう仕事自体も見直すという、規程の作成を業務改善の貴重な機会ともなります。

以上で抽出した業務の実態と改善点、各部門からの意見をモデル文例に盛り込むことにより、自社にあった規程を作成することができるのです。

社内規程に含まれる内容

社内規程に含まれる主な内容として、以下の項目が挙げられます。

企業の経営・運営に関する規程 ・定款
・企業理念
・取締役会規程
・株主総会議事録 など
組織権限に関する規程 ・組織図
・倫理規程
・職務権限規程
・業務分掌規程 など
人事労務規程 ・就業規則
・賃金規程
・賞与規程
・退職金規程
・出張旅費規程 など
総務関連の規程 ・文書取扱規程
・印章取扱規程
・安全衛生管理規程
・社宅管理規程 など
業務管理規程 ・経理規程
・原価計算規程
・在庫管理規程
・予算管理規程
・内部監査規程 など
その他 ・ハラスメント防止規程
・秘密情報管理規程
・副業、兼業規程

また近年では、テレワークに関する規程や、SNS利用に関する規程などを策定する企業も増えています。業務の内容や経営方針などに応じて、必要な社内規程を決めていきましょう。

社内規程の作成手順

ここまで社内規程の概要についてお伝えしてきましたが、いざ社内規程を作ろうとしたときに、どのように作っていけば良いのかわからないという人もいるでしょう。そこで、社内規程の作成手順について解説します。

①社内規程の内容を検討する

まずは自社にどのような社内規程が必要なのか、社内規程として制定すべき事柄について洗い出しましょう。

企業理念や取締役会規程、株主総会議事録といった企業の根幹にかかわる部分から、組織図、就業規則、経理規程など、ルール化すべき項目をすべてピックアップします。

今必要な社内規程だけでなく、将来的に必要になるであろうルールについても検討することが重要です。

②内容を整理する

社内規程にすべき内容をピックアップしたら、カテゴリー別に内容を整理しましょう。内容が被っている部分はないか、不足や誤りはないか、細かく見ていきます。

各社内規程に関連する部署にもヒアリングし、意見や希望がないかを確認することも重要です。実際に業務に携わる人だからこそ見えてくることも多いため、各部署の担当者にヒアリングすることで、より綿密な社内規程が作成できるでしょう。

③専門家のチェックを受ける

社内規程のなかには、法律が関わってくるものも多々あります。また、重要な項目が抜けていて、企業にとってのリスクになるケースもあるため、社内規程が完成したら専門家のチェックを受け、法律違反や抜け漏れがないかを調べておきましょう。

④社員に周知する

作成した社内規程について、だれも知らないのでは意味がありません。社内規程が完成したら全社員に周知し、いつでも確認できる状態で保管しておきましょう。

社内規程を作成・管理するときの注意点

ここでは社内規程を作成・管理するときに知っておきたい注意点について解説します。

規程同士の整合性を保つ

社内規程を作成する際には、規程同士の整合性を保つことが大切です。たとえば、文書取扱規程に「文書の保存期間10年」とあり、経理規程に「文書の保存期間7年」と記載されていたら、どちらに合わせるべきなのか現場が混乱します。規程同士で矛盾が発生しないように注意しつつ作成しましょう。

法律違反にならないよう注意する

社内規程を作成するにあたって、会社法や個人情報保護法、労働基準法などを違反しないようにすることも大切です。法律に抵触していると、行政処分を受けるなどトラブルが発生する可能性があります。

定期的に点検・更新する

社内規程は1度作ったら終わりではなく、定期的に点検・更新しましょう。企業内の状況や法律などは、時間の経過とともに変化するものです。そのときの状況に合った社内規程でないと、業務がスムーズに進まなくなったり、知らずに法律違反を冒したりする可能性があります。

定期的に社内規程を点検し、今の状況や法律に合っているかをチェックして、必要に応じて内容を更新したり新規で規程を作成したりしましょう。

規程違反の際の対応について

現在、法令違反は厳しく戒められ、コンプライアンスが広く浸透しており、これをおろそかにすればいかなる大企業といえども一瞬のうちにそのブランド価値を失ってしまいます。社内規程は法令違反をしないために社内でルールを定めたものです。

社内規程違反がすべて法令違反になるわけではありませんが、社内規程の根底にある倫理観を無視するということは、いずれ法令違反にもつながる可能性があります。そのため、社内規程違反には厳格に対処していかなくてはなりません。

具体的には、就業規則において、懲戒事由の一つとして社内規程違反を定めています。その事案に即して就業規則を適用し、厳正なる処分を課していくことが、今後の法令違反といった不祥事を避けるためにも必要となります。

まとめ

「今は特に社内規程を設ける必要はないだろう」と思っていても、従業員の増加や、環境、業務のやり方の変化などの事情で、社内に明確なルールがないことにより、業務に支障をきたすことが出てくることが考えられます。これが「社内規程は後から必要になる」といわれるゆえんです。

予防法務の観点からも、不測の事態を避けるためにも、社内規程の整備は喫緊の重要性をもつ業務です。事が起こってからでは間に合いません。社内規程を整備して万全の準備に取り組まれることが肝要です。

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