職場での受動喫煙防止対策に助成があります

2021/02/08

補助金・助成金

国が支援する「受動喫煙防止対策助成金」とは

受動喫煙を防止するための取組が、マナーからルールへと変わっています。2018年7月、望まない受動喫煙の防止を図るため健康増進法の一部が改正され、2020年4月1日から全面施行されました。

職場においても、望まない受動喫煙を防止するための取組が求められます。2019年7月、「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が出されました。ガイドラインでは、職場における受動喫煙防止対策の実施にあたり、事業者に、推進計画の策定や担当部署の指定、労働者の健康管理等を求めています。

こうした中、国では、職場での受動喫煙防止に取組む企業を支援するため、「受動喫煙防止対策助成金」を設けています。助成額は最大で100万円。今回は、「受動喫煙防止対策助成金」をご紹介します。

受動喫煙防止対策助成金の概要

受動喫煙防止対策助成金の目的は、中小企業が受動喫煙防止のために整備する施設や設備の費用を助成し、事業場における受動喫煙防止対策を推進することです。本助成金の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす事業主となります。

① 労働者災害補償保険の適用事業主

② 次のいずれかに該当する中小企業事業主

業種 常時雇用する
労働者数
資本金または
出資の総額
小売業 小売業、飲食店、配達飲食サービス業 50人以下 5,000万円以下
サービス業 物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉、複合サービス(例:協同組合)など 100人以下 5,000万円以下
卸売業 卸売業 100人以下 1億円以下
その他の業種 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業、保険業など 300人以下 3億円以下

※ 労働者数か資本金等のどちらか一方の条件を満たせば、中小企業事業主となります。

③ 事業場内において、措置を講じた区域以外を禁煙とする事業主

助成対象となる具体的な措置は次の通りです。

喫煙専用室の設置・改修
(既存特定飲食提供施設)
・入口における風速が0.2 m/秒以上
・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること
・煙を屋外または外部の場所に排気すること
喫煙外の使用

×
指定たばこ専用喫煙室の
設置・改修(既存特定飲食提供施設)
・入口における風速が0.2 m/秒以上
・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること
・煙を屋外または外部の場所に排気すること
喫煙外の使用

屋外喫煙所(閉鎖系)の
設置・改修(第二種施設)
・事業場の屋内を全面禁煙とすること
・煙を屋外または外部の場所に排気すること
・喫煙所の直近の建物の出入口などにおける浮遊粉じん濃度が増加しないこと
喫煙外の使用

×

喫煙外の使用とは、「飲食のほか、休憩室や応接室としての使用など、喫煙以外の用途で喫煙専用室及び屋外喫煙所を使用すること」をいいます。喫煙専用室及び屋外喫煙所を設置した後、喫煙以外の用途で使用しているとみなされると、労働局から改善指導が入ることがありますので注意してください。なお、指定たばこ専用喫煙室内での喫煙は、加熱式たばこのみが認められています。

助成対象となる経費は?

助成対象となるのは、上記措置にかかる工費、設備費、備品費、機械装置費などです。

【助成対象】

  • 一定の要件を満たす専用喫煙室、指定たばこ専用喫煙室の設置に必要な経費
  • 一定の要件を満たす屋外喫煙所の設置に必要な経費

詳細は、「受動喫煙防止対策助成金の手引き」(令和2年5月13日 第4版)に「助成対象経費として認められるもの、認められないもの」として示されていますので、申請にあたってはご確認をお願いいたします。

【助成対象経費として認められるもの、認められないもの】(一部抜粋)

認められるもの 認められないもの
・電気工事、建築工事、配管工事等に係る人件費、材料費、運搬費、設計費(喫煙専用室等の性能に直接寄与する部分。設計監理料含む)、管理費 ・デザイン料(喫煙専用室等の外観や内装など、受動喫煙防止の用に直接寄与しない部分)
・助成金の申請書作成や見積書作成のための費用(事前調査費用含む)
・申請の代行のための費用(例:社会保険労務士への報酬)
・喫煙区域と非喫煙区域を隔てるためのパーティション、ドア、エアカーテン
・換気装置、空気清浄装置、人感センサー
・ガラリ(換気口)、給気扇、差圧式吸気口
・消防法等の他法令で設置が義務づけられている機械装置 等
・喫煙区域内を区切るためのパーティション、ドア、エアカーテン(受動喫煙の防止効果に寄与するものは助成対象となりうる)
・消耗品(機械装置等の購入時に付属している物は助成対象となる) 等
・建築基準法、消防法等の他法令で義務づけられている手続きに係る費用(手数料を含む。なお、人件費、旅費等については実費での精算となる) ・土地の取得に係る費用

なお、建物の増設費用(喫煙専用室等の設置のために建物の増設が必要な場合に限る)や、既存施設の解体、移設に係る経費など、「特別に必要と認められる場合に限り、助成対象と認められるもの」も示されていますので、併せてご確認ください。

助成率と助成額は次の通りです。

【助成率と助成額】

助成率 助成額
助成対象経費の1/2
※ 既存特定飲食提供施設で料理店、飲食店等を営んでいる事業場は2/3
上限100万円

助成金の交付は事業場単位で、1事業場につき1回のみとなります。なお、本助成金は工事費の全額を補助するものではありません。「国の助成金を使えば、無料で喫煙室が設置できる」と喫煙室の設置を勧める業者があるようですので、不審な点がありましたら都道府県労働局にご連絡ください。

申請の流れと注意点

最後に助成金申請の大まかな流れをみてみます。

  • ① 申請内容の検討
  • ② 交付申請
  • ③ 交付決定通知書受領
  • ④ 工事の発注・施工
  • ⑤ 工事費用の支払い
  • ⑥ 事業実績報告
  • ⑦ 交付額確定通知書受領
  • ⑧ 請求書の提出
  • ⑨ 助成金の受領
  • ⑩ 消費税仕入控除税額の確定に伴う助成金の返還
  • ⑪ 実施状況報告

本助成金の受給には、工事の着工前に「受動喫煙防止対策助成金交付申請書」を都道府県労働局長に提出し、あらかじめ交付決定を受ける必要がありますので注意してください。交付決定前に工事の発注、施工を行った場合は、原則として助成金の交付を受けることができません。なお、交付申請に関しては、「原則として2月末までに交付申請を行ってください。3月以降に申請を行おうとする場合は、労働局にあらかじめ相談してください」(受動喫煙防止対策助成金の手引き)とありますので、今年度の申請を考えている場合はお急ぎください。

令和元年「国民健康・栄養調査」によると、現在習慣的に喫煙している方の割合は16.7%です。男女別でみてみると、男性27.1%、女性7.6%となっています。この10年間でいずれも減少しており、社会的な状況からすると、今後も減少するのではないかと予想されます。受動喫煙防止対策が徹底されていない企業を、喫煙習慣のない労働者が選ばなくなることも想定されますから、ぜひ受動喫煙防止対策助成金を活用して、受動喫煙防止対策に取組んでみてはいかがでしょうか。

※ 本内容は、令和3年1月8日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、最寄りの都道府県労働局に確認をお願いいたします。

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  • 著者プロフィール
角村俊一

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。