先日、東京都労働委員会が、フランチャイズ契約を締結する加盟者であるコンビニエンスストアの店主は労働組合法上の「労働者」に該当するという判断を下しました。

そこで、今回は労働組合法の定める「労働者」について、労働基準法との相違点をみながら検討していきます。

1.そもそも「労働者」とは?

「労働者というと、会社からお給料をもらっている人のことだと思っていたんですが、コンビニエンスストアの店長はお給料をもらってコンビニを任されていたんですか?」

「実は、「労働者」という言葉は、法律上異なる意味で使われる場面があるのです。皆さんになじみがあるのは、「労働基準法」が定めている労働者の意味ですね」


「労働者」という言葉は、労働組合法と労働基準法で異なる定義が行われており、それぞれの法律の目的の違いから、「労働者」の範囲が異なるという事態が生じています。
労働組合法における「労働者」とは、賃金が現に支払われていることは必ずしも前提ではなく、労働条件全般について団体交渉を行う地位を与えるべきか否かという点が重要とされています。

2.団体交渉を行う地位を与えるべき地位とは?

「どうして、団体交渉を行うべき地位を与えるか否かで、「労働者」という言葉の範囲が異ならなければならないんでしょうか」

「団体交渉というものは、例えば失業した労働者であっても在籍していた当時の労働条件等について団体交渉を求める場合があったり、業界全体の労働問題を調整するために労働組合と複数の企業が交渉したりすることがあります。
その場合、現在は賃金を得ていない者や、複数の企業のうち一社からは賃金を得ていますが他の企業との関係では賃金が支払われているわけではない人が含まれています」


労働基準法は、今まさに働いている労働者と使用者の間での賃金や労働時間などを規制する法律ですので、労働時間を基準として計算されている賃金が支払われている者であること基準に、「労働者」か否か考えることができます。
しかしながら、労働組合法では、上記のとおり、必ずしも現に賃金を支払われている関係にない場合でも「労働者」として認められることがあります。

「じゃあ、コンビニエンスストアの店主の方達はどうして「労働者」と認められたのですか?」

「実は、過去にもフランチャイズに加盟しているコンビニエンスストアの店主や、交響楽団の演奏家達が労働組合法上の「労働者」と認められた例があります。今回の東京都労働委員会の判断も過去の例を踏まえた内容となっていると言えるでしょう」


実務上は、以下のような要素を主に考慮して、団体交渉できる地位を認めるべき労働者か否かを判断しています。

  1. 企業組織への組み入れの有無
  2. 契約内容の一方的な決定の有無
  3. 報酬の労務対償性の有無
  4. 諾否の自由の有無
  5. 業務遂行への指揮監督の有無
  6. 顕著な事業者性の有無

上記のような要素を総合的に考慮して、契約内容の変更を申し入れるための交渉力を確保したり、一方的に不利益な取り扱いを受けることに対抗したりするために、団体を結成して交渉を求める地位について判断されています。

「労働組合法上の「労働者」と認められた後は、どうなっていくんですか?」

「今回の東京都労働委員会の命令の結果、コンビニエンスストアの本部としては、再契約の可否を決定する具体的な基準について誠実に団体交渉に応じる義務があることになります。しかしながら、東京都労働委員会の命令に不服がある場合は、中央労働委員会に再審査を申し立てられますので、コンビニエンスストアの本部が、再審査手続きを求める可能性が高いと思われます」


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