専門家が書式の書き方を教える書式ガイド

事業計画書の書き方(既存事業編)

第一章 概要

鈴木 進介

2013/1/25
株式会社コンパス
代表取締役 / マーケティング・コンサルタント 鈴木 進介

①【事業計画をつくるということ】

はじめに「事業計画をつくるということ」

設計図なき家の建築がないように、会社の経営や事業の展開にも設計図が必要です。事業計画をつくることで、具体的な行動計画にまで結びつけ、効果的にかつ最大限に業績を上げることが可能になります。また計画をつくる過程で様々なことを考え、議論し、調べますので事業の課題点がチェックできます。

② 【表紙】【サマリー】

【表紙ページ】

表紙は、単純に「○○事業計画」と事務的なタイトルをつける方も多いのですが、「事業の中心的価値」を的確に表現してください。一目見て、中身を読まなくてもイメージできるレベルが理想です。
例えば、カフェを事業展開するなら「カフェの事業計画書」と書かずに、「 “ママカフェ” ~子連れでママが安心して来れるカフェ~ 事業計画書」などと具体的に書きましょう。メインタイトルとサブタイトルがあれば理想的です。

【サマリーページ】

事業計画の詳細をいきなり書き込んでも、読むほうや報告を聞く方は疲れてしまいます。そのため、表紙をめくった2ページ目にはサマリーといって計画の要旨(要点を整理した全体像)を1ページでまとめましょう。それを読めば、後のページを読まなくても全体像が理解できるレベルが理想です。

全ての項目を記述する必要は必ずしもありませんが、最も相手に見て欲しいポイントは必ず列挙してください。
なお、各項目は、それぞれ30文字以内程度に収め簡潔に書くことがコツです。

③【事業の前提条件】

このページでは、何を目標とした事業計画なのか、なぜこの計画が必要なのかなど前提条件を記述します。
よく見る事業計画ではいきなり商品説明や市場データなどが記述されています。しかし、はじめは事業の目的や目標などを記述して、読む人と方向性を合意することが必要になります。

【事業ビジョン】

「事業ビジョン」ではは、「定性目標」と「定量目標」の二つを記述しましょう。「定性目標」とは、志や想いなど数値化しにくい目標です。例えば、「この事業を通じて子連れママが安心して子育てをできる社会をつくる!」や、「この事業を通じて3人のリーダーを育成する」などです。

また「定量目標」とは、数値化できる目標のことです。一般的には、売上や利益(粗利益または営業利益など)、利益率などを記述します。ここでは最終的な着地点だけ記述すれば良いでしょう。例えば「年商10億円、営業利益率10%、営業利益1億円を目指す」という表現になります。

【事業背景/参入意義】

最後に「事業背景や参入意義」では、なぜこの事業が必要なのかなど原点を当事者間で再確認するために記述します。この部分を飛ばすと、後で当事者が「なんでこの事業を行っているんだっけ?」などと心理的にモチベーションダウンを弾き起こすことになりかねませんので、注意が必要です。

また、「当社での位置づけ」も大事です。主力事業とするのか、サブ事業とするのか、将来の柱にするのか、現在の事業や他の部署との関連はどうなのかを明確にしましょう。はじめに経営者と一般社員、自部署と他部署の間でコミュニケーションの行き違いを防いでおくことが目的です。

④【事業概要】

このページでは、事業の全体像を記述し、何をしたい事業計画なのかが分かるようにすることを目的にしています。詳細な商品やサービスの説明は、後のページに記述し、ここではあくまでも読み手に全体像を一目で理解してもらうことが理想です。

【事業概要】

“概要”を説明する場合、たいてい3つを簡潔に整理すれば、読み手には伝わります。「①誰に、②何を、③どのように」提供するかの3点です。これを簡潔に整理できていれば、口頭でも30秒程度で事業概要の説明が可能でしょう。
例えば先のカフェの事例で言えば、「(①誰に?)子育て中のママに、(②何を?)子供を安心して連れて行くことが出来る飲食店を、(③どのように?)都市部にカフェ形式で展開する」と説明できれば伝わりやすくなります。なお、利害関係者が多い場合や言葉では伝えるのが難しい場合は、事業の全体図やサービスの流れを図示してください。

【事業コンセプト】

事業を通じて顧客に提供できる「本質的な価値」を考え、記述しましょう。たいてい企業側の考えと顧客が喜んでお金を出すポイントはずれていることに注意が必要です。

例えばAmazonのコンセプトは「顧客の購買支援」です。これにより、ワンクリックで発注できるや配送料無料などと、”買い物時の利便性”という価値を提供しています。品揃えや価格を一番の価値ではなく、あくまでも顧客の買い物を便利にするというコンセプトがあります。

先の「子連れママ向けのカフェ」で言えば、コンセプトは「子連れでも安心して出かけられる場所」となり、”安心感”が本質的価値になります。コーヒーの味でも低価格の部分が本質的価値ではありません。このように事業の根幹をなすコンセプトは熟慮してください。

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