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脱ハンコまでの具体的なプロセスとは

ワークフロー総研</mt:Var>  ワークフロー総研 著者:株式会社エイトレッド 代表取締役社長/ワークフロー総研 所長  岡本 康広

脱ハンコまでの具体的なプロセスとは

改めて考える、ハンコ文化が引き起こす生産性低下と脱ハンコのメリットとはでお話ししたように、ハンコ文化は大きな生産性低下を引き起こします。それでは、どのように脱ハンコを進め、生産性を高めていけば良いのか、その具体的なプロセスについて解説します。

脱ハンコに重要な、二つのポイント

脱ハンコを一気に進めようとすると、そのハードルの高さに驚くケースもよく聞きます。以下では、どのように現実的に進めていくか、「社外文書」「社内文書」それぞれの方法論をお伝えします。

社外文書は取引先と「一緒に」変えてみる

対象:

受発注書といった契約書など

脱ハンコへのアプローチ:

以前の記事でハンコ文化を抜け出せない理由について触れられた調査レポートをご紹介しました。その中で最も回答率の高い答えは「取引先が対応できるかどうか分からない」でした。
しかし、すでに「相手企業があるから…」という理由は少しずつなくなろうとしています。例えば「#取引先にもリモートワークを」というアクションが広まり始めています。

■freee株式会社「♯取引先にもリモートワークを」

こちらは訪問や捺印といった対面、オフィスへの出社を前提とした働き方を変えようとするアクションをとる企業が集まったアライアンスです。

このような活動がさらに普及すれば、「相手企業があるからできない」ではなく「相手企業もやっているから自社もやる」というポジティブな行動変容が期待できます。
確かに社外との調整は気を遣うものですが、この気運を追い風にぜひ「一緒に」脱ハンコに取り組んでみてはいかがでしょうか。

先行企業、アライアンスの例:

GMOグループ「印鑑の完全廃止に関するグループの取り組みと関連リンク集
メルカリ「メルカリ・メルペイ、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化を受け、電子署名による契約締結を推進

こちらの他にも先ほどご紹介したアライアンスから、業種・業界を超え様々な企業が趣旨に賛同していることが分かります。このことから、IT企業にとどまらず脱ハンコ、IT化は一般化していく未来が予想できます。

社内文書は一気にではなく、スモールスタートで

対象:

社内の回覧文書、稟議書など

脱ハンコへのアプローチ:

社外よりはシステムについてよく分かり、コミュニケーションがとりやすい自社であっても、社内文書のドキュメント化にはいくつかのハードルがあります。

まず導入コストです。単に手書きの署名に切り替えるだけであれば新しいコストは発生しませんが、新しいワークフローシステムや電子署名サービスを利用する際にはシステム利用費だけでなく導入準備のための人的コストがかかることが懸念されます。導入のために人員を確保するには本来の仕事の時間を減らすか、専用のスタッフを用意するかが必要となりますが、いずれにせよ多大なコストがかかりますから躊躇する要因となるでしょう。

そのため心理的ハードルも高くなってしまうということもよく耳にします。導入・移行の手間や負担は触れた通りですが、運用の段階においても組織が大きくなればなるほどITリテラシーの差もばらつきが出てきますし、職種ごとの仕事の進め方も異なるため、調整に多大なコストが想定されます。

こうした懸念・不安で脱ハンコが進められない場合には、ぜひスモールスタートで脱ハンコを進めてみましょう。

例えばまず1つの文書から始めてみましょう。1つの文書でも脱ハンコを進めるにはいつまで、誰に署名をもらうのか、業務プロセスの棚卸しが必ず必要になります。しかしそれが一度できれば、他の文書も同じように脱ハンコを進めていくことができます。

また、全社が関わる文書ではなく、1部署や1チーム内で使っている文書から始めてみるのも手です。最初から他の組織の人たちを巻き込んでいくのは説得や調整にも時間がかかります。まず自分たちの組織で成功を収めておけば、その後に続く人たちも安心して改善活動に取り組むことができるでしょう。

このように、最初から全ての文書に着手するのではなく、一部分から取り組み、社内の脱ハンコの成功事例を少しずつ増やしていってみてください。

先行の事例:

獨協大学「在宅勤務にも対応!脱印鑑で文書決裁のスピードアップとペーパーレス化を実現

企業の生産性向上のために、まず脱ハンコから

新型コロナウイルスを機に、テレワークの定着が議論になってからまもなく一年になります。多くの企業で働き方が見直され、IT化も一気に進められました。一方で、テレワークの申請のための書類が「紙」で「捺印」が必要、という行いたい取り組みと、現実のフローが乖離してしまっている現状も存在します。

ハンコとは、「承認」です。企業活動をする上では、「承認」は土台であり、この「承認」の仕組みを見直すことが、生産性に繋がると考えられます。

一方で、土台だからこそ、一気に今までの慣習を変えていくことは難しいことも事実です。だからこそ、今回述べたように取引先と一緒に変えてみるという「姿勢」を持つことや、スモールスタートから始めるということが大切になります。

現在、多くのITツールがあり、ペーパーレスを進める方法はたくさんあります。企業の生産性を向上させるため、今一度脱ハンコについて見直してみても良い時期ではないでしょうか。

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著者プロフィール

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岡本 康広

株式会社エイトレッド 代表取締役社長/ワークフロー総研 所長

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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