[社長インタビュー第1回]

bjリーグでチームが増える秘密

2011/4/8

株式会社日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)
代表取締役社長 中野秀光
インタビュアー:越石一彦

地元を元気にさせたい

日本初のプロバスケットボールリーグ、bjリーグ。新潟で家紋屋の3代目として働いていた中野秀光社長は、まさか自分がプロバスケットボールリーグを束ねることになるとは夢にも思っていなかったという。だが、地元の商店街はすたれ、町に活気が失われていくさまを見て黙ってはいられなかった。「スポーツで町を元気にできないだろうか?」。そう考え、行動したときから、彼の夢への挑戦は始まっていた!

日本初のプロバスケットボールリーグ

――まずはbjリーグの概要について教えていただけますか?
bjリーグは2005年に設立された、日本初のプロバスケットボールリーグです。スタート時は6チームでしたが、現在は16チーム、次年度は20チームになる予定です。
レギュラーシーズンは各チーム52試合を戦い、上位チームがプレイオフに進んでチャンピオンチームが決まります。現在、シーズンの真っ最中ですが、昨シーズンは浜松・東三河フェニックスが優勝しました。
観客動員数は開始初年度の2005-2006年には26万人でしたが、年々増加し、来シーズンには100万人を目標としています。資本金は9億4,852万円、黒字化されたチームも増えています。
――バスケットボールのリーグには、他に「日本バスケットボールリーグ(JBL)」がありますが、こことはどのように違いますか?

JBLは基本的に実業団のリーグです。もともとはJBLがプロ化するというお話があったのですが、諸事情で断念することになりました。でも、どうしてもプロ化をあきらめたくないという人たちによってできたのがbjリーグです。
ただ、リーグが複数あるというのは、バスケットボール界全体にとってはあまりいいことではありませんし、これからバスケットボール選手を目指す若い人たちも迷うことでしょう。ですから、数年後には一体化しようということで、現在、議論がなされているところです。

黒字運営をするには…

――運営費は年間どのくらいですか?
1チーム2億円くらいですね。バスケットボールはフィールド・プレーヤーが5人ですので、野球やサッカーのようにたくさんの選手を抱える必要がありません。また、サラリーキャップ制(チームの総年俸に上限を設ける制度)を導入していますので、人件費の高騰を抑えることができています。
ただ、若い人たちに夢を与えるスーパースターを育てる必要があるだろうということで、1チーム1人だけはサラリーキャップとは別枠で無制限にしようという計画があります。また、引退後のセカンドキャリアについても、現在さまざまな方向で考えています。

――先ほど、ほとんどのチームが黒字で運営しているとのことでしたが、野球の独立リーグなどを見てもわかるように、スポーツのプロリーグの多くが資金繰りに苦しんでいるなか、すごいことだと思います。その黒字運営が可能になっている秘密と言いますか、要因はどのようなところにあるのですか?

それにはいくつかの要因があると思いますが、一つには先ほどのように選手の数が少ないうえに総年俸に上限があるので、人件費が計算できることがあります。また、バスケットボールができる体育館というのは、全国どこにでも必ずあるので、大きなアリーナを一からつくる必要がないというともあるかと思います。

もう一つ、最大の要因としては、「他の球団に積極的に経営のための情報を開示する」ということがあります。自分たちが経験した失敗例、成功例を他チームに教えるという仕組みができているのです。

――球団間の風通しがいいのですね。
球団経営で最も負荷がかかるのは、立ち上げのときです。実際、最初の6チームは、海のものとも山のものともわからないなかで、とても苦労してやってきました。3年目、4年目以降から参加したチームは、その立ち上げた球団のノウハウをいかすことで、その苦労を最小限にとどめることができたのです。

子どもたちのための活動も


――試合の運営以外にもさまざまな取り組みをされていますが、それを教えてください。

いろいろありますが、例えば「bjリーグカップ」という、中学生のための大会を主催しています。少子化の影響なのか、最近はバスケットボール部のない中学校も多いのですが、調べてみたところ、いろいろな中学校の子どもが集まってチームをつくるクラブ組織はけっこうあるのです。でも、部活じゃないので中体連の大会には出られません。

そこでそういったクラブが出られるように、bjリーグの各チームの地元で予選会をして、勝ち上がったチームで決勝大会を行います(※学校単位での参加も可)。そして、男女とも優勝チームはアメリカに行って、アメリカの中学生のチームと戦います。最初に海外遠征をしたときには、なんとダブルスコアでアメリカのチームに勝ちました。

他にも、主に小中学生、あるいはその指導者を対象として、bjリーグの選手やコーチがスキルや知識を教える「クリニックキャラバン」や、選手やコーチが小学校を訪問して総合学習の一環としてバスケットボールを教える「スクールキャラバン」などがあります。

――そもそも、中野社長がbjリーグに取り組むことになった経緯について教えていただけますか?

これをお話しすると長くなるのですが、私はもともと新潟県の小千谷市というところで、家紋屋の3代目として育ちました。家紋屋の息子がプロバスケットボールリーグの運営に携わることになるまでには、たび重なる偶然と奇跡の連続でした…。

投稿日:2011年4月8日
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