[社長インタビュー第2回]

いまの若者は我々よりも進化している!

2012/7/18

株式会社シマーズ
代表取締役 島津清彦
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

前回は、幸せな組織こそが業績を上げるという話や島津社長の現場とのコミュニケーションについて伺いました。今回は、人材採用の基準や若手社員とのコミュニケーション法などについて伺います。

人事担当者が現場を回ると業績が上がる

インタビュアーの越石氏

――前回は、組織マネジメントについて伺いましたが、いい組織をつくるにあたって、人材の採用基準のようなものはありますか?

経済が右肩上がりの時代は、各企業ともプロフェッショナルな人材を重宝しました。それぞれの専門性をいかすことが業績の最大化につながったからです。だから、営業のプロとか経理のプロという人、あるいは将来はそうなりそうな人材を採用しました。

右肩上がりでなくなった現在は、専門性をあまり重要視しません。専門家よりも、ゼロをイチにできる人材、自分で何かを生み出せる人材、自分のアタマでものを考えられる人材がよい人材となりました。モノづくりからコトづくりの時代になったからです。

あるいは、自分で生みだせないとしても、「あの人とこの人が一緒になったら、新しいものが生み出せる」と考えて、その人たちをコラボレーションさせて価値を創出するというのも、ゼロをイチにできる力だと思います。

――人と人とのつながりから生まれるものは大きいです。

そのような意味では、採用の段階で「この人は何課の誰々と組んだら力を発揮しそうだ」とか「誰々の部下にして育てられたら伸びそうだ」といった組み合わせまでも考えます。

――それは採用面接の段階から意識されているのですか?それとも、採用が決まってから考えるのですか?

両方です。採用面接の段階でも仮配属案を考えますし、配属前の段階でも考えます。この人は、この部署なら合うなとか、彼と組んだら伸びるなと考えながら面接しました。

――人事担当者がそこまでイメージできるというのは、やはり現場をよく知っていたからですよね。

組織全体を作り上げる人事は、現場を知らないといけません。現場を知らずに人事の仕事はできないはずです。

人事は、密に現場とコミュニケーションを取って、いろいろな情報を得ておく必要があります。もちろん、手間も時間もかかります。でも、なぜそれをするかと言うと、組織が大きな力を発揮するには「適材適所」が何よりも大切だという信念があったからです。

――面接で、この人はゼロからイチを生み出せる人材だと判断するための基準のようなものはありますか?

やはり、それまで何をやってきたかを見ます。新卒であれば、学外の活動のなかでどのような経験を積んできたかということにも注目しました。スポーツでも、サークル活動でも、アルバイトでも、社会貢献活動でも何でもいいのですが、その内容のなかにゼロからイチを生む要素があるかどうかを見ます。

例えば「こんなサークルを立ち上げて、盛り上げました」のような経験は、普通すぎて、あまり響きません。その経験のなかに「他にはないオンリーワン」な活動があったかどうかが重要です。

もう一つは、育った環境や周囲からどのような影響を受けたかを見ました。親を含めた周囲の環境からどんなことを学んできたか、何を教わってきたかということです。社会に出て急にできるようになるという人はほとんどいないでしょう。それまでの蓄積が社会に出て発揮されるのです。

若者と中年の欲求対象は違う

――組織を任された中堅社員が「最近の若いやつは何を考えているのかわからない」と嘆く姿をよく見ます。こういう人たちにはどのようなアドバイスをされますか?

今の若者は、私たちよりも進化していることを理解しなければいけません。モチベーションや幸福を感じる対象が私たちの世代とは明らかに違うのです。

私たちの世代はこれまで、物質欲や自己実現欲求が自分の幸福度とリンクしていました。ところが、今の若者たちはそうではありません。物を独り占めせずに他の人と共有(シェア)したり、社会に貢献していると感じたりすることで幸福感を得るのです。もちろんすべての若者がそうだと言うつもりはありませんし、そもそもそうやって一括りにされることを今の若者はもっとも嫌いますから。

例えば私たちの世代に、かっこいいとか、すごいともてはやされる派手なスポーツカーがあったとします。ところが今の若者は、「そんな燃費の悪い車に乗って排気ガスをまき散らすなんてエコじゃないし、かっこ悪い」と感じるのです。社会にとってマイナスなことはかっこ悪いわけです。

マズローの自己実現理論では欲求のピラミッドは5段階ですが、実は第6段階の欲求があるといわれています。それは、「利他の欲求」です。彼らは私たちより進化しているので、この「利他の欲求」が強いのです。

――昔、「自己超越の欲求」という第6の欲求を聞いたことがあります。

それと同じですね。自己を超越して、他人の利益を欲するようになるわけです。

――私たちとはモチベーションや欲求のレベルが違うということ、そしてそれは実は私たちよりも進んでいることを理解して接する必要があるわけですね。

そうです。自分の考えと違うからとか、相手の考えが理解できないからといって、それを劣っているとか未熟だとかよくないことだ、と言うのは間違いです。

例えば、今の若者は面と向かったコミュニケーションが苦手です。上司がいくら「腹を割って話そう」と言って飲みに誘っても、なかなか本音を話しません。でも、それを「自分の意見のないやつだ」とか「はっきりものを言えないやつだ」と決めつけてしまうのは、性急すぎます。 

私がある大学で現役大学生を対象に講演した時も、講演中は総じて反応が鈍かったです。

――聞き手の反応が鈍いと不安になりますよね。

私も最初はそう思いました。「今日の話は心に響かなかったな」と直後に反省したりもしました。ところが後日、その講演を聞いた学生からの感想文がどんと山のように送られてくるのです。

それを読むと、しっかりとした感想が書かれていました。私の講演が彼らの心にしっかりと響いていたことがわかる、とても熱い文章がつづられていたのです。それも一人や二人ではなく、実に多くの学生が熱い感想を寄せてくれました。面と向かって相手に表現するのは苦手でも、あとで文章にして表現するのは得意な人が多いと感じました。

ですから、若者とは面と向かって話すことを求めつづけるのではなく、あえてメールでやりとりしてみるというのもいいかもしれません。「目の前にいるんだから、直接言えよ」というのは、私たち古い世代の論理です。今の若い人は目の前にいるからこそ言いづらい。そこを理解してあげることで、コミュニケーションがぐっと深まると思います。目的は「コミュニケーション」です。言葉やメールはあくまで手段です。

――それを理解したうえで、若手とよいコミュニケーションができるようになる方法はありますか?

いいところを「具体的に」ほめることだと思います。単に「よかったよ」ではなく、具体的にどこがどうよかったのかを伝えることです。そうすることで「この人、私のこんなところまで見ていてくれたのか」と思い、「いつも見ていてくれるのだから、しっかりやらなくちゃ」というやる気スイッチが入っていきます…。

次回は、幸せな組織論の最終回。組織改革の方法や女性の登用法などについて語っていただきます。

<最終回:これからは女性の時代だ!>

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2012年7月18日
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