日本PCサービス株式会社 代表取締役 家喜信行 社長インタビュー|たまごが立たないコロンブスたちへ!

社長インタビュー たまごが立たないコロンブスたちへ!Vol.034

掲載日:2009年4月22日  社長インタビュー一覧
ちょっと頑張れば抜け出せるチャンス
正義感、お客様第一主義がビジネスを動かす原動力
パソコンのトラブルに、24時間365日、電話一本で対応してくれる日本PCサービス。技術力に定評のあるプロのエンジニアが、本当に技術者なのかと驚くほどこざっぱりとしたスーツ姿で出張訪問して、親身に応じてくれる。こう聞けば、類を見ない急成長ぶりにもうなずけるが、ここに至る道のりはけっして平坦なものではなかった。だが、社長の家喜信行はいかなるときにもぶれることなのない信念を貫き、成功を手にした。その信念とは「正義感」「お客様第一主義」だった。
たまごが立たないコロンブスたちへ!とは?

目指せば、社長は誰でもなれる時代…。
でも、社長には、必ず苦難の壁が立ちふさがります。そのような壁を乗り越え、輝く成功をつかみ取った社長たちの物語に、カリスマ顧問の越石一彦が鋭く迫ります。

聞き手 顧問 越石一彦

前回は、サラリーマン時代の苦悩と栄光、そして独立までの道について語っていただきました。今回は会社立ち上げ当時の苦労と成功、そして強い信念をビジネスにどう活かしたのかについて語っていただきます。

問い合わせの電話はたったの3本

――会社を辞めて、すぐにパソコンのコンシェルジュサービスの会社を立ち上げたわけですか?

いえ、最初は違ったことを考えていました。前の会社にいたときのお客様に「何か良いビジネスはないか?」と相談したときに、「パソコンのリサイクルビジネスがかなりうまくいっている。」という話を聞いたのです。車で音楽を流して団地に行って、いらなくなったパソコンを回収し、部品を取り出して組み直し、また団地に売りに行くというものでした。

丁度家庭にブロードバンドが普及しはじめ、「パソコンが一家に一台」の時代が到来すると予感していたので、すぐに始めようと思いました。ところが、やろうとしていた大阪の吹田市では、スピーカーを鳴らして車を走らせるのは条例違反だとわかったのです。
条例に違反したビジネスをやるわけにはいきませんので、これは断念しました。でも、パソコンという切り口は悪くないなと思っていたのです。それで思いついたのが、パソコン版の自動車修理フランチャイズチェーンでした。



――前の会社での事業がイメージにあったのですね。

はい。それでいろいろ調べて、今の形の原型みたいなものができました。当時はこれで完璧だと思っていましたので、早速、店舗を借りて、人を集めて、営業を開始しました。チラシも200万枚くらい刷って宣伝しました。ところがオープンしてみると、200万枚も配ったのに、問い合わせはたったの3本。店舗に来店する人は皆無でした。



――それはきついですね!

本当に、最初の1~2年はきつかったです。毎日、銀行の通帳とにらめっこしていました。いつ資金が尽きるのかと。

前の会社でもらっていた給料と貯金を元手に、すべて自己資金で開業したのですが、あっという間にお金がなくなってしまいました。当然、自分の給料は取れませんし、部長以上は給料遅配とか、そんなこともありました。



――これまでの年収との落差は相当なものだったのでしょうね。

妻には言えませんでした。まあ、わかっていたとは思いますが。その頃、まだ子どもが小さくて、三輪車を欲しそうにしていたのですが、そんなお金があったら会社に入れろという状態でしたから、もちろん買ってあげられません。以前の収入を考えたら「何でこれくらいのものが買ってやれないのか…」と悔しいやら情けないやらで、涙がでてきましたね。事業の目処は立たないし、銀行はお金を貸してくれませんし(笑)。



――事業が上手く行かないときは、なかなか銀行も厳しいですからね。

そうなのです。それで困り果てて、最後の望みで国民生活金融公庫(国金)に行きました。事業計画書を見せて一生懸命に説明しました。本当に必死だったと思います。未だに、残高を見て青くなっている夢を見ますから。

その必死さが通じたのか、たまたま担当の方との巡り会わせが良かったのか、当時、国金は担保なしでは貸さなかったのですが、奇跡的に事業計画書だけで満額まで出していただいたのです。

今その事業計画書を見たら、「よく、これで貸したなあ。」と思うようなものですから、明らかに熱意を加味してもらったのだと思います。あの担当者の方がいなかったら、今の私も会社もないですね。本当に感謝しています。

悪貨は良貨を駆逐する

――何人かの社員さんに辞めてもらうということがあったそうですね。

これは今だからわかるのですが、「今よりも楽になるから」とか、「今が不満だから」みたいな気持ちで、他人の力を当てにして自ら道を切り開こうとしない人がいたらベンチャー企業は会社として成立しません。
「悪貨は良貨を駆逐する」の喩えのとおりで、ネガティブなメンバーがいると、他の社員も同調してしまうということが起こるのです。必死で頑張っている社員がいる横で、まったく危機意識がなく、裏切り行為みたいなことまでしてしまう人たちがいるのは非常に問題でした。

ここでも正義感なのでしょうか。裏切り行為は許せませんでした。それで辞めてもらうことにしたのです。また、会社の業績が上がっていませんから、会社の将来に希望が持てずに自分から辞めていく人もいました。結局、社員の約半分以上が辞めてもらうことになりましたから、かなりの覚悟でしたね。



――そこから会社は変わったんですか。

はい。社員が一丸となって、ひとりひとりが懸命になりました。すると不思議なもので、「生活救急車」のジャパンベストレスキューシステムさんとの提携が決まりました。ちょっと前から営業の方向をパソコン業界から、生活サービスの会社という方に変えていたのですが、それがよかったのです。この提携から、少しずつ業績が伸びていきました。

そして今度は、NHKの「まちかど情報室」という番組で取材されました。これは私のブログをNHKの方がたまたま見たのがきっかけでした。テレビというのはすごいもので、放送後、問い合わせの電話が鳴りっぱなしでした。チラシ200万枚とはえらい違いです。これを契機にいろいろな会社との契約が次々と決まり、やっと軌道に乗せることができました。


自分から動けば、きっと多くの人に認められる

――今後の展開はどのようにお考えですか。

いろいろなサービスを考えてはいるのですが、一番大事にしたいのは、規模の拡大をしてもサービス品質を落とさないことです。人を増やせば、どうしてもサービスのレベルが今よりも落ちがちです。そうならないように、社員教育をしっかりとやっていきたいと思っています。

今は業務の指導や理念教育の前にビジネスマナーから教育しないといけない人も多いようなので、まずはしっかりマナー教育をして、それから業務や弊社の理念について教育をしていきます。お客様の立場に立つことを常に忘れず、これを社員に徹底していきます。
それから、5年以内のIPO(株式上場)を目指しています。サービス品質の安定には、会社の経営の安定も欠かせないと思うからです。また将来的には、日本のサービス業を世界に広げていきたいです。やはり、日本のサービスの品質は世界に誇れるものですから! 既に、ドイツ、韓国、香港などの企業と提携し、これまで培ったノウハウを提供していく予定です。



――お客様第一主義を世界規模で提供するのですね。すごいですね。最後に読者に一言お願いします。

今は不況ですが、このような時こそ、それまでの仕組みが変わる時期だと思うのです。これまで相手にしてくれなかったお客様も注目してくれますし、人材も優秀な人を採用しやすくなります。家賃も下がっていますし、銀行もベンチャーにお金を出してくれるようになりました。

まわりの企業も弱っていますから、ちょっと頑張れば抜け出せるチャンスです。誰でもいじめにあう可能性からは逃れられないように不況からも逃れることはできません。しかし、私が生徒会長になったときのように自分から動けば、きっと多くの人に認められるようになると思います。

KOSHIISHI’S NOTE ~インタビュー後記~

「デジタルとアナログの融合」

パソコンの普及にともない、一般家庭においてもデジタル化の波は押し寄せ、そして定着していきました。非対面の気軽さや便利さは誰しも認めるところですが、私は根っからのアナログ人間のせいか、もう一つ物足りなさを感じていました。そして常々から、この技術にアナログ的な人の心の通い合うサービスが付加できれば本当の意味でのIT化の定着になるのではないかと思っていたのです。

今回の家喜社長のサービスは、まさにこのデジタルとアナログを融合させた素晴らしいサービスであると感じました。

パソコン修理でご自宅に伺い、初対面で部屋の中まで入らせていただくため、いかにお客様の不安を取り除き、確実な技術で業務を遂行できるかを極めたところが、他を圧倒するサービスの違いとなったのでしょう。

訪問する人の身だしなみはもちろん、挨拶の仕方、玄関での靴を揃え方、パソコンのキーボードにまず触れて良いのかの確認など。修理後にいただく代金のおつりの置き方まで、お客様に気持ちよく思っていただくよう義務付けられているのです。

この努力を惜しまずに徹底する家喜社長の姿に感動し、‘顧客第一主義’とは何かを改めて考えさせられたインタビューとなりました。

株式会社クライアントサイド・コンサルティング
代表取締役社長 越石 一彦


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越石 一彦 KOSHIISHI,Kazuhiko
株式会社クライアントサイド・コンサルティング 代表取締役社長
アントレプレナードットコム株式会社 代表取締役会長

 

史上最年少31歳で山一證券池袋支店の課長に就任。メリルリンチ日本証券を経て、株式会社クライアントサイド・コンサルティングを設立、代表取締役に就任。
現在、企業顧問として、現場の直接行動を劇的に変化させる実践論を中心に常時20社以上のベンチャー企業や上場企業の経営を支援。
また、アジア国際支援財団の評議員 議長、函館大学非常勤講師も務める。「ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド」(ゴマブックス)など著書、講演多数。

 

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