面白法人カヤック 柳澤大輔

次々とアイデアが生まれる次世代の組織論

「面白法人カヤック」。社名を聞くだけで面白そうでワクワクさせてくれるではないか。だが、実態は社名以上に面白い。変化の速いIT業界にスピードとアイデアで切り込み、業績を伸ばし続けている。製品を売りに行く、いわゆる営業職はいない。全員がクリエイターなのだ。クリエイター集団とはどのような組織なのだろうか。個性の強い彼らをマネジメントする手法とはどのようなものなのだろうか。3人代表制を敷く面白法人カヤックで「代表取締役CREATOR」の肩書を持つ柳澤大輔代表に、会社が活性化する組織論について伺った。

どのようにしたら会社はもっと面白くなるのか?

――まずは、御社の業務について教えてください。
IT関連のさまざまなサービスを制作して、運営しています。お客様から開発依頼を受けるいわゆる受託開発もありますし、自社のサービス事業として、自分たちで企画してつくるものもあります。携帯サイトやiPhoneアプリなどのいわゆるSmartPhoneアプリなども手掛けています。また、飲食事業も営んでいます。

社員の半分がウェブ技術者なんですが、アイデアを考えるという点では、全員がクリエイターと言えます。とにかく面白いアイデアをたくさん考えて、形にしていく会社が「面白法人カヤック」です。

――柳澤さんは『アイデアは考えるな。』(日経BP社)という本を執筆されています。アイデアを考えるのが仕事である会社の代表が「アイデアは考えるな。」というのは面白いですね。

逆説的と言いますか…、最初の依頼は「職場が楽しげで、面白く働いている会社は伸びる」という内容はどうかというものでした。そこで面白がるには何か方法論があるのではないかと考えて、それは「アイデアを出す」ということだろうと気がつきました。アイデアを出せる人というのは、きっと面白く働けると思うんですね。そこで、アイデアに関する本にしてみたいなと。

アイデアは、すごいものを考えようとすると出てきません。大事なのは、すごくないものをとにかくたくさん出すこと。すごいアイデアを出す人というのは、その何倍もすごくないアイデアを出しています。とにかくたくさん出す。そのためのノウハウを書いた本なのです。

とにかく組織力で勝負しよう

――アイデアを出すためにブレスト(ブレーンストーミング)を重視しているとお聞きしましたが、アイデアがどんどんわきでるブレストは、慣れていないと非
常に難しいです。活気のあるブレストにするためのアドバイスはありますか?

いろいろなやり方がありますが、カヤックでは3つのルールを重視しています。(1)とにかくアイデアの量を出す、(2)とにかく相手を否定しない、(3)とにかく相手の意見に乗っかる、の3つです。
量を出すというのは、とにかく声に出して発言することです。量を出すとさっきまでは思いつかなかった意見が飛び出し、思わぬアイデアがひらめくことがあります。否定しないということは、否定されるとアイデアが出にくくなるからです。量を出すことが大事なのですから、否定してはいけません。

そして、他人のアイデアに乗っかることも重要です。だれかのアイデアをさらにふくらませたり、そのアイデアをヒントにしてまったく違った案を出して、一つのアイデアを縦横無尽にかけめぐらせます。
カヤックで意識しているのは、アイデアを個人でひねり出すのではなく、みんなで考えるものとして日々ブレストを行っています。

――ブレストはアイデア出しのためだけではなく、いろいろな効用があるそうですね。

そうですね。例えば、社員のやる気を引き出すには最適な手法だと考えています。
どのような会社がよい会社かという議論がありますが、僕が考えるよい会社というのは、「社員にやる気のある会社」なんですね。
よい会社の指標に「社員満足度」もあるかとおもうのですが、僕は満足よりもやる気が大事と考えています。社員が満足しているということは、その会社の社員たちが現状で十分でこのままがいいということになります。これでは会社自体が止まってしまっていて、成長性も躍動感も感じることができない。僕も含めて社員全員のやる気を高めて、常に成長していたいんですね。

――たしかにそのとおりですね。

社員全員がやる気をだすためには、、一人ひとりに主体性を持ってもらいたいと考えています。言い換えると会社の問題を自分の問題として考えるということなんですが。
では、そのために何をすればいいのかと聞かれることもあるのですが、例えば「どのようにしたらもっと会社は楽しくなるか?」というブレストをみんなでします。出てきたアイデアを実際に採用するかしないかは、どちらでもよくて、実はブレストをやるだけで社員のやる気が全然変わってくるんですね。結果として、会社の雰囲気がすごくよくなります。会社のことを初めて自分のこととして考えたという経験が大事なんです。これは本当におすすめです。

発言が苦手な人はどうすればいいのか?

――ブレストでアイデアを出したり、発言したりするのが苦手な人がいると思いますが、そのような人にアドバイスはありますか?

発言ができないのには3つの理由があると思います。

1つ目は、心の中ではアイデアとか内容を思い付いているのに自信がなくて言えない場合です。言ってもしようがない、恥ずかしいというケースですね。この場合は、周りがどれだけフォローできるかが重要です。その人のアイデアを無視しないで、できるだけ拾ってあげる。ときには膨らませてあげる。これを繰り返すと、その人に自信がついてきます。

2つ目は、ほかのことを考えている場合。例えば、ブレスト中に「今日はとんかつが食べたいなあ…」なんて考えている場合です。こんなときは、無理をして建設的な発言をする必要はなく、「とんかつが食べたい」と発言すればいいんです。そこからアイデアが生まれることもありますから。会議室に置いてある新聞の見だしをそのまま言うのでもOKです。これも先輩や上司の方などブレストに慣れた人が手本を示してあげるといいですね。

3つ目は、本当に頭が真っ白になってしまう場合。そのようになったら、誰かの発言をオウム返しのように連呼するだけでも十分場があたたまって活性化してきます。
そのほか、口で貢献できないと思ったら、とびきりに面白い格好でブレストに参加するというのでもいいですね!その格好について話しているうちにアイデアが出ることもあります。最初は同期だけとか、気兼ねしないメンバーだけでやるという方法もあります。いきなり変われと言っても難しいので、徐々に時間をかけてアイデアを出すことに慣れていきましょう。

ブレストの効果は、本来の目的である「アイデアを出す」以外にもたくさんあります。ブレストは、ぜひ多くの会社で取り入れてほしいと思います。

今回はカヤックが重視しているブレストについて、そのやり方や効果、そして、発言が苦手な人をどうするかなどについて伺いました。次回は、同社が手掛けた面白いサービスやアイデアをどのように収益につなげているのかなどについて伺います。
投稿日:2010年5月6日
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