[社長インタビュー第1回]

非常識な業界だからこそ絶対に勝てる!

2012/2/15

レイオンコンサルティング株式会社
代表取締役 橋口昌弘
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

斜陽産業だから勝ち目がある

レイオンコンサルティング株式会社は、不動産、建築業界に向けて品質管理、顧客満足度向上サービスを提供している。創業時からの事業であるリペアサービスは、建築物の扉や床、サッシなどのキズを修復してあたかも無かったようにするサービスだ。リペアサービス自体は以前からあったものだが、これがきちんとシステム化され、事業化されている会社が少なかった。個性の強い職人を相手に、いかに事業として成立させたのか。また、サラリーマンだった橋口社長が、それまでまったく経験のなかった業界、しかも決して成長産業とは呼べない建設業に飛び込んでいったのはなぜか。勝算はどこにあったのか。橋口社長のビジネスに対する熱い思いと共に語っていただいた。

「おめでとう!」と言われた

――御社、レイオンコンサルティング株式会社は、住宅のリペアサービスを中心に、ディベロッパーやハウスメーカー向けサービス、ホテルのクリアランスサービスなど、大きな成長を遂げておられます。特に住宅のリペアサービスでは目を見張るものがありますが、そもそも起業をしようと思ったのはどうしてですか?

まったくの偶然だと思います。「消極的な起業」と言っているくらいで、私自身が起業せざるをえない状況だったからです。

会社を立ち上げる前は、住宅や建設業とはまったく縁のないIT企業向けのヘッドハンティングの仕事をしていました。ご存じのとおり、2000年頃にITバブルがはじけて、業績は下がる一方でした。

大好きな会社でしたが、経営方針の変更について私の言い分をまったく聞いてもらえませんでした。売上が下がり続けていましたから、このときに「自分でかじとりができない船に乗るというのは、いかにリスクの高いことなのか」と実感したのです。

――それですぐに起業をしたのですか?

いいえ、まずは転職活動をしました。同業他社の面接をいくつか受けたのですが、どの会社に行っても、担当者の目が死んでいました。職業として仕事をやっているだけで、決して楽しんでやっていないし、自分はこうなりたいとか、この業界をこうしたいといった思いがまるで感じられないのです。「この人たちと仕事はできないな」と思いました。

――それで、自分でするしかないと考えたのですね。

そうです。ただ、まだ何も決めていない段階で、懇意にしているお客さまに、「どうするの?」と聞かれたので、「起業をしようと思います」とポロッと言ってしまいました。そうすると、「おめでとう!」と喜んでくれたのです。さらに「事務所は決めたのかい?」と質問されたので、「いえ、まだ何も」と答えると、「わかった。知り合いがいるから借りてやる」と目の前で電話をかけはじめました。それで、あとに引けなくなったのです(笑)。

――起業をすると一人になってしまうと思っている人もいますが、意外と味方になってくれる人も現れるものですよね。最初は、ヘッドハンティングの会社を立ち上げたそうですね。どのようにしてリペア業界に関わっていくのですか?

これが本当に偶然で、ある日元同僚とばったり会ったのです。立ち話をするなかで、彼が「こんな事業をやっている会社がある」と、フローリングのキズの補修前と補修後のサンプル板を見せてくれました。単純に「このキズがこんなにきれいになるのか!」と衝撃を受けて、興味をもったのです。そして、いろいろ調べていくうちに、これは勝負できるのではないかと考えました。

建設業にサービスの概念を持ち込む

――これまでまったく未知の業種、しかも建設業は当時もすでに花形とは言えない、どちらかと言えば成長の鈍い産業だったと思います。補修技術に感動したのはわかりますが、ほかにきっかけがあったのではないですか?

そうですね。業界のことを調べ始めてまず感じたことは、建設業界はあまりにも非常識なことが多すぎるということでした。例えば、職人が来るべき仕事の現場に来ないとか、「これをやってね」と頼むと「え~?」と言って嫌な顔をするとか。普通の仕事ではあり得ません。

私が勉強をしに行ったリペアサービスの会社もそのような会社でした。驚いたのは、社長以下、全員が会社で暇そうにしているのです。「なんでみなさん、暇そうにしているのですか」と聞くと「仕事がないからです」という答えが返ってきました。「だったら、営業活動をしたらどうですか」と提案すると、「そんなことをしたことがない」と平気な顔で言うのです(笑)。ただひたすら、注文のFAXが来るのを待っているだけで十分というのが、彼らの意見でした。でも暇だと。「だったら、私が営業のお手伝いをしましょうか」と手伝い始めたのが、最初のきっかけでした。

――ちょっと普通の会社では考えられないですが、なぜ営業活動をしなかったのでしょうか?

他の会社も同様だったと思いますが、リペアの職人というのは美大出身の方が多く、彼らはその仕事がしたいわけではないのです。本業は自分の「製作活動」で、リペアはお金を稼ぐための手段という位置づけなのです。製作が主で、仕事は従。リペアの技術はしっかりしていましたが、仕事に関しては適当でした。

――適当で会社はやっていけたのですか?

それが、それなりにもうかっていたのです。当時はリペア専門の会社が少ないこともありました。いわゆるニッチな業種だったわけです。しかしも、市場は右肩あがりで成長していました。

例えば、住宅をある程度組み立てたあとで、サッシにちょっとしたキズが見つかったとします。ちょっとしたキズとはいえ、目立つものであればお客さまからのクレームにもなりかねません。従来であれば、サッシそのものを交換します。

――工事のやり直しになってしまいますね。

そうです。そうなると、職人の工賃が発生しますし、納期の遅れの問題も発生します。さらに、現場でついたキズだったら、サッシの材料費も支払うことになります。

キズにもよりますが、リペアなら20~30分ですっかりきれいになります。交換を考えたら、非常に安いコストと短い時間で対応できるのです。ですから、住宅メーカーなどからの注文は日に日に増えていきました。

――そして、本格的に手掛けるのですね。

中身を知れば知るほど、あまりにもあり得ないことだらけでしたので、「これだけ利益が出るなら、俺がやったら負けるはずがない」と思いました(笑)。最大の課題は「あらゆることが適当だ」ということでした。

例えば、建設業界には定価がありません。すべて言い値です。それで値切られたら「じゃあ、ちょっと下げましょう」。これはおかしいです。ですから、まず定価を決めることからはじめて、あらゆることを商売の基本に戻そうと思いました。

――業界にお客さま本位の論理を持ち込んだということですね。

そうです。私たちは、自分たちの都合で勝手につくってしまった適当な業界のルールを、お客様本位のルールに戻すことからはじめたのです。ですから、お客様に満足を提供するためのルールをつくり、誰が行ってもある一定以上の品質となるようなマニュアルを作成し、それを動かす仕組みを構築していったのです。企業理念にも、「私たちはサービスを通じて、世界中の人々に心の満足を提供する企業を目指します」とあるように、建設業界でサービスを提供しようと考えたのです。

次回は、どのようにして職人気質の業界にルールやマニュアルを持ち込んだのかについて、語っていただきます。

<第2回:職人にも筆記試験を課す>

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2012年2月15日
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