日本PCサービス株式会社 代表取締役 家喜信行 社長インタビュー|たまごが立たないコロンブスたちへ!

社長インタビュー たまごが立たないコロンブスたちへ!Vol.033

掲載日:2009年4月15日  社長インタビュー一覧
業界の常識を覆すPCコンシェルジュ 日本PCサービス株式会社 代表取締役 家喜信行
正義感、お客様第一主義がビジネスを動かす原動力
パソコンのトラブルに、24時間365日、電話一本で対応してくれる日本PCサービス。技術力に定評のあるプロのエンジニアが、本当に技術者なのかと驚くほどこざっぱりとしたスーツ姿で出張訪問して、親身に応じてくれる。こう聞けば、類を見ない急成長ぶりにもうなずけるが、ここに至る道のりはけっして平坦なものではなかった。だが、社長の家喜信行はいかなるときにもぶれることなのない信念を貫き、成功を手にした。その信念とは「正義感」「お客様第一主義」だった。
たまごが立たないコロンブスたちへ!とは?

目指せば、社長は誰でもなれる時代…。
でも、社長には、必ず苦難の壁が立ちふさがります。そのような壁を乗り越え、輝く成功をつかみ取った社長たちの物語に、カリスマ顧問の越石一彦が鋭く迫ります。

聞き手 顧問 越石一彦

前回は、家喜社長の意外な過去について語っていただきました。今回は、サラリーマン時代の苦悩と栄光、そしてトップセールスマンの地位を捨てて独立へと向かう道のりについて語っていただきます。

君ならば、新しいのを買ってあげる

――大学卒業後はサラリーマンをされていたんですね。

はい。某ITソフトウェア会社に入りました。ここは自動車のアフターマーケット業界向けのソフトウェアを販売する会社でした。自動車のアフターマーケット業界というのは、自動車の修理とか車検などを請け負う業界です。

入社前に河口湖の合宿所で新人研修がありました。初日の研修が終わって、疲れて寝ていると、夜中の3時にいきなり全員たたき起こされるのです。先輩に「全員集まれ!」とか言われて、わけもわからず並んでいると、「トイレのスリッパが揃っていない!」と怒られました。「なっとらん! たるんどる!」と。

――体育会系の厳しさに通じるところがありますね。

でも、この厳しさは私にはちょっとうれしいものだったのです。ああ、この会社はきっちりしたところなんだと。ここでも正義感が刺激されたのですね。社会人というのはこれが当たり前なんだと思いました。

ところが、実は全然違っていました。研修で厳しくしていた先輩が、帰りのバスの中で常識外れなことをしたり、4月に入って会社に行けば、先輩たちは会社のパソコンでアダルトサイトを見ていたり。

もう会社を辞めようと思いました。こういうのは許せないと思って。「もう辞めます!」という話をしたら、人事の責任者が「いや、それはもったいない。大阪でメンテナンスの人員が足りないからそっちでやってみるのはどうだ?」と言うのです。

私は営業がやりたかったのですが、大阪は地元だったので行きやすかったし、メンテナンスの仕事をやっていくうちに考え方も変わるかもしれないと思い、大阪で働くことになりました。



――大阪は違った環境だったんですか。

いえ、大阪もやっぱり同じでした(笑)。でも、お客様はいい方ばかりでした。私が行くと心からもてなしてくれました。さらに、当時、近畿地方を統括していた部長がとても尊敬できる人で、他の人はダメでもこの人がこう言うならついていって、仕事を頑張ってみようかと思える人でした。
メンテナンスは楽しい仕事なのですが、単調な作業の繰り返しでした。それで「営業をやりたいので営業部門に異動させてください。」とその部長にお願いしたのです。そうしたら「じゃあ、今の仕事をしながら、全国の主任職よりも売ったら営業に変えてあげるよ。」と言われました。

こうなると私のそれまでの経験が強みになったのです。それまでメンテナンスで回っていたので、お客様との絆がしっかりとできていました。「実は今度、これだけ売ったら営業に変えてもらえることになったんです。」と言うと、「おお、君ならば、新しいのを買ってあげてもいいよ。」とか、「そういえば、あそこの誰それが新しいのを買いたいって言っていたから紹介してあげる。」とか、お客様がすごく助けてくれたのです。

しかも、私はそれまでシステムをサポートしていましたから、それぞれのお客様の内情に精通していたのです。「今よりもこうやったら、もっと効率がよくなりますよ!」とお客様の望む提案ができたのです。それで全国の主任よりも数字を上げることができて、営業職に移ることができました。

嘘は嘘でも責任を取れる嘘

――営業に移ってからはトップセールスマンとして、年収数千万円を手にしていたそうですが、それを投げ打って独立しようと思われたのにはいったい何があったのでしょうか?

簡単に言ってしまえば、会社の方針と私の考え方が合わなくなってきたということでしょうか。私は当時、一生懸命に会社のためにもお客様のためにも頑張っていました。そのような中、会社は売り上げを伸ばすために、成績の上がらない営業マンを東京の一箇所に集めて、電話セールスの直販部隊を作ったのです。

当時、会社は自動車修理店のフランチャイズチェーン事業を展開し始めていました。その営業方法は、会社が用意したリストを見ながら、自動車修理店に手当たり次第電話して、加盟店開拓営業をするというものでした。誰でも契約を取れるような「おまけ」まで付けて…。

私たちは自分の担当エリアを決めて営業をしています。担当している地域でどのお店が加盟店になればいいかと考えながら営業しているわけです。地域に密着すると、「あそこの自動車工場さん、そろそろ経営が危ないよ。」といったような情報まで入ってきます。

このようなところは一か八かで加盟店をやろうと思うところも多いので、簡単に契約が取れます。でも、つぶれてしまったら、回収できなくなりますから、我々のような営業は、相手の状況を考えながら提案します。また、半径200m以内に同じような店ができても上手くいくはずがないですから、その辺の事情もわきまえて営業します。



――結局、お互いのためになりませんからね。

その通りです。けれど、電話営業はそんなこと関係なく、リストの上から順番に営業しますから、どこもかしこも加盟店になってしまうわけです。そうすると元々のお客様が「おまえ、あんな危ないところにやらせたんか。」と。「あそこと一緒なんて嫌だから、うちは辞めるわ。」なんていうお客様も出てきます。

さらには会社の方針転換で、お客様に対してこれまでの約束を守ることができなくなってしまいました。



――お客様に対して誠実な対応ができなくなったんですか?

ええ。私は「嘘は絶対にダメだ。」というつもりはないのですが、嘘は嘘でも責任を取れる嘘じゃないとダメだと思うのです。例えば3月から新しいサービスが始まるとして、それを2月に「こういうサービスがあります。」というのは責任が取れる嘘だと思うのです。でも、始まる予定もないサービスなのに「こんなのがありますよ。」というのは許されない。

現場の営業マンを信用して契約してくれたお客様もたくさんいるわけですから、約束を守れなくなると「嘘をついていたのか!」ということになります。それで社長に直談判しました。結局、納得できる答えがもらえなかったので、「だったら、私は辞めます!」ということになりました。

――正義感を貫いたわけですね。

今思うと、小学校時代のいじめ体験と高校時代の生徒会長の体験を経て培われたものに突き動かされたのかもしれません。自分の正義感、倫理観、正しいと思ったことを貫くためには、自分で動いて、自分で作らねばならないということに気がついたのです。


会社のやり方に納得がいかず、正義感を貫き、独立の道を選んだ家喜社長。次回は起業したての頃の苦労と、成功への階段を登る過程を見ていきます。



【次号】第4回:ちょっと頑張れば抜け出せるチャンス


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越石 一彦 KOSHIISHI,Kazuhiko
株式会社クライアントサイド・コンサルティング 代表取締役社長
アントレプレナードットコム株式会社 代表取締役会長

 

史上最年少31歳で山一證券池袋支店の課長に就任。メリルリンチ日本証券を経て、株式会社クライアントサイド・コンサルティングを設立、代表取締役に就任。
現在、企業顧問として、現場の直接行動を劇的に変化させる実践論を中心に常時20社以上のベンチャー企業や上場企業の経営を支援。
また、アジア国際支援財団の評議員 議長、函館大学非常勤講師も務める。「ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド」(ゴマブックス)など著書、講演多数。

 

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