[社長インタビュー最終回]

海外で日本人同士がつるむな!

2012/2/29

レイオンコンサルティング株式会社
代表取締役 橋口昌弘
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

前回は、リペアサービスを手掛ける職人たちをどのようにシステム化していったのかなどについて伺いました。今回は、レイオンコンサルティングが今後展開していこうとしている中国でのビジネスについて伺います。

建設業は地場産業である

――御社の今後の展望について聞かせてください。

私は世界で戦える会社にしたいと思っています。やはり日本国内だけの市場を考えるよりも、世界全体をマーケットとして考えた方が事業としても将来性がありますよね。

実際、建設業という視点で見ても、日本の技術に対する世界の期待値は高いのです。ただし、建設業というのは基本的に地場産業であり、地元密着の構造になっています。私は今、中国への進出を模索していて、昨年は20回以上、中国に行きました。やはり、地元密着なのは中国でも同じ、おそらくこれは万国共通なのではないでしょうか。

――たしかに、自分たちでパイを分け合っていたところに、よそから来た人が「分けてくれ」と言っても分けてはくれませんよね。

そうです。だから、パイを分けてもらうのではなく、新しいパイを持っていかないといけません。普通のことをやっていたのでは受け入れてもらえないので、彼らにないものを提供するしかありません。

そのような観点から、弊社の技術はもちろん、仕組み、ルール、マニュアルといったものも彼らにないものとして受け入れてもらえるのではないかと考えています。

――中国でもリペア事業は成功すると考えていますか?

リペア事業はまだ時期尚早かもしれません。中国はまだ職人が専門化されていません。みな、素人の域を脱していないのです。さらに、農民工と呼ばれる人たちはやがて農家に帰って行ってしまいます。仕組み化されていないのです。

ただ、逆に言えば、仕組み化できている我々にチャンスがあるとも言えます。今の段階では具体的には言えませんが、そのチャンスを逃さないように中国展開をしていきたいと思っています。

――中国というと、よく「共同出資の合弁会社じゃないと難しい」とか、「向こうに知り合いがいないと無理」とか、「お役人に袖の下を握らせろ」とか、ハードルの高さがやたらと強調されますが、実際に中国に行かれてみていかがでしたか?

そのような話は私もよく聞きますし、行く前はそういうものなのだろうとも思っていました。ですが、行ってみると決してそのようなことはありません。「合弁じゃないとダメ」というのは思い込みです。共同で出資しないと成功しない事業かどうかだけが、合弁事業にするかどうかの判断基準でしょう。必要なら一緒にやればいいし、必要ないなら一緒にやる意味がありません。

私は、中国を難しくしているのは日本人なのではないかと思っています。あまりにも既成概念に毒されているような気がしてなりません。おそらく、中国へ行かれている多くの方が日本からの一時的な出向で、何年かしたら日本に帰るという人だからではないでしょうか。つまり、中国の懐に入ることをせず、日本人だけでグループを作って、外側から中国を見ているだけのような気がします。

正面から向き合うということ

――日本人は中国人の懐に入っていないとのことですが、すでに橋口社長は、まだまだ日本人が少ない内陸部で行政の方ともネットワークを築いています。どのようにして人脈をつくっていったのですか?

そもそものきっかけは、まずは中国語を勉強しようと思い、たまたま飛び込み営業で来た中国人を気に入ってスカウトしたのです。

彼自身に建設業界に友人が多いとか、特別なコネクションがあるとか、本当に何もなかったのですが、とにかく探してくれと頼みました。いま中国では建設業と言えば花形産業です。「何かあるだろう」と気楽に考えていると、数日後に「見つけました」と連絡が来たのです。「よし、その人に会いに中国に行こう」と彼と一緒に中国に行きました。

――そのきっかけがすごいですね。その人脈は広がっていったのですか?

そうです。わらしべ長者ではないですが、それを突破口に商談がどんどん進んでいきました。正直、確証は何もなかったのですが、チャンスと思ったときに動くのが商売の基本ですから、それをそのまま実践したのです。

――それはすごいですね。よくあるのは、中国の有力な仲介人を紹介してもらって、その仲介人を通して、さまざまな情報や人脈を集め、ようやく現地を訪れるといったかたちだと思いますが、何の確証や確約もなしで、しかもたまたまスカウトした飛び込み営業マンをつてに商談を取りつけたのですか?

そうですね(笑)。説明が不足していましたが、1回の訪中ですべてを成し遂げたわけではありません。何度も中国に足を運び、中国の方と正面から向き合い、人間対人間の付き合いと言いますか、腹を割って話を続けた結果そうなったということです。

日本人は、海外に行くと不安なのか、すぐに日本人と一緒になりたがります。しかし、私は中国では日本人とは一切会いませんでした。中国で成功されている人を見ても、ほとんどの方が中国人とだけ付き合って、日本人とつるまずにやっています。

日本人がいるとどうしても甘えというか、人任せになりがちです。自分しかいなければ自分でなんとかするしかありません。自分で何とかするんだという気概をもって臨むことが大事なのではないでしょうか。

日本人は海外で勝負できる

――最後に読者の方々にメッセージをお願いします。

私は海外進出を考えるようになって、改めて日本というものを意識するようになりました。お国のためと言うと少し大げさかもしれませんが、誰かが捨て石になって再び海外に行くべきだという気持ちはあります。

日本人がこれまで大切にしてきた精神というものは、いまでも海外で十分に通用するということを証明したいと思っています。日本の価値を海外に示したいのです。地場産業である建設業界で、海外で活躍できれば、多くの日本人、日本企業の自信にもつながるのではないかとも思っています。

――ありがとうございました。

KOSHIISHI’S NOTE ~インタビュー後記~

レイオンコンサルティング橋口社長
インタビュー後記

建設会社のコンサルティングをしたことから、現場の職人の技術と気持ち次第で、住宅やビルの出来上がりが変わることを何度も経験しました。

彼らの経験や意見を尊重して、迅速かつ気持よく仕事をさせる仕組みは、建設業界における長年の課題でした。その課題に挑戦したことが橋口社長の成功の一つの要因だったと思います。

材料、工具、工法などの統一化も素晴らしいですが、もっとも感銘を受けたのが、『ユニット制』というチームの考え方を導入したことでした。「『会社』は知らないが、『仲間』には迷惑をかけたくない」という職人が大切にしている気持ちを、連帯責任という言葉で仕組み化したことが彼らに受け入れられたのだと考えます。

それから、インタビューで語っていた「中国で商売をするには、自分が中国という国を知るべきだ」という言葉も印象的でした。中国への進出を決めてから1年間で何十回も中国を訪れたそうです。行動で社員たちをけん引する振る舞いと強い決意を示すそのまなざしに、これからの日本を背負う経営者になることを確信しました。

株式会社クライアントサイド・コンサルティング
代表取締役社長 越石 一彦

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2012年2月29日
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