起業して自らの就業機会を創出したら
もらえる助成金

2021/03/10

新型コロナ助成金

生涯現役起業支援コースとは

卒業して就職し、定年まで1つの会社に勤めあげるというモデルは終焉を迎えました。副業・兼業やフリーランスなど、多様な働き方、新しい働き方が注目されています。国では、「ウイズ・コロナ、ポスト・コロナ時代の働き方としても、副業・兼業やフリーランスなど多様な働き方への期待が高まっている」としており、今後、多様な働き方の定着に向けて環境整備が進むと思われます。

こうした中、「雇われる働き方」ではなく、「雇われない働き方」を目指す方もいることでしょう。40歳以上という年齢の要件はありますが、これから起業する方に活用していただきたいのが「中途採用等支援助成金」(生涯現役起業支援コース)です。

この助成金は、生涯現役として働き続けられる社会の実現を目指し、中高年齢者(40歳以上)の起業を支援するもので、助成額は最大200万円。今回は、「中途採用等支援助成金」(生涯現役起業支援コース)をご紹介します。

助成金申請の流れ

人生100年時代とも、生涯現役社会ともいわれるようになりました。生涯現役社会を実現するには、企業による雇用の拡大だけでなく、多様な形態で就業機会を確保していくことが重要です。年齢に関係なく働き続けようと考えた場合、起業することは1つの選択肢となります。本助成金は、中高年齢者が起業によって自らの就業機会を創出し、労働者の雇い入れを行う際にかかった費用の一部を助成するものです。申請の流れは次の通りです。

  • ① 起業(事業の開始)
  • ② 雇用創出措置に係る計画書の作成・提出(起業日から11か月以内に提出)
  • ③ 計画書の受理・認定
  • ④ 計画期間(12か月以内)に従業員の雇い入れに係る募集・採用等の実施
  • ⑤ 雇用創出措置に係る支給申請書の提出(計画期間終了日の翌日から2か月以内)
  • ⑥ 支給申請書の受理・支給
  • ⑦ 生産性向上に係る支給申請書の提出(②の計画書が提出された会計年度の3年度後の会計年度が終了した日の翌日から5か月以内)
  • ⑧ 支給申請書の受理・支給

助成金の概要

本助成金には、従業員の雇い入れに関する「雇用創出措置助成分」と、生産性を向上させた場合に別途支給される「生産性向上助成分」があります。

①雇用創出措置助成分 起業日の年齢が40歳以上の方が、「雇用創出措置に係る計画書」を提出し、事業運営のために労働者を新たに雇い入れた場合、その募集・採用や教育訓練の実施に要した費用(雇用創出措置に要した費用)の一部が助成される
②生産性向上助成分 「雇用創出措置に係る計画書」を提出した日の属する会計年度とその3年度経過後の会計年度の生産性を比較して、その伸び率が6%以上である場合には、「雇用創出措置助成分」の助成額の1/4の額が別途支給される

①雇用創出措置助成分は、起業時の年齢に応じて、雇用創出措置に要した費用に助成率をかけた額となります。

起業時の年齢 助成率 助成額の上限
60歳以上 2/3 200万円
40~59歳 1/2 150万円

【雇用創出措置に係る費用】

募集・採用に関する費用 民間有料職業紹介事業の利用料
求人情報掲載費用
募集・採用パンフレット等の作成費用
就職説明会の実施に関する費用 など
教育訓練に関する費用 対象労働者が従事する職務に必要な知識または技能を習得させるための教育訓練、資格取得、講習に要する費用 など

出資金・資本金、人件費、各種税金、光熱水料(電気代、ガス代、水道費)、通信運搬費(電話代、切手代、宅配代、インターネット利用料金等)などは対象となりません。

なお、助成対象費用ごとに上限額が定められていますので注意してください。

【助成対象と上限額】(一部抜粋)

助成対象 上限額
「民間有料職業紹介事業の利用料」 95万円
「求人情報誌、求人情報サイトへの掲載費用」「募集・採用パンフレット等の作成費用」の合計額 75万円
「就職説明会の実施に関する費用」「採用担当者が募集・採用のために要した宿泊費」「採用担当者が募集・採用のために要した交通費」「支給対象事業主が実施したインターンシップに要した費用」の合計額 35万円
「対象労働者に対し、その者が従事する職務に必要な知識又は技能を習得させるための研修及び講習等に要した費用」 10万円

受給のための主な要件

本助成金を受給するための主な要件をみてみましょう。

【主な要件】(雇用創出措置助成分)

  • ① 起業基準日から起算して11か月以内に「雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること
  • ② 事業継続性の確認として、以下の4事項のうち2つ以上に該当していること
    • 起業者が国、地方公共団体、金融機関等が直接または第三者に委託して実施する創業に係るセミナー等の支援を受けていること
    • 起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有していること
    • 起業にあたって金融機関の融資を受けていること
    • 法人または個人事業主の総資産額が1,500万円以上あり、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること
  • ③ 計画期間内(12か月以内)に、対象労働者を一定人数以上新たに雇い入れること
    • 60歳以上の者を1名以上 あるいは
    • 40歳以上60歳未満の者を2名以上 あるいは
    • 40歳未満の者を3名以上(40歳以上の者1名と40歳未満2名でも可)
  • ④ 支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと
  • ⑤ 起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていないこと
  • ⑥ 起業基準日における起業者の年齢が40歳以上であること など

※ ①の起業基準日とは、法人にあっては登記事項証明書における法人の設立日、個人事業主にあっては開業届における事業を開始した日

②は、起業者及び雇い入れた労働者の雇用の安定のため、当該事業が将来にわたって安定的に継続し得ることを確認するものです。③では、雇用する労働者にも一定の年齢要件を求めていますので注意してください。雇い入れ時の年齢については、住民票等の写しにより確認されます。

生産性向上助成分の主な要件は次の通りです。

【主な要件】(生産性向上助成分)

  • ① 支給申請書提出日において、「雇用創出措置に係る計画書」における事業が継続していること
  • ② 雇用創出措置助成分の支給申請日の翌日から生産性向上助成分の支給申請日までに、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇していないこと
  • ③ 「雇用創出措置に係る計画書」を提出した日の属する会計年度とその3年度経過後の会計年度の生産性を比較して、その伸び率が6%以上であること など

対象となる労働者の要件も確認しておきましょう(①から③のいずれにも該当しなければなりません)。

【対象労働者の要件】

  • ① 計画期間内に新たに雇い入れられた者であること
  • ② 一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れられた者であること
  • ③ 雇い入れ後も継続して雇用すること(対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して1年以上であること)

③については、65歳以上に達するまで継続して雇用することが確実な労働条件かどうかを雇用契約書や雇い入れ通知書で確認されます。

中小企業庁「2020年版中小企業白書」によると、わが国の開業率は、わずか4.4%です。他の国をみてみるとイギリス13.6%、アメリカ10.3%、フランス10%などとなっており、国際的にみると低い水準となっています。現在の開業率からすると起業意欲はあまり高いとは言えませんが、生涯現役社会の到来や、コロナ禍における新しい働き方の模索などにより、起業への意識も変化してくるかもしれません。今後、起業を考える際には、「中途採用等支援助成金」(生涯現役起業支援コース)」が活用できないか検討してみてください。

※ 本内容は、令和3年1月14日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、最寄りの都道府県労働局等に確認をお願いいたします。

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  • 著者プロフィール
角村俊一

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。