仕事と家庭の両立支援で助成金!(その1)

2020/10/30

新型コロナ助成金

仕事と家庭の両立支援等助成金

子どもが減っています。令和元年の出生数は86万5234人となりました。前年より5万3166人の減少です。出生数のピークは269万6638人(昭和24年)ですから、激減といえるでしょう。

出生数減少の要因は多々あると思われますが、安心して子どもを産み育てることができる環境が整備されていない状況は、大きな要因の1つであると考えられます。待機児童の解消や父親の積極的な育児参加、育児休業が不利にならないキャリア形成など、社会的に取り組まなければならない課題が横たわっています。

こうした状況の中、国は仕事と家庭の両立支援を後押ししており、企業に対しては両立支援等助成金を設けて、その取り組みを促しています。今回は、両立支援等助成金のうち、「出生時両立支援コース」と「育児休業等支援コース」をご紹介します。

まだまだ少ない男性の育児参加

以前、「男性でも育児休業を取れるのか?」という質問を受けたことがあります。また、妊娠したら女性は退職という空気が非常に強い企業もありました。男女ともに育児休業を取得できるという認識が広まった今日の状況は、当時よりは良くなったといえます。しかし、男女別の育児休業取得率をみてみると、伸びてはいますが男性の取得率は低空飛行であり、男性の取得率向上が大きな課題となっています。

【育児休業取得率の推移】

平成11年度 平成16年度 平成20年度 平成25年度 平成30年度 令和元年度
女性 56.4% 70.6% 90.6% 83.0% 82.2% 83.0%
男性 0.42% 0.56% 1.23% 2.03% 6.16% 7.48%

出生時両立支援コースの概要

両立支援等助成金の「出生時両立支援コース」は、男性労働者の育児休業取得を促進するための助成制度です。子育てパパ支援助成金ともいわれます。

【子育てパパ支援助成金】

男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が生じた事業主に支給

支給額は次の通りです。

中小企業 中小企業以外
①1人目の育休取得 57万円<72万円> 28.5万円<36万円>
個別支援加算 10万円<12万円> 5万円<6万円>
②2人目以降の育休取得
  • 育休5日以上
     14.25万円<18万円>
  • 育休14日以上
     23.75万円<30万円>
  • 育休1か月以上
     33.25万円<42万円>
  • 育休14日以上
     14.25万円<18万円>
  • 育休1か月以上
     23.75万円<30万円>
  • 育休2か月以上
     33.25万円<42万円>
個別支援加算 5万円<6万円> 2.5万円<3万円>
③育児目的休暇の導入・利用 28.5万円<36万円> 14.25万円<18万円>

①と②の主な要件をみてみましょう。

(1) 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのため、
  • 男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者向けの研修を実施する
  • 男性労働者を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料配布等を行う
  • 育児休業を取得した男性労働者の事例収集及び社内周知
などの取り組みを行うこと(★)
(2) 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日(中小企業は連続5日)以上の育児休業を取得すること

要件に取得日数まで決められており、非常に細かいと感じるかもしれません。しかし、男性の育児休業取得率は低い上、育児休業を取得したとしても、その期間は非常に短期となっています。女性は9割近くが6か月以上となっている一方、男性は5日未満が56.9%、8割以上が1か月未満です(厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」)。

②の2人目以降の育休取得について、育児休業期間が長いほど助成額が高いことからも、男性の取得率向上だけでなく、取得日数の増加も課題となっていることが分かります。

個別支援加算は2020年度に新設されたもので、男性労働者の育児休業取得前に個別面談を行う等、育児休業の取得を後押しする取り組みを実施した場合に支給されます。

③の主な要件は以下の通りです。

(1) 育児目的休暇制度を新たに導入し、就業規則等への規定、労働者への周知を行うこと
(2) 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりのため、(★)に準じた取り組みを行うこと
(3) 新たに導入した育児目的休暇を、子の出生前6週間から出生後8週間の期間中に、男性労働者が合計して8日(中小企業は5日)以上取得すること

なお、中小企業に該当するのは、下記の「資本金の額・出資の総額」か「常時雇用する労働者の数」のいずれかを満たす企業です。

産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

育児休業等支援コースの概要

次に「育児休業等支援コース」の概要をみてみましょう(このコースは「中小企業」のみが対象となります)。

【育児休業等支援コースの種類】

①育休取得時・職場復帰時 育休復帰支援プランを作成し、プランに沿って労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業に支給
②代替要員確保時 育児休業取得者の代替要員を確保し、かつ育児休業取得者を原職等に復帰させた中小企業に支給
③職場復帰後支援 育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のため、一定の制度導入などに取り組み、利用者が生じた中小企業に支給

主な要件を抜粋してみます。

①育休取得時・職場復帰時 育休取得時
  • 育児休業の取得、職場復帰についてプランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ労働者へ周知すること
  • 育児に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で育児の状況や今後の働き方についての希望等を確認の上、プランを作成すること など
職場復帰時
  • 対象労働者の育児休業中にプランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料の提供を実施すること
  • 対象労働者を、面談結果を踏まえ原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること など
②代替要員確保時
  • 育児休業取得者を、育児休業終了後、原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること
  • 対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること など
③職場復帰後支援
  • 育児・介護休業法を上回る「子の看護休暇制度(有給、時間単位)」または「保育サービス費用補助制度」を導入していること
  • 導入した制度の一定の利用実績があること など

支給額は次の通りです。

①育休取得時・職場復帰時
  • 休業取得時:28.5万円<36万円>
  • 職場復帰時:28.5万円<36万円>
※職場支援加算:19万円<24万円>
②代替要員確保時 支給対象労働者1人当たり 47.5万円<60万円>
※有期雇用労働者の場合に加算 9.5万円<12万円>
③職場復帰後支援
  • 制度導入時:28.5万円<36万円>
  • 制度利用時:
    「子の看護休暇制度」 1,000円<1,200円>×時間
    「保育サービス費用補助制度」 実費の2/3

①の職場支援加算は、代替要員を確保せずに、業務の効率化、周囲の社員により対象労働者の業務をカバーした場合に支給されます。ですから、②との併給はできません。③は、制度の利用者が生じたことが要件の1つですから、制度導入時のみの申請は不可です。

育児休業に関しては、性別に関係なく取得しやすい環境をつくることはもちろん、職場復帰後に再び活躍してもらう体制づくりも重要です。厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、復職予定であった女性のうち、実際に復職した方の割合は89.5%、退職した方の割合は10.5%です。男性については復職した方の割合は95.0%、退職した方の割合は5.0%となっています(平成30年度)。

女性の1割強が退職しています。育休中のフォローや復職後の充実したサポートなど、仕事と育児の両立支援に向け、職場復帰後までをしっかりと見据えた制度設計を行いたいものです。

令和3年1月から、子の看護休暇が時間単位で取得できるようになります。近年、仕事と育児の両立支援のための法改正が頻繁に行われており、今後もその流れが続くと予想されます。法改正を意識した上で、ぜひ子育てしやすい企業を目指してください。

※本内容は、令和2年9月17日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、管轄の都道府県労働局等に確認をお願いいたします。

新型コロナ対策関連書式

  • 著者プロフィール
角村俊一

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。