まだ間に合う!小学校や保育園の臨時休業で従業員が休んだときに利用できる「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」

2020/09/15

著者:本山社会保険労務士事務所 所長 本山恭子
新型コロナ助成金

小学校や保育園の臨時休業

ご存知のように、安倍晋三首相が2月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明し、3月2日から春休みの期間で実施を求めたことによって、各地の小学校等が休校となりました。学校等が休みになることで、仕事を休まざるを得ない状態になった保護者が大勢出ました。

仕事を休むと年次有給休暇を取得する以外では、一般的にはノーワークノーペイの原則から無給となります。無給では困るけど子供を置いて仕事には行けないし、という事情に応えたものが、当該助成金です。まだ申請できる期間にあります。申請していない事業者の方、申請できる要件を満たしているようであれば、申請してはいかがでしょうか。令和2年8月4日時点での情報をお伝えしていきます。

支給要件

(1)助成金支給の要件として、まずは次の4つすべてに該当する事業主が対象とされています。

1 雇用する労働者の申出により、令和2年2月27日から同年9月30日までの間に、以下のいずれかに該当する「有給休暇」を取得させたこと
① 新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子供の世話を保護者として行うための有給休暇
② 新型コロナウィルス感染症に感染したまたは風邪症状など感染した恐れのある、小学校等に通う子供の世話を保護者として行うための有給休暇
2 1の有給休暇は、一般的な年次有給休暇とは別のものであること
3 1の有給休暇は、年次有給休暇の場合と同等の賃金が支払われていること
4 1の有給休暇を取得した労働者が、申請日時点において1日以上は勤務したことがある労働者であること

保護者には、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子供を実際に監護する者はもちろん、事業主が有給休暇を取得させた場合には、子供の世話を一時的に補助する親族も含まれるとされています。
2月27日からの日が全部該当するかというと、そうではありません。①については春休みなど小学校等がもともと休みの日に取得した有給休暇は含まれませんが、②については、小学校等がもともと休みの日であるかどうかにかかわらず、上記期間に取得した有給休暇すべてが含まれます。

(2)(1)の4つの要件の他に次の要件も求められています。

1 雇用保険適用事業所の事業主であること。ただし、雇用保険に加入する働き方をすべての従業員がしていない事業場については、労災保険に加入している事業場であること
2 支給のための審査に協力すること。具体的には次の2つが必要です。
① 支給又は不支給の決定のための審査委必要な書類等を支給等決定から5年間整備・保管していること
② 支給又は不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、雇用環境・均等局から求められた場合に応じること
3 申請期間内に申請を行うこと

2の②は、後日調査が行われることが示唆されています。すべての事業場ではないと思われますが、調査対象となった場合、支給申請に至った休暇等を取得した事実が分かる書類等をしっかり提出しなければなりません。

支給額

支給額は、対象労働者1人につき、次の式により算出した額とし、有給休暇を取得した労働者分の合計額となります。

対象労働者の日額換算賃金額① × 有給休暇の日数②

①の日額換算額は、時給の場合は時給に対象労働者の所定労働時間を掛けた額となり、月給の人の場合は、月額を有給休暇取得月の所定労働日数で割った額となります。
②の有給休暇の日数には1日有給休暇を取得した日はもちろん、時間単位の休暇も含まれます。時間単位の場合には、月給額を時給換算した金額に時間単位の休暇時間を掛けて算出します。なお、日額換算金額はニュースでも大きく取り上げられましたので、ご存知の方も多いと思いますが、途中で引き上げられましたので、期間によって次のとおりです。

令和2年2月27日から3月31日まで 8,330円
令和2年4月1日から9月30日まで 15,000円

支給申請の手続き

1.支給申請期限

令和2年12月28日までです。この期間までに申請書類が提出先に「到達」していることが必要ですので、ぎりぎりの場合には注意が必要です。

2.申請書の提出先

本社等の所在地により全国を4つの地区に分けています。時々郵送先の住所や私書箱が登場するなど変わっていますので、提出前に詳しくは、以下のURLからチェックしてください。

参照:厚生労働省「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました

提出書類等

1 支給申請書様式第1号①、第1号②、様式第2号の3種類。上記URLから申請書類をダウンロードできます。この中には、支給される金額が自動で計算される様式第1号②がありますので、便利です
2 休暇取得が分かる出勤簿、タイムカード、休暇簿の写し等(申請労働者全員分)対象労働者が有給休暇を取得したことを確認するためです
3 有給休暇を取得した月の賃金台帳、給与明細書の写し(申請対象者全員分)通常の年次有給休暇とは別枠に当該有給休暇に対して支給したことが分かるようにしておきます
4 雇用契約書、労働条件通知書、勤務シフト表、就業規則(就業時間、休日部分)等の写し(就業規則以外は申請対象者全員分)
正社員の方は就業規則に書かれている就業時間、休日に従っていると思いますので、就業規則で足りますが、パート・アルバイトの方など個別に週何日、何時間と定めている方については、契約書等の提出が必要です
休みが決まっておらず、シフトで動いている企業については、有給休暇を取得した月のシフト表の提出も必要です。小学校等の休業がなかったら出勤していた日がわかり、その予定されていた日を休んだことを証明するための書類となります
5 通帳の見開き1ページ目、キャッシュカードの写し
6 労働保険関係成立届の事業主控、概算保険料申告書等(雇用保険に加入していない事業主のみ)
7 対象労働者の子について小学校等からの臨時休業等のお知らせ(小学校等休業による申請の場合)ない場合には、様式第2号有給休暇取得確認書に臨時休業等期間を記入することとされています

その他

1.当該助成金は事業主単位(いくつも事業場があっても一つにまとめる)で、全労働者分を合わせて、なるべく1度での申請がお願いされています。

2.事業主が、偽りその他不正の行為により助成金を受給した場合、故意に支給申請書類に虚偽の申請を行い又は実態と異なる偽りの証明を行った場合、受給すべき額を超えて助成金を受給した場合などは、支給した助成金の全部または一部の返還が求められます。また、他の雇用保険に関する助成金について5年の支給停止となることもあり、特に重大又は悪質な場合には、事業主名などが公表されることがあるとされています。

従業員を、要件的には雇用保険に加入させる必要があるのに加入させていない場合もあるかもしれません。あるいは、週何日、何時間働くかを決めていないという働き方の従業員がいたり、契約書など何も作っていないという会社もあるかもしれません。助成金申請には契約書等の提出は必須ですので、これを機に適正な雇用保険への加入や、契約書の締結・通知をしてから、助成金申請を行っていただきますようお願いします。

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  • 著者プロフィール
本山恭子

本山恭子

本山社会保険労務士事務所 所長

特定社会保険労務士、行政書士、公認心理師、産業カウンセラー、消費生活アドバイザー
ストレスが多く、事業運営もグローバル化の中厳しく、企業、労働者共に大変な今、少しでも働きやすい環境を作るお手伝いをすることを通して、企業、労働者の皆様のお手伝いを精一杯してまいります。法律だけの四角四面でない、気持ちを汲んだサポートを心掛けています。

【事業内容】
「働く」社会で一番大切な「人」にまつわる事柄へのお手伝いをいたします。労働基準法、社会・労働保険に関する相談から、メンタルヘルス対策、コミュニケーション、社内活性化など以下の通りです。企業、個人いずれからのご相談も可能です。
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