民法改正:用語解説
約款規定の新設:約款とは
大量で同種の取引を、迅速かつ効率的に行うために作成された定型的な内容の契約条項の総体のことをいいます。これは、契約当事者の一方が、不特定多数の相手方との契約の締結を予定して、あらかじめ作成されるものです。例えば、電気・ガスの供給約款、保険約款、インターネットサイトの利用規約など、日常生活の中の多様な取引で広く活用されています。(民法第548条の2~548条の4)
売主や請負人の担保責任:瑕疵担保責任とは
これまでの民法では、善意無過失の買主が、購入後、売買の目的物自体に隠れた瑕疵を発見した場合などに売主の負う責任のことを「瑕疵担保責任」と定めていました。新しい民法では、この考え方を大きく変え、新しく「契約不適合責任」という概念で登場します。
賃貸借における敷金ルールの明文化:敷金とは
いかなる名目によるかを問わず、賃料債務等を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭のこと。地域によって「礼金」「権利金」「保証金」等の名目で金銭が差し入れられることがあり、その目的も様々なものがありますが、名目にかかわらず、担保目的であれば敷金に当たります。
また、敷金は、賃貸借契約の存続中の債務だけでなく、契約終了後に賃借人が賃貸人に対して負担する一切の債務についても担保します。(民法第622条の2)
消滅時効規定の見直し:時効とは
ある事実状態が一定の期間続くことにより、その事実状態が真実の権利関係と一致するか否かを問わず、その事実状態に適合する権利関係を認める制度のこと。つまり、民法では、時の経過により、権利を取得したり、権利が消滅したりすることを認めているのです。そして、時効の効果は、期間の満了で当然に発生するものではなく、当事者が時効の利益を受ける意思を表明してはじめてその効果が発生します。
また、時効には、権利の取得原因となる「取得時効」と、権利の消滅原因となる「消滅時効」の2つがあります。(民法第166条)
保証ルールの見直し:債務保証とは
債務者が債務の履行をしない場合に、債務者以外の者(保証人)が債権者に対して債務を保証することをいいます。例えば、「AがBへの借金を返すことができなくなったときは、CがAにかわって返します」と前もって合意した場合、CはBに対してAの債務を保証したことになります。これを債務保証と呼びます。
ただし、注意しなくてはならないのは、Aの借金がなくなったわけではく、Aが借金の返済をしなければならない相手がCに移っただけである、という点です。
変動法定利率の採用:法定利率とは
法律に定められている利率のことをいいます。契約書などにより当事者間で利率の定めがある場合は約定利率を適用しますが、定めがない場合は法定利率によることになります。法定利率が実際に適用される場面として考えられるのは、不当利得返還請求や、非金銭債務の債務不履行に基づく損害賠償金の遅延損害金請求、あるいは中間利息控除などがあげられます。また、現在の法定利率は3%とされていますが、3年ごとに法定利率の見直しがされる変動制となっています。(商事法定利率は2020年4月1日に廃止され、商行為によって生じた債務についても、民法に規定する法定利率が適用されます。)(民法第404条)