事業計画書の書き方(既存事業編)

第六章 IT業の場合
②【市場性】

2013/2/6

株式会社コンパス
代表取締役/ マーケティング・コンサルタント

鈴木 進介

事業計画書の書き方(既存事業編)
第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章【1234】 第七章 第八章

IT業界 市場性編

市場性

【市場トレンド(市場環境)】

まずは大きな視点で市場環境がどうなっているかを4つの視点でトレンドの概要をつかみましょう。

①「政治的視点」 :ネット通販を取り巻く法的整備や規制緩和はどのような動きがあるだろうか?
②「経済的視点」 :景気動向や経済指標は、ネット通販にどんな影響を及ぼすのか?
③「社会的視点」 :ブームやトレンドでネット通販に影響を及ぼすものは何があるか?
④「技術的視点」 :新技術は、何がネット通販市場に影響を与え、また活用できるか?

全て記述できなくてもいいのですが、4つの視点で整理してみることで、市場環境の全貌が見えてきます。要点やキーワードだけでも列挙して、市場環境の魅力度を探りましょう。そして、必ずしも記述しなくてもいいのですが、結論を考えましょう。

(例)「円高のため輸入品を中心にスマホに強い専門サイトであれば勝ち目がある市場である」など。

Q:4つの視点でどれくらい魅力的な市場と言えるのでしょうか?

【市場データ(業界状況)】

IT関係の市場データはネット検索しただけでもたくさん調査機関の公表データが出てきます。詳細な情報は有料の場合が多いですが、全体をつかむ主要なデータだけであれば無料で公開されているものが殆どです。

「ペット向け雑貨のネット通販」事業であれば、ネットの通販市場のデータではなく、ペット向け雑貨の市場という視点で調べるのが良いです。また、できるだけグラフで図示しましょう。ペット向けの雑貨市場の伸び率や市場規模は折れ線グラフか棒グラフで、また雑貨の内訳別の市場構成比率は円グラフでなど表現すると分かりやすいです。

Q:データで言うと、どれくらい魅力的な市場と言えるのでしょうか?

Q:図やグラフで見ると、どんな図が一番市場性を表わすのに分かりやすいでしょうか?

顧客対象

【顧客の属性】

大くくりでもいいので、どんな顧客層が一番の中心顧客なのかを考えてみましょう。顧客属性がピンボケの場合、広告効果も出にくくなります。特にネット通販の場合、「どんなものに、どれくらいお金を払える人か」などライフスタイルや消費金額などの想定が必要です。
「ペット向け雑貨のネット通販」事業では、犬を飼っている家庭が顧客層とせずに、どこの誰がお金を払うのかまで想定しておきたいものです。30代なのか、60代なのか、男性なのか女性なのか、独身なのか既婚で子供ありなのか、どんな犬を飼っているのか、またペット関連に毎月いくらくらい使うのか、店で買う場合とネット通販で買う場合の比率はどうなのかなど、出来る限り具体的にイメージしましょう。

Q:どの顧客の塊を狙うのか?具体的にはどんなイメージが顧客対象?

【顧客ニーズ】

ある程度顧客の属性が明確になれば、もう一段階顧客対象を絞って明確にすることが理想的です。例えば「ペット向け雑貨のネット通販」事業であれば、都市部に住む38歳の主婦で共働き、子供がいない家庭でペット可のマンションで夫と二人暮し。世帯年収は700万円で毎月ペット関連に使う金額は餌代やトリミング入れて5万円程度などとイメージ像をつくりあげるのです。これにより、説得力が増します。

また、その顧客対象がどんなニーズを最も持っているかという点が次に大事になってきます。単に例えば「かわいい商品が欲しい」と記述すると、なぜそれが売れるのか?それは本当なのかが分かりません。
そこで、近所に買う店が無いからや買いに行く時間がないからネット通販で買いたいや、大きなサイズでかわいいデザインのものが少ないなどと具体的なニーズを仮説で立てましょう。

Q:顧客は何を欲していますか?どれくらい欲していますか?その根拠は何ですか?

強みの活用

【活用できる経営資源】

ネット通販を行う場合、「商品調達力、サイト構築のノウハウ、集客のノウハウ、物流機能」など多くの要素が重要になってきます。これらを棚卸し、何が使える経営資源で、何が不足しているのかを整理しましょう。

例えばサイト構築や集客ノウハウがなくても、この部分は外部の専門企業に委託して、商品調達や商品の選定に特化してもいいのです。また物流も倉庫やピッキングは自社で管理し配送は他社に委託するか、もしくは全て外部に委託したって問題ありません。

大切なことは、今何があって、何が不足しているかを明確にすることです。

Q:活用できる経営資源はどんなものがありますか?

【当社の強み】

あらゆる経営資源を活用した上で、何を強みとして事業展開をしていくのかを明確に書いてください。例えば、仕入れルートを他社以上に保有しているなら、他社にはない品揃えで「他社の3倍の種類を提供できる」という強みになります。どこか一点、他社には負けないという強みを設定しましょう。

Q:経営資源に裏付けられた強とはなんでしょうか?

差別化ポイント

【競合企業】

競合企業は、社名など固有名詞と共に具体的に調べて記述しましょう。また机上のデータだけではなく、必ずサイトを閲覧や実際に何か商品を購入してみてアフターフォローまでチェックしましょう。

ネット通販の場合は、品揃え、価格、サイトの作り方、集客方法、納期など物流の問題、リピート客対策などは特にチェックすべきポイントとなります。特に全体を通じた「使い勝手」という視点は個人向けのビジネスの場合重要です。実際に利用して競合企業を研究しましょう。

Q:競合企業の企業名、事業内容、強みと弱みはどんな内容でしょうか?

【差別化ポイント】

大別すると、差別化ポイントは「①手軽力、②商品力、③密着力」の3つに分けられます。

同じネット通販でも、①「低価格・短納期・使いやすい」などを差別化にするのか、②「品揃えの数、品質、最新の製品だけ」にするのか、③「オーダーメード」にするのかなど競合に勝つべきポイントは複数考えられます。

ネット通販においては、①や②は多くの企業が整備しており、差がつきにくくなっている現状もあります。そこで、ネット上でオーダーのリクエストをして自分だけの半オーダーメード品をそのまま発注できる仕組みなども取り入れていきましょう。ネット通販での成功事例としては、「ナイキ」のスニーカーや「グンゼ」のボクサーパンツのネットによる「オーダーメード品」の発注サイトがあります。

Q:差別化ポイントは何が考えられますか?

【成功の鍵】

ここでは、誰が聞いてもNo.1とイメージできる部分やこの部分を競合に勝てば成功するといった部分を1点抽出しましょう。前述の差別化ポイントの中から、特に突出させたい部分です。

Amazonといえば、「1クリックで発注できる」という手軽さ。楽天と言えば「複数の店舗から選べる」という品揃えが強いなどと、事業が成功する時の鍵はどこか突出した1点にあります。

Q:差別化ポイントの中で、最も強力なものはなんでしょうか?

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