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第4回 ビジネスメールの型を身に付けよう【3】差出人(送信者)

著者:一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師 PersonaliTV 映像ディレクター  佐藤 安南


開かれるメール、もう一つの鍵「差出人(送信者)」

前回のコラムで、開かれるメールの鍵は「件名」だとお伝えしました。実は、もう一つ大切な鍵があります。それは「差出人(送信者)」です。

もし、あなたのもとに一通の手紙が郵便で届いたとします。その手紙に、差出人(送信者)の名前が書かれていなかったら、ほとんどの人が、開封をためらうに違いありません。もし開封するとしても、どのような内容なのだろうと、かなり不安を感じることでしょう。

「でも、メールの場合はメールアドレスが表示されるのだから、差出人(送信者)の書かれていない手紙とは違うのでは?」

こういう声が聞こえてきそうですね。

少し考えてみて下さい。メールアドレスは「アドレス」、すなわち「住所」を表すものに過ぎません。メールの場合、そのアドレスを見ただけでは、「差出人(送信者)」が誰なのか、一目では分からないのです。

下の図をご覧下さい。メールボックスの一例です。赤い枠で囲まれた部分が「差出人(送信者)」です。あなたなら、どの差出人(送信者)のメールなら「開封しても大丈夫」だと思いますか?

まず安心だと思えるのは「田中佳子(セーナデザイン)」ですね。「総務部」や「ENG企画 関野研一」「Ken Haraguchi(E-Tours)」も、開封して大丈夫な差出人(送信者)と言えそうです。また「daily ITec BIZ」や「テラギガファイル転送」も、すでに知っている名前であれば、メルマガの発行元やファイル転送サービスの会社だと明らかに分かりますので、開封に不安を感じることはないでしょう。

逆に、開封をためらう差出人(送信者)名はどれでしょうか。

「info」は、いかにも怪しそうな差出人(送信者)名ですね。「TC」や「machida」も、初めて見る差出人(送信者)名であれば、開封するのはためらわれます。「yoshida@example.co.jp」や「t-saito@example2.co.jp」は、メールアドレスに見覚えがなければ、一体誰かと不安に思うでしょう。「加藤」という名字だけの差出人(送信者)名も、果たして自分の知り合いなのか、すぐには判断がつきません。

お分かりでしょうか。受信者が「このメールは開封しても大丈夫」という判断材料にしているのは、「差出人(送信者)」の表記のしかたなのです。

手紙を例に考えてみましょう。差出人(送信者)として住所だけが書かれていても、一体誰がその手紙を出したのかは、すぐには分かりません。よほどのことがない限り、相手の住所を逐一記憶している人はいないからです。

メールも同じです。受信者はあなたのメールアドレスを正確に覚えているとは限りません。受信者に安心してあなたのメールを開いてもらうためには、「差出人(送信者)」の「アドレス(住所)」ではなく「名前」が必要なのです。

「差出人(送信者)」は「どこの誰か」が分かるような書き方を!

上記で見た「安心して開封できる」メールの差出人(送信者)名に共通しているのは、「どこの誰か」が一目で分かる表記になっているという点です。

例えば「田中佳子(セーナデザイン)」は、差出人(送信者)の名前と所属会社がすぐに分かります。「ENG企画 関野研一」もそうですね。このように、「名前」と「所属会社名」を併せた表記をすることで、受信者に安心して開封してもらえるようになります。

「差出人(送信者)」に書く名前の表記はフルネームがよいでしょう。日本ではビジネス上では姓で呼び合うことが多いと思いますが、やはり名乗りとしては、フルネーム表記が丁寧な印象を与えるのでふさわしいといえます。同姓の人との取り違えを防ぐこともできます。

また、差出人(送信者)表記は、ローマ字ではなく日本語で設定するほうがよいでしょう。ローマ字表記の差出人(送信者)名は、海外からの迷惑メールと勘違いされる可能性があり、開封されず削除されてしまう危険もあるからです。

差出人(送信者)名は、お使いのメールソフトによって異なりますが、「環境設定」や「メールアカウント設定」などから簡単に変えることができます。まだメールアドレス表記のままメールを送信している方は、さっそく差出人(送信者)名を変えましょう。

設定を変更したら、一度自分自身にメールを送って確認してみましょう。差出人(送信者)名がどのように表記されるか、長さが適当かなどの判断ができます。

差出人(送信者)名の設定を変えられない時は?

勤務先の状況によっては、差出人(送信者)名の表記設定を変更することが禁止されているかもしれません。また、外資系の会社や海外との取引が多い会社などでは、ローマ字での差出人(送信者)表記が義務づけられている場合もあります。日本語だけでなく、英語でメールのやりとりをしている場合もあるでしょう。

そのような場合は、「件名」の中に、「自分がどこの誰であるか」を組み込んで書くようにしてみましょう。上記の図の中にある、差出人(送信者)「Ken Haraguchi(E-Tours)」の件名「お問い合わせありがとうございます(Eツアーズ・原口)」が、その一例です。こうすることで、差出人(送信者)がどこの誰であるかを明確に伝えられます。初めてメールを送るときなどは効果的です。毎回、書く必要はありません。

また、フリーランスでお仕事をなさっている方も、表記に工夫が必要です。フリーランスの方は、ご自身の名前そのものが「仕事の看板」でもあるわけですが、よほど珍しい名前でない限り、同姓同名の人がいるという可能性はぬぐいきれません。

ですので、フリーランスの方は、もし屋号がある場合は、屋号も差出人(送信者)名に入れるとよいでしょう。

「差出人(送信者)」と「件名」は、あなたのメールの第一印象そのものと言っても過言ではありません。受信者が安心してすぐに開封できるような「差出人(送信者)」と「件名」の書き方を、ぜひ身につけて下さい。

次回:正しい「宛名・敬称」の書き方です。

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著者プロフィール

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佐藤 安南

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師 PersonaliTV 映像ディレクター

TV番組取材を通じて数多くの人々とメールを交わしてきた経験から、メール教育の必要性を痛感。現在は認定講師として企業研修などに携わる。親子向けのメール教育にも尽力。

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