森永佳未

「最後は頼りになる」というキャラ作り

――社長に抜擢された一番の理由はご自身では何だと思われますか。

ひとつは、それまでの仕事ぶりを評価されたのだと思っています。人事の時も社長と直接話をすることも多く、簡単には引き下がらないところとか、ちょっとやそっとでは挫けないところを見てくれたのではないでしょうか。
それと、やはり「プーペガール」への思い入れの強さでしょう。いつの間にか「プーペ大好き」のオーラを出していたのかもしれません。サービスというのはそのサービスが本当に好きな人が企画しないとうまくいかないと思います。

――実際、社長になられて苦労された点は、どんなところでしょうか?

いや、もう苦労の連続でした。社内は、全員年上ですし、私は女性なので、常に「強い人」「体力のある人」というキャラを保つようにしました。私が若いとか、女性だからという理由であれこれ言う人はいませんが、周りのみんなも私以上に不安があったと思うんです。ですから、「最後は頼りになる」というキャラ作りは意識しました。

もともと体力があるので、無理をしたりはしませんでしたが、飲み会があっても次の日はきちんと早く来るとか、そういう細かいことは気をつけました。

――年上の部下というのは人間関係の部分でも難しかったのではないですか。

うーん。人間関係という点では、部下というよりも一緒に仕事をしている仲間という感じなので、そんなに違和感はないですね。組織もフラットなので、「こういうのをやろうか」「これはどうだろう」とみんなで話し合っています。年上の人には当然、丁寧語で話しますし、ギクシャクすることはないですね。

当たり前が当たり前でなくなる時期がある

――他に大変だったことはありますか。

システムの部分で大変なことはたくさんありました。テスト確認に漏れがあったため、不具合が起きて、ユーザーからお叱りをうけたりしました。

――そういう時はどうされるのですか。

まずは不具合があったことを丁重に謝罪して、損害が発生した場合にはそれを補償します。そして社内的には、なぜそのようなことが起こったのかを徹底的に議論します。

もともと3人くらいでやっていた事業ですが、規模が大きくなって人が増えてくると、それまでは何も言わずに意思疎通できていたことができなりました。ある時期、そういったことが多発したのです。何が原因か話し合った結果、今まで当たり前だと思っていたことが、人が増えたことで当たり前ではなくなったということに気がついたんです。

それで、「情報共有をしっかりしよう」とか「大事なことは明文化しよう」とか「制作のフローを表にして確認しよう」といったことを丁寧に一つ一つやっていきました。

――「わかっているだろう」とか「わかっているはずだ」からくるミスはどんな会社にもありますからね。それをいかにケアレスミスの段階で防げるかが大事でしょうね

そうなんですが、やはりユーザーの立場からすると、不具合によって損害を被っていますから、本当に申し訳ないことですし、許されないことです。フローを変えても、また別のところで不具合が出ることもあって、そのたびに反省です。でも、へこんでばかりはいられません。前を向いて進んでいくしかないですからね。

目の前の仕事をしっかりやるとチャンスがやってくる

――森永社長の一番の武器って何でしょうか?

うーん。ポジティブ、スーパー・ポジティブなところでしょうか?
既存の業界に比べて、ネット業界はまだまだ未知の領域が多くて、やってみないとわからないということがたくさんあります。日々トライ&エラーの連続で、決断して失敗するという経験がとても多いんです。そこでなんとか挫けずにやっていくには、前向きな思考が欠かせません。

――今後、プーペガールをどのようにしていきたいとお考えでしょうか。

世界に展開していきたいですね。これまで海外に対して、一切プロモーションをやってこなかったのですが、現在プーペガールでは、会員の35%が海外ユーザーです。ファッションという分野は、言語の壁を越えると思っているので、世界にもっともっとプーペガールのユーザーを増やしていきたいと思っています。

――最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

私は事業を立ち上げたわけでも、会社を立ち上げたわけでもありませんが、今、いろいろな仕事を裁量権と責任をもってやっています。そんな中で感じることは、常に自分はどうありたいかを考えながら仕事をしていると、不意に訪れたチャンスもつかめるということです。

「やりたくない仕事はやりたくない」という考えの人がいます。こういう人は、やりたくない仕事の部署に配属されるとネガティブになって、その結果、成果も出ないという悪循環に陥ってしまいます。そういう人に限って、「では何をやりたいのか」と尋ねると、はっきりとした答えがでてきません。
今、目の前にある仕事をしっかりとやることは、必ず将来、何らかの役に立つと思うんです。

――無駄なことは何もないということですね。

はい。ベテランの人ならともかく、入社したてで「今やっている仕事は私のやりたいことじゃない」なんて言っているのを聞くと、もったいないと思ってしまいます。頑張って成果を残せば自ずと次の道は開けると思っているので、私は迷ったら、チャレンジする道を選ぶようにしています。

KOSHIISHI’S NOTE ~インタビュー後記~

森永社長は若くして社長という重責を担い、その組織を活性化させ「プーペガール」を不動の人気コミュニティーサイトに成長させました。全てにおいて、妥協しないゆるぎない姿勢が強固な信頼関係を築き、自然と組織もまとまっていったのだと、インタビューを通して感じました。読者の皆様も年上の部下をもったり、抜擢されて若くして重要なポジションに就かれたりした経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。

私も証券マン時代、31才の時に営業第一課長になり、年上の部下をもった経験がありますが、その時一番気を付けたのが [on] [off] の使いわけでした。On timeの時は、例え年上だろうが言うべき事は言い、数字に対してはとても厳しいことを言い続けました。しかし、終業後にみんなで飲みに行く時は‘部下’である先輩に対して儀礼をつくし、一後輩として接することを続けました。その結果、先輩達は私を本当に信頼してくれ、部下として仕えてくれながら、先輩としていつも良いアドバイスをしてくれることも多くなり、飛躍的に数字が伸びたことを昨日のことのように覚えています。

やはり一番大切なのは、‘ゆるぎない信念と部下に対しての思いやり’であり、その役に就いた時の年齢ではないことを実感したインタビューでした。

株式会社クライアントサイド・コンサルティング代表取締役社長 越石一彦

投稿日:2009年10月21日
  • ご意見・ご感想

■この記事の評価(最高評価:★5)

0

■ご意見・ご感想はこちらからお願いします(任意)

« コラムの王様トップ »
このページの上部へ