人口出生率が減少し、少子高齢化を止めることができない日本では、企業における現実的な問題として、外国人労働者を積極的に採用、登用していかなければならない時期が迫っているといわれています。

今回は、外国人を雇用する際の注意点として、特に在留許可の説明をします。

1.パスポートと在留資格

「パスポートを確認すれば日本に在留できるかどうか分かりますか?」

「パスポートを確認することで、最低限、日本に滞在することができるか否かを確認することができます。
そもそもパスポート(旅券)とは、パスポートを発行する国が、その国の国籍を有する者に対し、他国を自由に旅行することができるように発行するものです。
例えば、日本の国籍を有する者には日本国が日本のパスポートを、米国の国籍保有者には米国が米国のパスポートを発行することになります。
これに対し、ビザ(在留資格)は、ある国に入国することを求める外国人に対して、入国を認める側の国が発行するものです。
そのため、日本人が米国へ行くときは、パスポートだけではなく、短期の観光などで行く場合など在留資格が免除される場合は別として、原則として米国政府のビザが必要となるわけです。
なお、このようなビザは、通常の場合、パスポートに貼り付けられたり、印字されたりしますので、パスポートを確認することで、ビザの存在、すなわちその国に在留できるかどうかを確認することができるわけです。
ちなみに、ビザを発行するか否か、すなわち、どの外国人を入国させるかについてはビザを発行する国の主権の話になりますので、その国の広汎な裁量となります」

2.在留資格制度

「日本に在留できるなら雇用しても大丈夫ですか?」

「外国人が日本に入国し在留するためには、前記のとおり、パスポート以外にもビザが原則必要となりますが、ビザは日本に滞在する目的ごとに発行されますので、雇用できるかどうかはその在留資格の種類によります。
平成27年11月現在、出入国管理及び難民認定法(入管法)は、『外交』、『公用』、『芸術』、『留学』など、27種の在留資格を設定しているのですが、日本に滞在する外国人は、日本国から与えられた種類の在留資格以外の活動を行うことはできません。
さらに注意しなければならないのは、入管法は、『働けるか』、『働けないか』という抽象的な在留資格を設けているのではなく、『教育』や『興行』、『医療』といったように、具体的な業務として在留資格を設定しているということです。
例えば、『報道』の在留資格で日本に滞在して報道活動を行っている外国人を、『教育』の在留資格が必要となる教員として雇用することはできませんし、『技能』の在留資格が必要となる料理人として雇用することはできません。
これに違反すると、その外国人は最高で1年以下の懲役刑が科せられたり(入管法73条)、日本からの退去強制に処せられる場合もあります(入管法24条、27条以下)。
さらに、外国人を雇用した人にも、不法就労助長罪として最高で3年以下の懲役刑が科せられる場合があります(入管法73条の2)。
このように、外国人を雇用する際は、その業務を行わせるのに合致した在留資格を保有しているかどうかをしっかりと確認しなければなりません。」


投稿日:2015年11月5日
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  • 筆者プロフィール
山岸 純

山岸 純

弁護士法人ALG&Associates
執行役員・弁護士
早稲田大学卒業、東京弁護士会所属。
東京弁護士会公益通報者保護特別委員会副委員長、東京三会公益通報者保護協議会委員、宮内庁外部通報窓口を務める。
企業法務関連の法律業務、特に特定商取引法、景品表示法、不正競争防止法を得意とし、通販・訪販業界に関する法律業務に広く携わっている。また、企業のインターネットトラブル対策に関連するセミナーや執筆も多数行っている。
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