両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に
コロナ特例が創設されました!

2020/08/25

新型コロナ助成金

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)にコロナ特例が創設

新型コロナウイルスの感染者数が増加しています。東京以外でも感染が拡大し、全国的に安心して生活できる状況ではありません。こうした中、企業の存続を支援し、また働く人々を守るため、国や自治体ではさまざまな給付や助成を行っています。

助成金制度では、新型コロナウイルス感染症への対応として、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」が創設されました。令和2年6月15日より受付が開始されています。

今回は、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の「新型コロナウイルス感染症対応特例」をご紹介します。

介護のために休みやすい環境整備を

新型コロナウイルスは「介護」にも大きな影響を及ぼしています。ウイルスへの感染を避けるため、高齢者がデイサービスやデイケアなど介護サービスの利用を控えるようになりました。3月には、名古屋市において介護事業所への休業要請も出されています。

このような状況下、仕事を休んで家族の介護をせざるを得ない労働者がいても不思議ではありません。そこで、介護のために休みやすい環境を整備した中小企業を支援するため、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」が創設されました。

この助成金を受給するには、育児・介護休業法に基づく介護休業等とは別に、労働者が有給休暇を取得して介護を行うことができる環境整備が必要です。具体的には、介護のための有給休暇制度を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて社内に周知し、この休暇を合計5日以上労働者に取得させることが必要となります。

【支給要件】

① 新型コロナウイルス感染症への対応として利用できる介護のための有給休暇制度(所定労働日の20日以上取得できる制度)を設け、当該制度を含めて仕事と介護の両立支援制度の内容を社内に周知すること

② 新型コロナウイルス感染症の影響により対象家族の介護のために仕事を休まざるを得ない労働者が①の休暇を合計5日以上取得すること

①の「社内に周知」する方法としては、

  • ・事業所の見やすい場所に制度の内容を掲示する
  • ・制度の内容を記載した書面を労働者へ交付する
  • ・電子メールを利用して労働者に制度の内容を送信する

等が考えられます。

対象となる休暇の取得期間は、令和2年4月1日から令和3年3月31日までとなります。過去に年次有給休暇や欠勤により休んだ日について、事後的に振り替えてこの休暇を取得したとすることもできますが、必ず労働者本人に説明し、同意を得てください。

支給額は、次の通りです。

【支給額】

労働者1人当たりの休暇取得日数 助成額
合計5日以上10日未満 20万円
合計10日以上 35万円

1企業当たり5人分まで支給されますから、最大で175万円の支給となります。ちなみに、「取得した休暇日数が合計5日以上10日未満」の労働者について申請をした後、休暇取得日数が10日以上に達した場合は、再度申請することにより、追加で15万円が支給されます。

対象となる労働者についても確認しておきましょう。

【対象となる労働者】

① 介護が必要な家族が通常利用している又は利用しようとしている介護サービスが、新型コロナウイルス感染症による休業等により利用できなくなった場合

② 家族が通常利用している又は利用しようとしている介護サービスについて、新型コロナウイルス感染症への対応のため利用を控える場合

③ 家族を通常介護している者が、新型コロナウイルス感染症の影響により家族を介護することができなくなった場合

申請期限や必要な書類は?

申請期限は、支給要件を満たした翌日から起算して2か月以内です。

【申請例】(介護のための有給休暇取得日数が5日以上10日未満の場合)

9月1、2、3、7、8、10、15、16日に8日間の休暇を取得した場合、9月8日に有給取得5日を満たすので、翌日である9月9日から2か月以内に申請をする必要があります。よって、この場合には、11月8日が申請期限となります。

令和2年6月15日より受付が開始されておりますが、6月15日より前に支給要件を満たしていた場合は、8月15日が申請期限となります。申請先は、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。申請に必要な書類等は次の通りです。

【申請書類及び添付資料】

必要な書類 具体例
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))支給申請書(【介】様式第5号)
有給休暇制度を設け、当該制度の内容及び当該制度以外の就業と介護の両立に資する制度を申請日までに労働者に周知していることがわかる書類 労働協約又は就業規則。社内通達、社内メール、社内報等により全労働者へ周知した場合、日付が確認できるもの等
有給休暇の取得に係る対象家族について、介護が必要であることがわかる書類 介護施設(介護サービス)利用契約書、介護施設(介護サービス)利用に係る領収書等
対象労働者の所定労働日や所定労働時間が確認できる書類 労働条件通知書、就業規則、勤務カレンダー等
対象労働者が有給休暇を取得したことが確認できる書類 有給休暇を取得した月及び前月分の賃金台帳や給与明細等の賃金の支払いがわかる書類に加え、休暇申出書又は休暇簿及び出勤簿又はタイムカード等
対象労働者について、令和2年4月1日以降に取得した介護休業に係る介護休業給付金を受給又は申請している場合には、介護休業給付金に係る申請書の写し

法律上の休暇・休業制度の確認も

新型コロナウイルス感染症への対応として利用できる介護のための有給休暇制度は、労働基準法で定められている年次有給休暇とは別に設けなければなりません。また、育児・介護休業法に基づく介護休業および介護休暇とも別に設ける必要があります。

介護のために休みやすい環境整備のため、新たな取組として休暇制度を設けなければなりませんから、法律上の休暇・休業制度を十分に把握したうえで、制度設計を進めることが重要です。

【年次有給休暇】

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇をいいます。付与日数は、勤続年数に応じて、年間10日~20日間です。

【介護休業】

介護休業とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業をいいます。対象家族1人につき3回まで、通算で93日間取得できます。

【介護休暇】

介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者に付与される休暇をいいます。1年度において5日間(対象家族が2人以上の場合は10日間)取得できます。

団塊の世代が70歳代に突入しています。今後、ますます要支援・要介護認定者数は増加することでしょう。今まで以上に、企業の中核を担う働き盛りの労働者が介護者となる状況が想定されますから、近い将来、介護離職をどう防ぐのかが重要な経営課題となってきます。

コロナ禍はいつか収まります。しかし、高齢化社会の進展は止まりません。ぜひ労働者が安心して仕事と介護を両立できる環境づくりに取り組んでみてください。

※本内容は、令和2年7月31日現在、厚生労働省より公表されている情報に基づいております。申請にあたっての詳細は、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に確認をお願いいたします。

  • 著者プロフィール
角村俊一

明治大学法学部卒業。地方公務員(杉並区役所)を経て独立開業。
「埼玉働き方改革推進支援センター」アドバイザー(2018年度)、「介護労働者雇用管理責任者講習」講師(2018年度/17年度)、「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」サポーター(2017年度)。
社会保険労務士、行政書士、1級FP技能士、CFP、介護福祉経営士、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)、福祉用具専門相談員、健康管理士、終活カウンセラー、海洋散骨アドバイザーなど20個以上の資格を持ち、誰もが安心して暮らせる超高齢社会の実現に向け活動している。