第25回
健康経営の本気度を示す、
健康経営銘柄とホワイト500

2021/04/06

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長 
月刊総務』編集長 豊田健一
働き方改革
健康経営銘柄とホワイト500

国のお墨付きを得られる健康経営の認定制度

働き方改革と両輪で進めることが重要な健康経営。その健康経営には、国の進める認定制度がある。確かに健康経営を進めているとのお墨付きを得られるこの認定制度、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人認定制度」。認定企業は、健康経営銘柄、健康経営優良法人のロゴマークを名刺や看板などに自由に付けることができ、中小企業などであれば、こうしたロゴを使うことで、新卒採用イベントのブースなどでも、大いにアピールができる。

まずは、健康経営銘柄。これは、日本再興戦略の中の「国民の健康寿命の延伸」に対する取り組みの一つとして、経済産業省と東京証券取引所が始めた活動である。東京証券取引所の上場企業から「健康経営度調査」の回答結果と財務面でのパフォーマンス等を考慮し、経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を選定するもので、原則1業種1社が選定される。銘柄選定の狙いは、長期的な企業価値を重視する投資家に対し、魅力ある企業を紹介し、企業による健康経営の取り組みを推進することである。

選定にあたっては、経営から現場まで、各視点から健康への取り組みができているかを下記の項目により評価される。

健康経営が経営理念・方針に位置付けられているか
健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか
健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか
健康経営の取り組みを評価し、改善に取り組んでいるか
法令を遵守しているか
など

そして、選定基準は下記の通り。

アンケート調査の総合評価の順位が上位20%以内であること
株主資本利益率(ROE)が過去3年間の業種の平均を上回っていること
重大な法令違反などがないこと

全上場会社を対象に、健康経営の取り組み状況把握と優良な取り組み事例の収集と調査を行い、その結果を銘柄選定の際の基礎資料として利用している。

元は、資本市場での評価に重きを置く経営者にアピールするために考えられた健康経営銘柄ではあったが、人材採用の武器として注目を集めたことで、企業規模に関わらず認知が広がった。当初は1回で終える予定だったが、各方面からの大きな反響により、翌年以降も継続することとなった。健康経営銘柄の説明会も大入り満員状態が続き、経済産業省には、上場企業のみならず非上場企業・中小企業からも「ホワイト企業と言われるために何をすれば良いのか」という問い合わせが殺到したとのこと。さらに興味深いデータとして、「取引先や調達先の健康経営について把握、考慮しているか」との設問に、健康経営銘柄企業の9割が「している」と答えており、この先「健康経営が取引条件」という時代が来ることも十分考えられる。人材・資金・事業、全てにおいて健康経営に取り組むことが求められる時代になりつつあると言える。

健康経営優良法人認定制度とは

経産省の進める「健康経営優良法人認定制度」とは、経済産業省が事務局を務める、次世代ヘルスケア産業協議会が策定した「アクションプラン2016」には、健康経営の実施を支援する施策が盛り込まれていて、その一つが、この健康経営に関する顕彰制度の推進である。

これは、健康経営に積極的に取り組む法人を「見える化」し、社会的に評価されることを目的としている。先行する「健康経営銘柄」に加え、新たに非上場企業や中小企業、医療法人なども含めた「健康経営優良法人認定制度」として創設された。

この健康経営優良法人認定制度は、次世代ヘルスケア産業協議会と日本健康会議(健康寿命延伸と適正な医療のために、民間が中心となって組織した活動体)が連携して実施している。

日本健康会議の「健康なまち 職場づくり宣言2020」の中の宣言4、「健康組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業を500社以上とする」。同様に、宣言5、「協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を一万社以上とする」という目標達成のための具体的な取り組みでもある。

そして、大規模法人部門は「ホワイト500」と名付けられ、2020年までに認定企業500法人以上を目指し、中小規模法人部門は、保険者が進める「健康宣言」に取り組んでいる企業の中から認定していくこととなった。

大企業対象の「ホワイト500」への第一ステップは、「健康経営度調査」に回答することだ。これは、経済産業省が実施するアンケート調査で、従業員の健康管理に関する取り組みや成果を把握するために行われる。企業は約80問からなる設問に回答することで、「ホワイト500」認定申請の資格が得られる。「ホワイト500」は、健康保険組合などの保険者と連携した健康経営への取り組みが前提となっている。したがって、企業と保険者の連名で申請することが必須。

中小規模法人部門は、「健康宣言」をした企業のうち、一定の基準を満たした法人を健康経営優良法人として認定される。こちらは、健康経営度調査への回答は前提ではなく、代わりに、申請書内容を協会けんぽなどがチェックして申請することとなる。

中小規模法人も健康経営度調査への回答はできる。提出した企業には、結果サマリー(フィードバックシート)が送付される。これには健康経営への取り組み状況がコンパクトにまとめられており、他社と比較した時の自社の取り組み状況が一目で分かるので、その後の取り組みに生かすことができる。

働き方改革・労務関連書式

  • 著者プロフィール
豊田 健一

豊田健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務

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