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第1回 正しいフォームを身に着けよう!

著者:弁護士法人あすなろ 弁護士  池田 直樹


美しきフォームは合理的かつ確実!

オリンピックでのトップアスリートの競技を見ると、そのフォームの美しさが目に焼き付けられます。良いフォームは、目的を達成するために合理的に組織されており、かつ、パフォーマンスの確実性を高めていることがわかります。彼らは極限の状況でも理想とするフォームを維持できるように鍛錬しています。

ビジネス上でも同様に、良いパフォーマンスを発揮するためには、それぞれの型に対して、正しいフォーム(打ち手)を理解することが重要です。特に契約時のフォームを間違えてしまうと、後で取り返しのつかないことになってしまいます。そこで今回は、契約時に使える書式と気を付けたい要点について解説をさせて頂きます。

まずは「型」を捉え、打ち手(契約書式)を理解すること

私たちは、競技者のフォームをみれば、それが何の競技かを認識できますね。サッカーであればサッカーのルールが存在するように、契約でも「売買」か「請負」なのかによってルールが異なります。極端な話、サッカーなのに、ハンドボールと勘違いをし、ハンドボールのルールで試合を行ったら大変なことになりますよね?

契約時も同様に、その契約の型を見誤ってしまったがために、間違った契約書を作成してしまうと大変なことになります。例えば、一見売買契約に見えるけれども、実は委託契約だった場合は、それに合った正しい契約書・書式へ変更しなければならないのです。スポーツと同様に、契約時も結ぼうとする契約の型を見定め、正しい打ち手(契約書・書式)を理解することが重要なのです。

書式を活用し、リスクを確認しよう

契約書式を上手に使って課題をチェックすることができます。契約は、たとえば「○円を借りたい」「○円を貸してもいい」という、”一致した目的”のもとに双方が握手して成り立ちます。お金の貸し借りという契約は、「お金を現実に渡して、期限までに返してもらう」ということを本質的要素とします。

サイトに掲載されている”金銭貸借契約書“の中には、1条でいつお金を受け取って、2条でいつどうやってそれを返すかという本質のみが書かれています。もっともシンプルな書式は、本質をずばり把握する点ではとても有益です。

ただ、借りる側からすれば期限での一括弁済は難しいし、貸す側からすれば、本当に返してくれるの?という点が心配になりますよね。そこで、分割弁済や連帯保証人等の条項を設け、リスクをカバーするわけです(参考書式:http://www.bizocean.jp/doc/detail/102369i/)。

より詳しい書式は、派生するさまざまな論点を示してくれます。だから、書式を見るときは、最もシンプルな書式で最低限何が必要かを理解した上で、その次に最も詳しい書式をみて、決めるべき事項をチェックするのが賢いやり方です。簡単なのが便利でいいや、と飛びつかないこと!あくまで「自社のフォーム」にカスタマイズすることが肝心です。実際の紛争を例として、書式を使ったチェックの仕方は第3回で取り上げることにしましょう。

プロセス管理として活用できる書式機能

ゴルフでも、ティーショット、アプローチ、パットで基本フォームは異なりますね?会社間の共同事業も、段階ごとに(暗黙の)合意をし、大きな目標に少しずつ近づいていくことが多いものです。日本では、すでに契約内容の履行に着手してからが契約交渉に入ることも稀ではなく、その段階で紛争になって関係を清算するとき、既に投資した費用をどうするかでもめる場合があります。

こういった紛争も、各段階で用いる書式を利用することで防ぐことができます。プロジェクトのプロセスを管理するという観点からのフォームの選択について第4回で取り上げることにしましょう。

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著者プロフィール

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池田 直樹

弁護士法人あすなろ 弁護士

1961年愛媛県生まれ。87年大阪で弁護士登録。93年ミシガン州弁護士。あすなろ法律事務所パートナー。中小企業法務を中心としつつ、社会起業家やNPOの支援など公益活動にも力を入れている。

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