ライフコース分析なしでは、適格な販売戦略はできない

女性向け商品やサービスを提供している企業には絶対必須のライフコース分析。しかし意外と知られていなかったり、あるいはライフコース分析を行っていても簡易的な分析で終わっていて、その分析結果が反映されていないケースが多いようです。販売戦略を構築する時はどうしても広告出稿や値下げイベントに注視してしまいがちですが、果たしてそれらが利益に貢献しているか?というと「う~ん・・・(汗)」というケースも多いのではないでしょうか。その要因は女性消費者のニーズや動向を詳細に把握できていない事が原因かも。ライフコース分析を軸にして販売戦略を新たに設計・再設計する事でターゲットに自社商品やサービスをリーチさせられる確率が今よりもグンと上がります。ライフコースを軸にした販売戦略設計方法についてお伝えします。

ライフコース分析とは女性の生き方別のニーズを知ること

ライフコースとは「個人が一生の間にたどる人生の流れ」の事。結婚、出産、現役リタイア、等といったライフイベントや、幼年期、青年期、老年期、というライフステージのように、人生の中の一点について考えるのとは異なり、ライフコースは人生そのものの流れを「線」で捉えた考え方をします)多くの企業が「ライフステージ×年齢」でターゲットを決めたり、ターゲット分析を行う企業が殆どでした。それは多くの女性のライフコースが画一的で「学校卒業→就職→出産→専業主婦」という人生の流れが一般的だったためです。という事は、女性のニーズは現在程細分化しておらず、またライフステージ×年齢のみで、大方のターゲットニーズが想定できたという事です。しかし最近は働く女性の増加、晩婚化、生涯独身、少子化といった事象からわかるように、女性の生き方が非常に多様化しています。
生き方が多様化しているという事は、その分だけ女性のニーズや消費の仕方も多様化しているという事なのです。(ちなみに、男性の多くは学校卒業後は60歳頃までは働き続ける(例え途中で結婚・子育てが入っても!)ケースが多いためライフコース別の消費者ニーズを分析する手法は男性よりも女性に適していると言えます。例えば夫婦に子供が産まれた場合、女性は休職あるいは退職をしますが、男性は子供が産まれても今までと変わらずに働き続け、女性ほど生活サイクルが大きく変わる事は一般的にはありませんよね。(但し最近では少しずつ男性の働き方や生き方にも変化が出始め、また、男性の育休率も若干ではありますが増えてきてはいますが、今回はその点に関しては割愛します)

同じ年齢の女性でも、ライフコースが違うだけでこんなにもニーズが異なる

ここに38歳の仲良し4人組がいるとしましょう。こちらのショートストーリーをご覧ください。ライフコースが違う事でこんなにも価値観や消費行動が異なる事がイメージできます。
「子供の頃からいつも一緒で価値観も同じ。20代になってからも一緒にショッピングしたり、パーティではじけたり、合コンに参加したりといつも一緒でした。ところが最近は一緒に過ごす事が殆どなく、全員が集合するのも年に1回から2回になりました。

A:2人の子持ち専業主婦

29歳で結婚したAは今は2人の子育てをしながら専業主婦として毎日家族のために家事をこなしています。夫の収入だけに頼っている状態で、子供の教育費も捻出しなければならないので、基本は節約生活!得た収入は自分よりも家族のために使いたい。

B:会社役員のDINKS(夫婦共働き、子なし)

会社の役員にまで昇進したBは、会社経営者の旦那さんとの2人暮らし。仕事が大好きだけど、旦那さんとの仕事後のデートや外食も唯一リラックスできる時間で楽しみ。2人とも仕事が好きだし、得た収入を自由に使える今のスタイルが心地よく、しばらくは子供はいらないと考えている。最近は投資にも力を入れていて趣味の一つになっている。

C:独身のフリーランス

フリーランスのwebデザイナーのCは時間や会社に縛られるのが嫌い!いつも集中的に仕事をこなしてお金をつくったら、1カ月の半分は海外旅行へ一人で出かけたりする毎日が楽しくて仕方ない。行った国はもう30か国以上。これからも自由気ままに自分で稼いだお金は全て自分だけで使って生きていきたい。近い将来、東京を出て沖縄を生活の拠点にし、のんびり生活をしながら海外あちこちへ出掛けるのも良いかなと検討中。

D:働くママDEWKS(子あり夫婦共働き)

34歳で結婚して、現在1歳と4歳の子育てをしながら仕事も正社員でバリバリこなす、仕事と家庭両立型の働くママ。収入は2人分あるから問題ないけど一番欲しいのは「時間」!毎日が戦争のように忙しく、一人になってゆっくりできる時間が欲しいなと最近よく考えている。

同じ年齢で、しかも子供の頃からずっと仲良しで一緒だった4人組はそれぞれ異なるライフコースをたどっており、そのため価値観もニーズも異なっているのが分かりますよね。Aはとにかく節約徹底、に対し、Dは時間を一番に欲している。Bは最もお金と時間のあるタイプで、時間やお金をどのように充実させるか?が重要。Cは、何よりも自分のために時間とお金をつかいたいという特徴があります。このように見てみるとターゲットを決めるとき、ライフステージ×年齢だけで決めてしまっては、真のニーズが全く見えてこない事がわかりますよね。ライフコース毎に価値観や消費スタイル、購買行動等は大きく異なってきます。

自社のターゲットはどのようなライフコースで生きているのか考えてみよう

やみくもに戦略設計を考えたり、湯水のごとく(施策に疑問を持つことなく)広告を出す前に、まずは自社のターゲットがどのライフコースにあてはまるタイプなのかを分析してみましょう。筆者は企業向けに女性の心を掴むマーケティング戦略設計のサポートを行っていますが、この時に設定する女性像はだいたい2~3パターンに設定しておきます。(但し、前述のAとBといったあまりにライフコースが異なる女性をターゲットに設定する事はしないように気を付けましょう)本来は、ペルソナを1人設定するのが良いとされていますが、最近は協業事業や複合施設(スーパーとドラッグストア、カフェとエステ等)が増え、ターゲット幅が広くなるケースも増えています。その場合に限り2~3パターンで設定してみてください。(そうでない場合は勿論1人設定に!)

設定したら、今度はその女性の生活スタイルを明確にし、価値観や行動パターン、1日のサイクルを考慮した上でどのようなニーズを持っているのかをあぶり出します。

具体的にどのように販売戦略が変わってくるのか?

そうする事で少しずつ販売戦略のコツが見えてきます。

例えば広告を出したいなと思った時。主婦向け広告だったらテレビが効果的ですよね(テレビ視聴時間は主婦が最も長いとされています)。逆に時間が欲しい!と毎日大忙しの働くママ向け広告だったらテレビを見る時間がないということが想定され、そうすると各情報はwebから収集していると考えられます。そのように考えると、反応が高いのはテレビではなく、働くママ向けの情報サイトである、という推測ができます。 

例えば百貨店等のデパ地下のお掃除コーナーでハロウィン向けの食品を売りだそうと思った時。子供用お子様セットをイベントで提供しても、そもそもCのようにシングルが多くいるエリアだったら売れませんよね。Cが多くいるエリアであれば、「お一人さま」とか「家呑み用のプチ贅沢おつまみ」等の方がニーズがあると想定できます。

今回のポイント

ポイント(1) ライフコースを理解する

女性の心を掴む販売戦略を設計するなら、多様化した女性の生き方別のニーズや価値観の違いを主軸にしたライフコース分析への理解が大切

ポイント(2) 自社ターゲットのライフコースを再設定してみる

自社のターゲットはどのようなライフコースを生きているのか設定してみよう

ポイント(3) ライフコース別のニーズや価値観にあった販売戦略を再設計する

設定した女性のニーズや価値観にあった販売戦略をもう一度考え直しみよう。値下げイベントや、効果があるのか分からないのか微妙な広告出稿をし続けるといった無駄を省いて利益を今よりも確保できるようになるかもしれません!

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