雇用調整助成金の特例延長

2021/05/13

新型コロナ助成金

雇用調整助成金の特例措置が延長

緊急事態宣言がなされ、まん延防止等重点措置が実施される中、令和3年4月30日が期限とされていた雇用調整助成金の特例措置が延長されました。一部内容は変更されましたが、今年6月末までの適用となります。今回は、雇用調整助成金の特例延長について説明いたします。

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業が事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、労働者の雇用維持を図るため、休業を実施した際の休業手当を助成するものです。新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主が雇用調整助成金の対象となっています。

  • ①新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  • ②最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
    ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置あり
  • ③労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

令和3年5月6日時点での支給実績をみてみると、累計支給申請件数は3,386,331件、累計支給決定件数は3,248,862件となっています。4月30日までの累計支給決定額は約3兆3千6百億円となっており、雇用調整助成金は、労働者の雇用維持に一定の役割を果たしてきたといえるでしょう。

助成率などの変更

通常の雇用調整助成金よりも支給要件が緩和された特例措置が令和2年4月から実施されてきましたが、現在の状況を鑑み、特例措置の適用が6月末まで延長されました。なお、今回の特例措置の延長に伴い、助成率と1人1日あたりの上限額が一部変更されています。

【中小企業】(括弧書きの助成率は解雇等を行わない場合)

判定基礎期間の初日 ~4月末 5月・6月
原則的な措置【全国】 助成率:4/5(10/10)
上限額:15,000円
助成率:4/5(9/10)
上限額: 13,500円
業況特例(※1)【全国】 助成率:4/5(10/10)
上限額:15,000円
地域に係る特例 緊急事態宣言(※2) ★予定
助成率:4/5(10/10)
上限額: 15,000円
まん延防止等重点措置(※3) 助成率:4/5(10/10)
上限額: 15,000円

★施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、助成率等は予定です

【大企業】(括弧書きの助成率は解雇等を行わない場合)

判定基礎期間の初日 ~4月末 5月・6月
原則的な措置【全国】 助成率:2/3(3/4)
上限額:15,000円
助成率:2/3(3/4)
上限額: 13,500円
業況特例(※1)【全国】 助成率:4/5(10/10)
上限額:15,000円
助成率:4/5(10/10)
上限額:15,000円
地域に係る特例 緊急事態宣言(※2) 助成率:4/5(10/10)
上限額:15,000円
★予定
助成率:4/5(10/10)
上限額: 15,000円
まん延防止等重点措置(※3) 助成率:4/5(10/10)
上限額: 15,000円

★施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、助成率等は予定です

【※の説明】

業況特例(※1) 売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年又は前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主が該当
緊急事態宣言(※2) 緊急事態宣言対象区域において、特定都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主が該当
まん延防止等重点措置(※3) まん延防止等重点措置を実施すべき区域において、都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主が該当

企業への影響はどうでしょうか。例えば、中小企業の場合をみてみると、解雇等がなかったときの助成率が100%から90%へ、1人1日あたりの上限額が15,000円から13,500円へとそれぞれ1割下がっています。ただし、業況特例や地域に係る特例に該当した場合には従来通りの支給となりますので、企業への影響は限定的だといえそうです。

【地域に係る特例 (まん延防止等重点措置)】

以下を満たす飲食店や催物(イベント等)を開催する事業主等

  • ① まん延防止等重点措置の対象区域において都道府県知事による要請等を受けて、
  • ② まん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じ、
  • ③ 要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てにおいて、
  • ④ 営業時間の変更、収容率・人数上限の制限、飲食物提供又はカラオケ設備利用の自粛に協力する

※今後、関係省令の改正により、緊急事態宣言に係る特例も措置される予定です

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金も延長に

緊急事態宣言の発令を受け、雇用調整助成金の特例措置だけでなく、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請対象期間も令和3年6月末まで延長となりました。

【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金】

事業主の指示により休業しているものの、賃金や休業手当を受け取ることができない労働者の生活を支援するため、労働者が直接申請することが可能な制度

今回延長の対象となった5月・6月分については、1日あたりの支給上限額が原則9,900円となります(一部対象地域においては11,000円)。

申請対象期間 申請期限 支給上限日額
中小企業 令和2年10月~12月 令和3年5月31日 11,000円
令和3年1月~4月 令和3年7月31日
令和3年5月・6月 令和3年9月30日 9,900円
大企業 令和2年4月~6月 令和3年7月31日 11,000円
令和3年1月8日~4月
令和3年5月・6月 令和3年9月30日 9,900円

なお、本制度の創設時は中小企業に雇用される労働者に支給対象が限られていましたが、現在は、大企業に雇用される一定の労働者も対象となっています。

【対象者】

中小企業に雇用される方 令和2年4月1日から令和3年6月30日までに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、 その休業に対する賃金や休業手当を受け取っていない方
大企業に雇用される方 (1)(2)の期間について、大企業に雇用されるシフト制労働者等であって、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主が休業させ、その休業に対する賃金や休業手当を受け取っていない方
(1)令和2年4月1日から令和2年6月30日まで
(2)令和3年1月8日から令和3年6月30日まで

雇用調整助成金や、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金が雇用悪化の防止に一定の役割を果たしているとはいえ、コロナ禍の終わりが見えない中、雇用維持への不安は高まっています。令和3年4月23日集計分で、解雇等見込み労働者数は102,153人となりました(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」より)。業種別にみてみると、製造業(22,726人)、小売業(13,504人)、飲食業(12,495人)、宿泊業(11,731人)などとなっています。

令和3年5月7日、緊急事態宣言は延長となり対象地域も拡大されました。これまで新型コロナウイルスの感染状況に応じて様々な支援策が創設・拡充されてきましたが、感染状況はいまだ予断を許しません。情報収集を怠らず、使える支援策はしっかりと活用し、雇用の維持に努めていただければと思います。

※本内容は、令和3年5月7日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、管轄の労働局またはハローワークに確認をお願いいたします。

新型コロナ対策関連書式

  • 著者プロフィール
角村俊一

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。

この著者の関連記事