[社長インタビュー第1回]

世界に“定宿(じょうやど)”を持つという贅沢

2011/11/2

日本スターウッド・ホテル株式会社
日本・韓国・グアム地区統括社長
ロタ・リチャード・ペール
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

日本は観光立国として立ち直れるのか

ウェスティン、シェラトン、セントレジスなど、世界100か国で1,060軒をこえるホテルを運営するスターウッド ホテル&リゾート。震災後にすぐに、世界各国5,000人の営業担当者を動員し、激減した外国人観光客を呼び戻す営業プロモーション活動を実施した。日本スターウッド・ホテル株式会社のロタ・R・ペールは「日本はこれからも魅力あるマーケットであり続ける」と語る。その根拠や観光客数の回復のカギと実践方法などについて、函館観光大使でもある越石一彦が迫る。

さまざまなニーズに応えるためのブランド展開


セントレジスホテル大阪

――まずは御社の概要からご説明いただけますか?

日本スターウッド・ホテル株式会社は、世界100の国と地域に1,060軒のホテルを展開するスターウッド ホテル&リゾート ワールドワイド Inc.の日本法人です。私自身は、日本・韓国・グアム地区統括社長として、現在、日本、韓国、グアムに計23軒のホテル・リゾートを経営しています。

「シェラトン」ブランドのホテルが計12軒、「ウェスティン」ブランドのホテルが計9軒、「セントレジス」ブランドのホテルが日本に1軒、「W(ダブリュー)」ブランドのホテルが韓国に1軒といった内訳です。

――それぞれのホテルブランドにおけるサービスの違いについて教えてください。

それぞれが異なる価格帯を有しており、それぞれのホテルのプログラムに特徴があります。「コアバリュー」と呼ばれるブランドの核となるものがあり、それをもとにそれぞれのブランドに鍵となるコンセプトがあります。

例えば「シェラトン」ブランドはビジネスユーザーを意識したサービスが数多くあります。マイクロソフトと協業した「Link@Sheraton(リンク@シェラトン)」という施設がそれの1つです。リラックスした環境でコーヒーを飲みながらインターネットができます。ご利用は無料です。これによって、旅先でも快適なビジネス環境を保てます。また、家族利用のお客さまも多いので、子連れの旅行にも適したサービスもご提供しております。

「ウェスティン」ブランドでは、長旅でお疲れのお客さまにも到着の日よりもさらによい気分でご出発いただけるよう、最も健康かつ魅力的なサービスをお届けしています。例えば、お客さまに世界中どこでも同じ眠りを提供するという考えのもと、「ヘブンリーベッド」というオリジナルブランドの特別なベッドを用意しています。また、40代の経営者層のご利用が多いというアンケート調査もあり、そういった方々に快適なビジネス環境をご提供するという役割も担っています。

「セントレジス」ブランドは、時代をこえた洗練さとモダンな高級感を併せ持ち、常に最高級のおもてなしを追求しております。その特徴の一つに「バトラーサービス」があります。例えば、今日着ていたスーツを翌日にはきちんとアイロンのかかった状態でご用意したり、荷物のパッキングや荷解きのサービスなどを依頼したりできます。

ブランドの背景にコア・コンセプトあり

セントレジスホテル大阪 ロビー

――日本には「定宿」という文化があります。自分の「定宿」を愛して、そこに通い続けるというものです。以前は、日本のビジネスマンも、出張であっても一回一回異なるバカンスのつもりで出掛けて行く人が多かったのですが、もうそのような時代ではないと思っています。「定宿」を定めて、常に同じサービスを受けて、安心して仕事に励むという時代です。御社はその「定宿」という概念にぴったりな印象があるのですが、ペール社長は「定宿」という考え方についてどのようにお考えですか?

私どもも、ご指摘の「定宿」という考え方を根底に、さまざまなサービスを提供しています。例えば、一口に出張と申しましても、各旅行者はそれぞれご要望が異なります。その異なるご要望にお応えするために、異なるブランドを用意しているのです。

例えば、ウェスティンで言えば「personal instinctive renewal(一人一人が本能的に生まれ変わる)」というコンセプトのもと、ヘブンリーベッドやヘブンリースパ、健康的な食事メニューなどのプログラムを展開しています。

セントレジスには「uncompromising(妥協のない)」「bespoke(オーダーメイドの)」「seductive(魅力ある)」「address(手際のよい)」という4つのコンセプトがあります。お客さま一人一人のためにしつらえた妥協のないサービスをご提供しているのですが、このブランドの特徴として、エグゼクティブフロアのようなワンランク上のカテゴリーをあえて設けておりません。

なぜなら、ホテルのブランドコンセプトが「一人一人のお客さまにオーダーメイドの魅力あるサービスを手際よくご提供する」ことだからです。つまり、すべてのお客さまが特別であり、すべてのお客さまに対してワンランク上のサービスをご提供しているのです。

ホテル全体がプライベート・レジデンス(個人の邸宅)のように作られていますので、そういった環境を好まれるかたに定宿としてご利用いただいております。

――お客さまの好みに合わせて定宿を選べるブランド展開になっているわけですね。

はい。これらに対してシェラトン・ブランドはまた違ったコンセプトで展開されております。より家族向けの、温かみのあるホテルブランドになっております。シェラトン都ホテル東京や舞浜のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルなどを見ますと、お部屋の作りもリラックスした雰囲気で、リゾート感があり、プールがあったり、ロビーが広くなっていたりなど、ご家族向けのコンセプトに合う作りになっております。

――施設の作りという点では、それぞれのコンセプトにあった規模というものもありますよね。

おっしゃるとおりです。例えば、セントレジスの一人一人のお客さまにバトラーがつくというサービスを、700室をこえる規模で展開しようとしたら、大変な数のバトラーを確保する必要が出てきます。ですから、大きな施設にすることは難しいわけです。

逆に、シェラトンのようなカジュアルかつ家族向けの施設が60室程度では、スケール感がまったく違ったものになってしまいます。このように、それぞれのブランドはビジネスとサービスのモデルをきちんと見据えた上で展開しているのです。

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2011年11月2日
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