[社長インタビュー第2回]

職人にも筆記試験を課す

2012/2/22

レイオンコンサルティング株式会社
代表取締役 橋口昌弘
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

前回は、橋口社長がいかにして未経験だった建設業界に飛び込んでいったのか、そしてリペアサービスのどこにビジネスとしての可能性を感じたのかなどについて伺いました。今回は、職人たちにルールやマニュアルをどのように教えていったのか聞きます。

材料、工具、工法をすべて統一化した

――前回からの続きで、まずルールを決め、具体的なマニュアルを作成し、それを動かす仕組みを構築したと説明していただきましたが、どうやって職人たちにルールやマニュアルを理解させていったのですか?

材料、工具、工法をすべて統一にしました。まずは、材料。これはすべて会社が指定するものだけを使うこととしました。そのようなことは当たり前だと思われるかもしれませんが、職人の判断で、自分の手元にある材料を使ってしまうことがあるのです。しかし、それでは品質の保証ができません。

また、工具一式をすべて会社が支給しました。自前の工具は禁止ということです。これも品質に直結しますし、工法の統一をしようというときに、工具が違っては統一化ができません。

そして、最後に工法の統一。きちんとマニュアル化し、すべてのキズをパターン別にマニュアルのとおりに補修するとしました。そうすることによって、決まった工数が算出できるので定価も設定できました。

――長年使った自分の工具に愛着があるという職人もいたのではないでしょうか?

最近はそうでもないです。職人といっても、この道何十年というよりは、美大を卒業したばかりの若い職人が多いので、むしろ会社が買いそろえてくれるならありがたいと思う人のほうが多いです。

――他にはどのようなルールがありますか。

ユニホーム着用の義務化があります。一般的に職人というのは直接現場に手配されることが多いので、社への帰属意識とか、社の看板を背負っているという意識は希薄です。

これではお客様への信用の部分に関わりますから、弊社のユニホームを着用してお客さまのところへ伺い、社を代表して仕事をしているという意識を職人にもたせるようにしました。弊社はアルバイトとか契約ではなく、全員を社員として雇用しています。レイオンが雇用して、レイオンが教育して、レイオンが責任をもっている職人たちですから、そこは徹底しました。

――制服の着用も嫌がる職人はいなかったのですか?

はじめは嫌がる人もいました。そこで、これも仕組みの一つなのですが、弊社では「ユニット制度」を導入しています。

仲間と一緒に自分を高めていける「ユニット制度」

――「ユニット制度」というのはどのような制度なのですか?

7~8人くらいのチームを作って、チームとして評価を行うという制度です。いろいろな評価基準があるのですが、ユニットのメンバーの評価はユニットリーダーの報酬に直結するようになっています。

評価は点数制になっているので順位がつくのですが、上位のユニットリーダーと下位のユニットリーダーとでは、手当の金額が3倍違うのです。そのような仕組みを取り入れることによって、チームのメンバーの評価がチーム全体に影響するようにしました。

ルール化されたことを守らないと、チームの仲間に迷惑がかかります。逆にしっかりやればチームが評価されます。職人たちは、自分の行動を自分の責任として背負うことは何も気にしませんが、仲間に迷惑をかけることは嫌います。

――チーム全体で上の方へ行こうというモチベーションにもつかながります。

はい。さらに、それによってサービスの品質そのものも高くなっていきますから、お客様の満足度も高まることになります。

また、モチベーションの話で言いますと、弊社には9級から3段まで、職人のランクを設けています。定期的に昇級試験があり、合格するとランクが上がります。もちろん、ランクが上がれば報酬も上がります。

――どのような試験をされるのですか?

特徴的なのは、職人の試験なのに筆記試験があることです。

――職人に筆記試験ですか。つまり、職人も勉強しなければならない。

そうです。例えば、個人宅のお客様から補修の依頼をいただいた場合、お客様に詳しく説明しなければなりません。シックハウス症候群のお宅で、いきなり説明もなしでスプレーを吹き付けたら大変です。安全であることをきちんと説明してから作業しなければなりません。

ですから、「シックハウス症候群とは何か」とか「ホルムアルデヒドとは何か」、あるいは「どうしたらシックハウス症候群の症状が出るのか」といったことを知っておく必要があるのです。

――でも、「勉強してください」と言っても、なかなかしてくれないのではないでしょうか。勉強してくれないと、お客様の満足度にも影響します。

ええ。ですから、報酬とセットになっているわけです。「勉強してください」と言って勉強してくれるなら苦労しませんが、職人に限らず、それだけでは難しいでしょう。なので、しっかり勉強した人はその分、報酬も増える。勉強しなければ低いままという仕組みにしたのです。やはり、報酬に直結するとなれば、みんな頑張って勉強します。

――職人のやる気が変りますね。

また、職人を極めた人は、管理職に移れるようにもなっています。もちろん、職人のトップとしてやっていくのでも構いません。実際に職人でも、家が買えて、子どもを養っている人がいます。しっかりやればあの人のようになれる、ということを理解してもらってから仕事に取り組んでもらっています。

――職人のアルバイト気分が、社員としての自覚に変わり、一生涯の仕事へという感覚に変わる。自分自身スキルアップしていける仕組みになっているわけですね。

自分自身のスキルアップは、8割は研修で、2割は本人の努力と言っています。つまり、8割はシステムによって持っていけると思っています。

研修内容も、うちの社員が考えに考えて、常にブラッシュアップしています。もし他社がまねをしようと思ったとしても、一朝一夕にはできないだろうという自負はあります。

次回は、レイオンコンサルティングの今後の展望として描いている中国でのビジネスについて語っていただきます。

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2012年2月22日
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