[社長インタビュー最終回]

これからは女性の時代だ!

2012/7/25

株式会社シマーズ
代表取締役 島津清彦
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

前回は、人材採用の基準や若手社員とのコミュニケーション法などについて伺いました。今回は、組織改革の方法や女性や高齢者の登用法などについて伺います。

コミュニケーションには段階がある

――よく「組織改革は難しい」という声を聞くのですが、組織改革をするために大事なことは何ですか?

組織改革がうまくいかないのは、いきなり改革しようとするからです。準備というか、組織に改革の下地ができていないにもかかわらず、改革から着手してしまうので、現場からは当然強い拒否反応が出ます。組織は生き物ですから。

まずはしっかりと現場とコミュニケーションを図って、現場の人たちの気持ちをつかんでからでないと、改革に着手してもうまくはいきません。

私はコミュニケーションにも段階があると思っています。やみくもにコミュニケーションを図るのではなく、まずは「観察」することが大事です。よくよく観察したら、現場の声に耳を傾けます。「傾聴」ですね。

――なるほど。よく見てから、よく聞くということですね。

はい。次に大事なのは「自己開示」です。つまり、上の人間が現場の人たちに対して、自分自身をさらけ出すのです。人は、自分をさらけ出した相手に対して、親近感を覚えます。弱点をさらけ出した相手なら、なおさらです。心を開いて「僕も昔、こんな失敗をしたことがあってね」というような話をすると、相手も心を開いてくれるものです。

そうやって心をつかんでから改革に取り組むと、とてもスムーズに進みます。心をつかんだ段階で、改革の半分は達成しています。

――若者とは逆に、最近は年配の部下をもつというケースも増えてきたと思います。年配の人とのコミュニケーションで気をつけなければならないことはありますか?

いいか悪いかはともかく、年配の人は長い間に培われた、その人なりの信念、ポリシーをもっています。それをリスペクト(尊敬)したうえで、言うべきことをしっかり言うというのが大事です。部下であっても人生の先輩なわけですから、そこはしっかりと人生の先輩として接しなければいけません。特に言葉使いには気を付ける必要があります。

上司と部下の業務上の命令だったとしても、見下したような態度は厳禁です。たとえ相手に非がある場合でも、「とにかくやってくれないと困るんだよ!」では相手もカチンと来ます。普通に「○○さん、これはやっていただかないと困ります」と言えばいいのです。

――上手にコミュニケーションできれば、年配の人の仕事に対する情熱に火を着けられますね。

年配の人が「自分のやってきたことを次世代に残したい」と思うのは、人間の本能だと思います。そこを刺激してあげることで、モチベーションはぐっと高まります。

「○○さんのやってこられたことを、きちんと会社に残していただけますか!」

「○○さんのもっているすばらしい財産を、次の世代にしっかり伝承してくださいね!」

そのような言い方をすれば、きっと喜んで若者たちを指導してくれることでしょう。

例えば「わかりました。あいつは私が責任もって育てます。社長、任せてください」そんな言葉が出てきたら最高です。人を育てようという関係が組織にできあがると、その組織は放っておいてもよくなります。

女性の力を活用する

女性の力を活用する

これからは女性の時代だと思っています。もっと言ってしまうと、男はダメです(笑)。政治の世界でも、ビジネスの世界でも、これまでの男中心の社会はうまくいかなくなってきています。

日本と同じ時期に戦後からの復興を開始したドイツが脱原発を宣言し、これだけ地球環境分野で大きくリードした背景には様々な分野での女性の登用があると聞いています。もちろんメルケル首相の決断力が大きかったと思います。腹を括った女性に男は絶対敵いません。

男性の組織マネジメントがうまくいかないのは、空気を読み過ぎて、言うべきことを言わないという部分があるからだと思います。女性は、空気を読まずに言うべきことはズバっと言います。

――「君、あの場面であんなことを言うべきじゃなかったよ」とか後から言うのは、たいてい男性ですよね。

はい。また、女性は一般的にお互いに助け合うという考え方が強いです。昨今は多くの企業においてけん引型、剛腕型のリーダーシップではうまくいかず、支援型のリーダーシップが求められているのですが、女性のリーダーはまさにこのような状況において適任なのです。

これからは、お互いがお互いを支援し合うような組織こそが、伸びていく組織です。ピラミッド型の組織は、これだけ変化の激しい時代に適応できなくなりつつあります。

さらに、女性は感性が豊かで、流行にも敏感です。男性はそれを追いかけているにすぎません。変化の求められるこの時代、女性の感性は企業にとっては、もはやなくてはならない要素と言えます。

――男性社会の中で過ごしてきた人のなかには、女性との接し方がわからないという人も少なくないようです。どのように接するのがよいのですか?

男女のそれぞれの強みや弱みをもっと互いが知るべきです。いわゆるダイバーシティという考え方があり、先日もそのテーマでパネルディスカッションをやらせていただいたのですが、とにかく互いの強み弱みをもっと知る、会話や議論する場を増やすという結論になりました。会場では「いよいよ女性の時代到来」と思わせるほどの大きなうねりを感じました。

それから常にフェア(公平)な対応をとることです。

――女性の上司に対しても、男性の上司と同じように接するのがいいのですか?

基本は同じように接するのがよいと思います。ただ、私の経験上から言いますと、女性のほうが男性よりも直感力に優れています。これは、感情、つまり右脳でジャッジすることが多いということでもあります。

それからなんだかんだ言っても、仕事をスムーズに進めるには、やはりその上司に「好かれる」ことが大事だと思います。媚を売れと言っているのではありません。女性の上司に好かれるには、感情の部分に働きかけるほうがいいということになるでしょう。例えば、誕生日とか記念日にちょっとしたプレゼントをするというのもいいです。

また、報告や相談もできるだけシンプルに、かつ率直に進言したほうがよい関係が築けます。男性の上司以上に、まめに報告して、コミュニケーションを密にしたほうがいいです。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

時代は大きく変わります。「変化は進化だ」ということは肝に銘じておきたいですね。今後は変化なしには生き残れません。

モノづくりの時代は長時間働くほど売上は増えましたが、今はコトづくりの時代になりました。コトづくりの時代とは言い換えればアイデア・知恵比べの時代です。長時間働くことから生み出される成果よりも短時間でも柔軟な発想から生み出され成果の方がより大きくなる、ということも日常茶飯事です。

「泉のごとくアイデアが出てくる組織とは」「社員が幸福感を感じて生き生きと働ける職場とは」 経営者や管理職の皆さんは常に目の前の職場環境を改善し続けることが求められます。

「結果が出たから幸せを感じる」のでではなく「幸せを感じている環境が良い結果を生む」ということも多くの研究でわかってきました。最も幸せを実感できる組織とは「互いが助けあう組織」だそうです。これこそ私たちがかつて誇りとした日本的経営の強さだったのではないでしょうか。

――ありがとうございました。

KOSHIISHI’S NOTE ~インタビュー後記~

島津社長の取材を終えた感想は、マネジメントとは、実はとてもシンプルであり、部下に対して興味を持ち続けることがもっとも大切である、ということでした。

マネジメントでもっとも陥りやすい間違いとは何でしょうか?

それは、相手の性格や価値観より、仕事の能力を優先して理解しようとすることです。当然、営利企業であるかぎり当たり前のことかもしれません。しかし、部下を観察し、人として理解を深めていくことが、短期的にチームとしての成果を向上させることになるのです。

証券会社の新人時代を思い出すと、上司からの指示は、がんばれの一点張りでした。何も迷わずに飛び込み営業をしたものですが、あれは、日本が拡大市場だったからできただけです。停滞期である現在は、根性論だけでは部下は成長しません。

急がば回れ。じっくりと部下と向き合い、恐れず一歩踏み込んだ人間関係を築くことが、部下を持つ人間の責任であり、そして楽しみではないでしょうか。

株式会社クライアントサイド・コンサルティング
代表取締役社長 越石 一彦

<完>

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2012年7月25日
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