初めての補助金・助成金~経営強化の強い味方の基礎知識

2021/05/26

著者:中小企業診断士 須藤和夫
補助金・助成金

経営強化のための補助金・助成金の基礎知識

はじめに

補助金や助成金という言葉をよく耳にすることがあると思います。私が中小企業診断士として支援している企業の中でも「自社で使えるか」「どれが良いのか」等いろいろ疑問があって、手を出せなかった経営者の方もいらっしゃいます。
本稿ではそういう経営者の方々に補助金と助成金の基本をご説明します。なお、申請に関する詳しい説明は個々の補助金の発表資料でご確認ください。
なお、補助金と助成金という言葉は混用されることが多いので、本稿では補助金に統一します。名前にとらわれずに、必ず募集要項で確認してください。

どんな時に補助金が役に立つか

補助金は企業の経営を助けるためにいろいろな公金を支給する制度です。
融資ではないので、返済の必要がないのが大きな利点です。

経営者の皆様は日々企業の業績向上のための計画を考えていらっしゃると思います。補助金はその時に必要な資金を援助するために、様々な目的に対して支給されています。

従って、まず経営改善の行動計画を考えてください。例えば、新しい装置を入れて効率を上げる、販売方法を変えて新分野に進出する、既存の人材の能力を強化する、新しい人材を加えて企業の力を向上させる、などです。
ここで、注意しなければいけないのは、行動計画が先で補助金はそれを達成するための手段であるということです。 例えば、補助金があるから新しい機械を買おうというように考えると、手段と目的が逆になってしまい、無駄な投資を行って逆に企業経営を苦しくさせるケースもあります。

補助金は何に使えるか

補助金の実施主体には

  • 都道府県や市、町、村などの地方自治体
  • 公的団体 などがあります。

それぞれ多種多様な施策を行っていますが、主に以下のような事業が補助対象です。

  • 設備投資
  • 人材の採用・育成
  • 創業
  • 経営改革
  • 販路開拓
  • IT化
  • 省エネ化
  • 期間限定の目的では新型コロナウイルス対策、大規模災害復興 など

補助金の特徴

補助金によって、「目的」や「仕組み」が異なりルールも変わりますので、詳しくは申請しようとする補助金の募集要項を確認してください。ここでは一般的な特徴と注意事項をご紹介します。

  • 申請期間が限られますので、決められた期間内に、決められた方法で申請する必要があります。発表から締切りの期間が非常に短いケースもありますが、締切りは絶対に守らないといけません。
  • 補助金の対象になる経費の種類も決められています。それ以外の経費は対象になりません。
  • 申請すると「審査」があり、合格すると採択されます。審査には下の「申請書の審査」に書くように大きく分けて2種類があります。
  • 補助金は「後払い(精算払い)」であり、検査後にはじめて受け取ることができます。
  • 補助金の内容は、政府や自治体の政策により大きく変化します。例えば、最近では新型コロナウイルス対策の各種補助金が発表されていますし、大きな災害があった場合の復興のための補助金もあります。
  • 多くの補助金が中小企業または小規模企業者を対象にしています。 これに関しては中小企業庁が資本金や社員数に基づいて業種別に定義しています。 詳しくは下記の「中小企業・小規模企業者の定義」をご覧ください。
    https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
    また、個々の補助金の対象となる企業の定義は募集要項に書いてあります。

募集要項

まず、補助金を検討する際に絶対に必要なことは「募集要項を熟読する」ことです。
募集要項は場合によって数十ページなることもありますが、これは非常に大事な情報です。
それは、同じ名前の補助金でも前回と今回ではいろいろな条件が異なることがよくあるからです。
政策が変わることで内容や対象が変化したり、特別な条件(例えば、大災害やコロナ禍)によって優遇処置がつく場合があります。
また、適用される事業主や金額、後で述べる補助率なども変わりますので、利用を検討する補助金の募集要項は絶対に読む必要があります。
疑問があれば問い合わせ先が書いてありますので、問い合わせてください。 私の経験ではかなり親切に説明してくれますので遠慮は不要です。

申請書の審査

提出した申請書は当然審査されますが、審査は大きく二つのタイプに分かれます。

①他の申請書と比較して選別されるタイプ

創業や事業改革などに使われる補助金にこのタイプが多くあります。
審査では期限までに届いた申請書を全部集めて採点をして、上位のものから採択されます。これは入学試験などと同じ競争試験ですので、他の申請書が自社の申請内容より「良い」と認められれば、下位になってしまいます。つまり、その時の他者次第で決まるという側面がありますので、「絶対に採択される」という申請書はありません。

②条件が整えば採択されるタイプ

採用や人材育成などの人事に関わる補助金にこのタイプが多くあります。
募集要項にある条件をすべて満たしていれば原則として採択されますので競争試験とは異なります。 ただし、その時に割り当てられた予算分を消化してしまうと募集期間内でも終了する場合があります。
また、一定期間内の解雇や雇用保険の不加入などは対象にならないケースもあるので、注意が必要です。

補助金の基本

①事業期間

これは補助事業を行う期間のことで、採択されてからここに定める期日までにすべての補助事業を終わらせないといけません。ここで、すべてとは、発注、開発、納品、検収、支払などです。これにはすべて証拠の書類をつける必要があります。せっかく採択されても、購入する機械の納品が間に合わず補助金が使えないというようなケースもありますので、十分注意してください。
また、多くの場合、補助金が採択・支給決定される前に上記の発注等の業務を行うことは禁止されています。

②補助上限額と補助率

補助金にはこの言葉がよく使われます。

まず、補助率とは補助の対象になる金額の何分の一が補助されるかをあらわし、1/2や2/3が多く使われます。逆に言えば、それ以外の金額は自己負担になります。
補助上限額は補助金の最大金額をしめし、交付される補助金は補助率と補助上限額の小さい方になります。
ここで、具体的な例を見ていきましょう。

【補助上限額300万円、補助率1/2の場合】

①補助対象経費500万円のケース
補助対象経費500万円×1/2=250万円
250万円は、補助上限額300万円以内です。
よって、補助金額は250万円となります。
②補助対象経費700万円のケース
補助対象経費700万円×1/2=350万円
350万円は、補助上限額300万円を上回っています。
よって、補助金額は350万円ではなく上限の300万円となります。

なお、補助金は補助事業が終了した後で、請求を行ってから支給されます。支給までの期間は全額を自己資金(あるいは借入金)で賄う必要がありますのでご注意ください。

補助金に関する情報源

補助金に関する情報や各種条件での検索には下記の二つのサイトが便利です。

①ミラサポ プラス
https://mirasapo-plus.go.jp/
ミラサポは中小企業庁が運営しており、中小企業の支援情報が多く入っています。補助金の検索もここで行えます。
②J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/
独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。様々な支援メニューがありますが、補助金の検索もここで行えます。

上記の二つはインターネット上の情報ですので更新が早く、信頼できます。

③中小企業庁 「中小企業施策利用ガイドブック」
紙の情報や一覧表が欲しい場合はこれも利用できます。 補助金以外に金融や財務支援の情報もありますが、年1回発行で今は2020年版ですのでリアルタイム性には欠けます。
PDF版は下記からダウンロードできます。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2020/index.html
また、紙の冊子は中小企業庁のホームページから請求すれば入手できます。
④中小企業診断協会
中小企業診断士の所属する団体として各都道府県に中小企業診断協会があります。対応は個々の協会で異なりますが、補助金の相談への対応や申請の支援などが行われています。
⑤商工会議所、商工会、金融機関など
これらの組織は企業の支援を行っている部門で補助金に関する情報を持っています。また、一部の補助金に関しては申請の支援をしてくれる場合もあります。

最後に

いかがでしたでしょうか。
補助金は敷居が高いという印象があったかもしれませんが、ここまでの基本を知ったうえで、貴社の事業の改善にぜひ補助金を活用してください。
まず、経営改善計画、次にそれに役立つ補助金を探して申請、そして実行です。
最初に書いたように、融資と異なり返済不要の資金ですので、正しく使えば貴社の発展のための大きな力になってくれます。

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  • 著者プロフィール
須藤和夫

須藤和夫

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1948年生まれ,東京都大田区市出身。東京都立大学工学部卒
2005年TOEIC945点取得
2016年中小企業診断士登録
日本及び米国のIT機器製造会社での勤務を経て、国内の大手SI企業に勤務したのち独立。得意分野は流通サービス業、IT関連業、及び組み立て系製造業の事業企画、業務改革、販売促進

お問い合わせ先
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