事業計画書の書き方(既存事業編)

第五章 飲食業の場合
②【市場性】

2013/2/6

株式会社コンパス
代表取締役/ マーケティング・コンサルタント

鈴木 進介

飲食業 市場性編

市場性

【市場トレンド(市場環境)】

まずは大きな視点で市場環境がどうなっているかを4つの視点でトレンドの概要をつかみましょう。

①「政治的視点」 :飲食業界を取り巻く法的整備や規制緩和はどのような動きがあるだろうか?
②「経済的視点」 :景気動向や経済トレンドは、飲食業にどんな影響を及ぼすのか?
③「社会的視点」 :ブームやトレンドで飲食業に影響を及ぼすものは何があるか?
④「技術的視点」 :新技術は、何が飲食市場に影響を与え、また活用できるか?

全て記述できなくてもいいのですが、4つの視点で整理してみることで、市場環境の全貌が見えてきます。要点やキーワードだけでも列挙して、市場環境の魅力度を探りましょう。そして、必ずしも記述しなくてもいいのですが、結論を考えましょう。

(例)「経済環境が悪くアルコール比率も低迷しているので、低価格・短時間・美味しさが鍵となる」など。

Q:4つの視点でどれくらい魅力的な市場と言えるのでしょうか?

【市場データ(業界状況)】

飲食業の市場データはネット検索しただけでもたくさん調査機関の公表データが出てきます。詳細な情報は有料の場合が多いですが、全体をつかむ主要なデータだけであれば無料で公開されているものが殆どです。

「セルフ方式型居酒屋」事業であれば、飲食業という大きなくくりではなく「居酒屋市場」としてのデータを収集しましょう。市場の伸び率や市場規模は折れ線グラフか棒グラフで、また雑貨の内訳別の市場構成比率は円グラフでなど表現すると分かりやすいです。

Q:データで言うと、どれくらい魅力的な市場と言えるのでしょうか?

Q:図やグラフで見ると、どんな図が一番市場性を表わすのに分かりやすいでしょうか?

顧客対象

【顧客の属性】

大くくりでもいいので、どんな顧客層が一番の中心顧客なのかを考えてみましょう。顧客属性がピンボケの場合、広告効果も出にくくなります。居酒屋というシンプルな業種であっても、「どんなものに、どれくらいお金を払える人か」などライフスタイルや消費金額などの想定が必要です。

特に低価格業態の居酒屋を展開する場合は、いったいいくらなら月に飲み代を想定顧客は使うだろうか?という「会社員の小遣い金額」や「会社需要の場合は経費の金額」の想定が大切なポイントとなります。

「セルフ方式の居酒屋」事業では、単純に男性会社員を顧客層とせずに、どこの誰がお金を払うのかまで想定しておきたいものです。中心となる年代は30代なのか、40代なのか、男性なのか女性なのか、独身なのか既婚で子供ありなのか、夜の飲食代に毎月いくらくらい使うのか、店で飲むのか自宅で飲むのかの比率はどうなのかなど、出来る限り具体的にイメージしましょう。

Q:どの顧客の塊を狙うのか?具体的にはどんなイメージが顧客対象?

【顧客ニーズ】

ある程度顧客の属性が明確になれば、もう一段階顧客対象を絞って明確にすることが理想的です。例えば「セルフ方式の居酒屋」事業であれば、都市部に住む42歳の男性で奥さんはパートで働き、子供は2人。世帯年収は700万円で毎月夫が夜の飲食代に使う金額は2万円程度などとイメージ像をつくりあげるのです。これにより、説得力が増します。

また、その顧客対象がどんなニーズを最も持っているかという点が次に大事になってきます。単に例えば「友達と会話を楽しめる場所が欲しい」のか、「とにかく低価格でたくさん食べれる店が欲しい」のか、「家庭的な味で癒されたいのか」など、顧客の気持ちを読み解き、仮説を立てることが重要です。

Q:顧客は何を欲していますか?どれくらい欲していますか?その根拠は何ですか?

強みの活用

【活用できる経営資源】

店舗をつくる場合、「商品開発力、立地開拓能力、スタッフの接客能力」など多くの要素が重要になってきます。これらを棚卸し、何が使える経営資源で、何が不足しているのかを整理しましょう。

例えば、メニュー開発するノウハウがない場合は、メニュー開発を専門に請負う会社もありますので、他社に委託して弱みを補完してもいいのです。また、食品の商社から仕入れずに、農家と契約して直接食材を仕入れるということが価値が高い経営資源にもなります。

大切なことは、今何があって、何が不足しているかを明確にすることです。

Q:活用できる経営資源はどんなものがありますか?

【当社の強み】

あらゆる経営資源を活用した上で、何を強みとして事業展開をしていくのかを明確に書いてください。例えば、農家と直接契約して安全で安心な食材を仕入れることが可能、またメニュー開発のプロが社内にいる場合は、「自然素材を活かした個性的なメニュー開発力」という強みになります。どこか一点、他社には負けないという強みを設定しましょう。
ただし、事例のような「セルフ方式の居酒屋」の場合は、接客いらずの店のため、スタッフの接客能力という強みは使えませんので、注意が必要です。

Q:経営資源に裏付けられた強とはなんでしょうか?

差別化ポイント

【競合企業】

競合企業は、社名・店舗名など固有名詞と共に具体的に調べて記述しましょう。また机上のデータだけではなく、必ずサイトを閲覧や実際に何か商品を購入してみてアフターフォローまでチェックしましょう。

特に飲食業のような店舗事業の場合は、机上で調べるだけではなく、競合店へ視察に行ったり自分が客として利用してください。実際に行くのと、ネットなどでデータを調べるのとでは全く得られる情報が違います。

Q:競合企業の企業名、事業内容、強みと弱みはどんな内容でしょうか?

【差別化ポイント】

大別すると、差別化ポイントは「①手軽力、②商品力、③密着力」の3つに分けられます。ちなみに「③密着力」とは、接客頻度や接客能力など顧客にいかに密着して関係性をつくれるかということを意味しています。

同じ居酒屋でも、①「低価格・短納期・使いやすい」などを差別化にするのか、②「品揃えの数、品質、最新の製品だけ」にするのか、③「接客頻度や接客能力」にするのかなど競合に勝つべきポイントは複数考えられます。

居酒屋においては、とにかく吉野屋みたいに「うまい、はやい、やすい」の①で勝負するのか、②の品揃えや味、もしくはそこでしか入手できない食材で勝負するのか。あるいは③の接客力で勝負するのかなどが考えられます。

Q:差別化ポイントは何が考えられますか?

【成功の鍵】

ここでは、誰が聞いてもNo.1とイメージできる部分やこの部分を競合に勝てば成功するといった部分を1点抽出しましょう。前述の差別化ポイントの中から、特に突出させたい部分です。

金の蔵Jrや鳥貴族のように「¥280均一」で低価格を売りにする、牛丼で言えば「東京ちからめし」のような焼肉牛丼という個性的な味で勝負するなど、No.1をとるためのポイントを絞って記述しましょう。

Q:差別化ポイントの中で、最も強力なものはなんでしょうか?

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