事業計画書の書き方(既存事業編)

第六章 IT業の場合
④【オペレーション】

2013/2/6

株式会社コンパス
代表取締役/ マーケティング・コンサルタント

鈴木 進介

IT業界 オペレーション編

財務計画

【損益計画】
前提条件

前提条件に関してはネット通販であっても特別なものではありません。詳細は、基本編で説明したとおりになります。

売上高=①単価×②客数×③購買数

しかしながら、ネット通販では単純に顧客数を想定するのではなく、ある程度、試算の精度を上げることは可能です。なぜなら、広告を見た顧客の数から実際にサイトを訪問したり、その顧客がどれくらい購買したかまでアクセス解析などから分かるからです。

ここで、先の「ペット向け雑貨のネット通販」事業を想定して、簡単な数字を用いて計算ロジックを考えてみましょう。理解しやすいように、極力シンプルな数字構成で説明します。

< 基本構造 >「犬向けのセーターを販売する」と仮定
・販売価格:5,000円/枚
・仕入原価:1,000円/枚(変動費率:20%)
・倉庫賃料(固定費):10万円/月

< 損益分岐点の計算 >
① 変動費率が20%なので、限界利益率は80%。
② 計算式に当てはめると下記となる。
「損益分岐点売上 = 固定費100,000円 ÷ 限界利益80% = 125,000円」
③ 販売個数:セーターを何枚売ればいいか計算する。
「販売個数 = 損益分岐点売上125,000円 ÷ 販売価格5,000円 = 25枚」

結果として、毎月25枚以上セーターが売れれば黒字になることが分かります。

< 黒字化するのに必要な訪問者数の計算 >
では、次に25枚売るためには、何人の人がサイトを訪問すればいいかを逆算して求めてみましょう。

・「購入者数 = サイトへの訪問者数 × 購入率」の計算式で求めます。
※購入率を0.5%と仮定すると、「25人 = サイトへの訪問者数 × 0.5%」のため
・「サイトへの訪問者数 = 25人 ÷ 0.5% = 5,000人」

従って、月に5,000人がサイトを訪問してくれて初めて25人に売れることになります。

このように、損益分岐点から逆算して何人にサイトへ訪問してもらわなければいけないのか。
また、そのために何人の人に広告を見てもらわなければいけないのか。
更に、どれくらいの頻度でWEBでの広告(検索エンジン連動型広告)などを掲載しないとダメなのか。
これを逆算で求めていくことが可能になります。ネット通販ではなく、コンテンツ販売などでも同様です。

また、現在のところ、サイトを訪問した人が実際に購入に至る率は、ネット通販の場合は0.5%程度で計算することが多いようです。

最後に、毎月発生する経費には人件費や事務所及び倉庫の家賃他、「その他販管費」は、以下のものがかかりますので注意が必要です。
「広告費用」、「配送料」、「梱包料」、「サーバー費用」、「通信費」、「クレジット決済手数料」、「カート費用」、「モール出店料」など。

パワーポイント形式の事業計画書では、毎月の詳細な試算を記述するのではなく、特に重要な指標だけを年間分で合算して記述すれば良いです。

Q:黒字化するためのサイト訪問者数から広告コストまで逆算で求めていますか?

Q:運営コストの項目で計算漏れはありませんか?

オペレーション

【業務の流れ/役割分担など】

書式の例では、ネット通販をモデルに受注してから納品までを社内での流れとやり取りを中心に図示しました。このように、文章で詳細に記述するのではなく、図で表現すると良いでしょう。目的は、あくまでも誰がどんな時にどんな業務を担い、それがどんな流れになるかを表現することです。

この部分をしっかりと記述することを通じて検討しなければ、それまでに記述してきた事業計画が本当に実行できるかどうかが分かりません。また、記述する作業を通じて、社内で何が不足していて事業の推進上、何が課題かを検証することも可能になります。

また、特に新規事業などの場合は、どの部署や人が責任を負うのかなど責任の所在、指揮命令系統の整理が必要になる場合も少なくありません。更に、他部署や社外の企業や人と連携する場合には、事前にコンセンサスを得る必要があるなど、組織体制と役割分担を事前に熟慮しておくことが大切です。

Q:どんな誰がどんな役割を持ち、どんな流れで業務を行いますか?

課題と対策

【課題と対策の項目】

例えばネット通販を含むIT業界であれば、課題として「地震が起きた場合、サーバーの稼動がストップする可能性がある」、その対策として「二重にバックアップをとり、他の地域にも予備サーバーを準備しておく」などの記述方法が適当です。
また顧客情報が漏洩した場合や、物流網が乱れた場合なども考えておく必要があります。

Q:どんな課題やリスクが想定されますか?またそれに対して、どんな解決方法や対応が考えられますか?

スケジュール

【タスクチャート】

まずこの事業計画を推進するために、やるべき項目を全てリストアップします。準備項目~事業の推進に至るまで社内向けと社外向けの二系統の項目があることに注意しましょう。

また、項目は主要な項目だけでも結構です。あくまでもどんな項目が最低限必要なのか、どんなスケジュールなのか全体像を把握することが図示の目的です。そのため、スケジュールも細かく日次や週次単位で書く必要はありません。矢印などでチャートのように図示すれば、更に分かりやすくなります。

Q:いつまでに何をやりますか?

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