ベルナ・チャイルドサポート代表 辻由香里 社長インタビュー|たまごが立たないコロンブスたちへ!

社長インタビュー たまごが立たないコロンブスたちへ!Vol.023

掲載日:2009年2月4日  社長インタビュー一覧
モンゴルの孤児たちを救う愛の支援者 ベルナ・チャイルドサポート代表 辻由香里
モンゴルの孤児院を支援するボランティアから自らのビジネスの意義を見出す
会社の社長を務めるキレ者の女性、良家で何不自由なく育ったお嬢様。(株)Y’s Cheer Company 代表取締役の辻由香里さんには、傍から見るとそのような印象を受ける。だが、彼女は人生に悩み、ビジネスに悩み、自らの存在意義に悩んでいた。そんな悩みの真っ只中で偶然出会ったモンゴルの孤児たち。親を失い、悲惨な境遇を経てきたにもかかわらず、ひたむきに生きる子どもたちに出会い、彼女は自分の悩みの根源を知ることになる。モンゴルの子どもたちを支援することでわかった本当の豊かさを考えながら、ビジネスをすることの意義、そして人が生きることの意味にまで迫る。
たまごが立たないコロンブスたちへ!とは?

目指せば、社長は誰でもなれる時代…。
でも、社長には、必ず苦難の壁が立ちふさがります。そのような壁を乗り越え、輝く成功をつかみ取った社長たちの物語に、カリスマ顧問の越石一彦が鋭く迫ります。

聞き手 顧問 越石一彦
自分が「売りたい」が先ではダメ

――辻さんは、「(株)Y’s Cheer Company」という会社の代表取締役を務めておられると同時に、「ベルナ・チャイルドサポート」というボランティア団体を組織され、モンゴルにある「太陽の子どもたち」という孤児院の支援を中心としたボランティア活動をされています。両方を含めて、現在の活動について教えてください。

はい。まず、ビジネスのほうですが、「美容と予防医学」をテーマとして、健康食品やサプリメントを取り扱っています。ボランティアのベルナ・チャイルドサポートでは、現在、モンゴルのダルハンという町にある「太陽の子どもたち」という孤児院の支援活動をいくつかの団体と協力しながら行っています。また、昨年の秋からは、国と協力しながら、貧しい子供たちのための「24時間保育園」とダルハン唯一の「障害児保育園」の支援もはじめました。これらの援助に加えて、定期的に現地を訪れて子供たちと交流したり、子供たちの貧しい家庭を訪問したり、現場に触れながら活動方針を決め、様々な活動を行っています。

――ビジネスでは大きく成功されておられますが、ビジネス成功の秘訣は何だと思われますか。

いえ、成功だなんてとてもとても、私がそんな偉そうなことは言えません。ただ、普通の主婦からビジネスを始めた、いわゆるスロースターターだった私の経験が、読者の方に何かのヒントになれば嬉しいです。

私はもともとビジネスの世界とは縁遠いところにいたと思います。もしかしたら、逆にそれがよかったのかもしれませんが、全てにおいて素直に学ぼうという姿勢だけは持っていました。始めたころは、何も上手く行かず、自信を失い、悩むことばかりでした。しかし、思い返してみれば、動きながら学んだあの時期が、メンタルからコミュニケーションスキルまで、今の自分の基礎になっていると思います。



――具体的には、どんな苦労がありましたか。

とにかくはじめは、商品の価値を“伝える”という単純なことが全くできませんでした。普通の話ならしっかり聞いてくれる方も、商品やビジネスの話をすると、何か買わされる話だと誤解され、全く話を聞いてくれませんでした。

やがて気付いたことは、自分の思いばかりが先行してはダメだということ。相手が求めているものが何かを知り、相手の立場に立って、相手のためになるものを提供することが重要だとわかったんです。その結果、相手が喜んでいただいた分だけ、自分のビジネスが拡大していったんです。



――ビジネスとか自己啓発に関する本も熱心にお読みになったそうですね。

最初はもう本当に何もわからなかったし、経験もなかったですから、ビジネスに対する考え方の本を兄から紹介されて読んで、目標達成のための意識付けを高めたりしました。

「おまえは何も知らないから、これを読んで勉強しろ。」なんて言われて、デール・カーネギーの『道は開ける』という本を渡されました。これはマーカーで線を引きながら、何度も読み返しました。

私はもともと落ち込みやすい性格だったのですが、たしかその本の中に「雨が降ったら傘をさせばいいんだ。」とか、「他人に自分の人生の舵を握らせるな。」といったことが書いてあって、そんな言葉のひとつひとつにとても勇気づけられました。また、なかなか結果がでないときでも、「今は世界の大企業となった会社でも、最初のうちは失敗の連続だった。」みたいな言葉を心の支えにして、がんばりましたね(笑)。

それで、胸の辺りに鉄板でも入っているんじゃないかっていうくらい、あるとき、何を言われても、落ち込まない自分がいることに気が付いたんです。その本を教科書にして、日々の現場で体験したことから、「成功するために必要な考え方」を学んだんですね。



――落ち込まなくなってビジネスは変わりましたか。

落ち込まなくなったことで、人と話をする回数も増えたのかもしれませんが、この頃から話を聞いてくださる方が急に増えていった気がします。すると、ビジネスの規模もぐんぐん伸びていきました。

結果が出始めると勢いがつくのか、業績はどんどん伸びて、自分でもびっくりするくらいの収益が出るようになったんです。

きっぱり断られたところこそがいいお客様だ

――辻さんはお父様からもビジネスへの考え方を学んだそうですが、お父様は変わったご経歴をお持ちですよね。

父はもともと岡山の倉敷で銀行員をしていました。母は銀行員だから結婚したという部分もあったようなんですが(笑)、それをすぱっと辞めてしまって、まさに机一つで会社を起こしたんです。工業用品の商社というか、いわゆる総代理店を始めたんです。

近くに水島コンビナートがあって、そうした需要を見込んだのでしょう。でも、ほとんどのお客様がすでに取引先を持っているわけで、そこからなんとかうちと取引してくださいという具合に一軒一軒を営業して回ったそうです。

今でも覚えていますが、父は外回り先のリストに○とか△とか印をつけていました。「きっぱり断られたところは◎。」「あっさりと取引に応じてくれたところは△。」と言っていたんですね。



――断られたのに◎なんですか?

「きっぱり断られたお客様こそが、大切なお客様なんだ。」と。「そこは自分が試されているところだ。」と教えられたのを覚えています。

足しげく通って、やっと玄関まで入れていただき、中の部屋に上げてもらうことができ、お茶が出て、話ができて、そういった段階を踏みながら、自分と商品をしっかりとわかってもらった上で、やっと小さな契約をいただけたなら、そのお客様とは必ず何年も何十年もいい取引が続くと言っていましたね。

逆にあっさり契約をくれた取引先は、無理な値切りを要求してきたり、それができないとわかると、自分がもらえたときと同じようにあっさり他の取引先に乗り換えてしまう。だから△なんだと。

そんなビジネスのセオリーみたいな経験談をよく聞かされて育ちました。「無から有を生み出す。」ということを、親の背中を見て学ぶことができたので、そういうビジネスへの憧れみたいなものは、知らぬ間に芽生えていたんだと思います。

父は自分の夢をどんどんと叶えた人でした。ビジネスが軌道に乗ると、今度は岡山県の県会議員に立候補して当選するんです。県会議員を何年か務めたのち、次には倉敷市長に立候補して当選しました。

当時の倉敷市はまだまだ下水道の普及率が悪かったんですが、それを何%まで改善しますとか、大学をいくつ作りますとか、そうした夢のような公約を掲げて、それを短期間ですべて成し遂げてしまいました。そんな父からの影響は強く受けましたし、本当に尊敬する父でした。



――すばらしいお父様ですね。ご両親の辻さんに対する教育方針などはどんなものだったのでしょうか。

両親はほとんど私に規制をかけるようなことをしない人たちでした。私の好きなことを好きなだけやらせてくれました。大学時代は西洋陶芸にどっぷりはまりまして、もうそればかりしていたくらいなんですが、それが高じて大学卒業後も就職しませんでした。就職したら自分の時間の多くを会社に取られてしまって、陶芸ができなくなってしまうと思ったんですね(笑)。

当時はバブル時代で、友人たちはみんな一流企業に就職していく中で、田舎ですし世間体を気にして当然なのですが、それでも「本気でやってみたい」という私を信じてくれたというか、それを許してくれました。
そして、黙って背中で「成功するというのはこういうことなんだよ。」というのを見せてくれたんです。



――こう言ってはなんですが、幸せなご家庭にお育ちになり、そして幸せなご結婚をされて、お子さんにも恵まれて、ビジネスでも成功されて、幸せの塊みたいじゃないですか。モンゴルの孤児院や保育園を支援するボランティアを始めたのも、そんなご自身の幸せを分けてあげたいという思いからなのですか。

うーん。それが……ちょっと違いますね。もちろん、幸せだと思って生きてきましたが、何かもっと違う……自分の人生にとって大切な何かをずっと探していたんですね。ビジネスで成功しても自分にも分からない何か満たされない思いに気がつき始めていました……。

まさに幸せを絵に描いたような辻さんの人生。しかし、ボランティア活動は「自分の本当の喜び」に気がついて始めたと言います。そのきっかけとはいったい何だったのでしょうか。次回は辻さんが抱えていた悩みとモンゴルの子供たちとの出会いについて語っていただきます。成功の裏に潜む意外な苦悩に注目です。



【次号】第2回:私はいったい何のために、お金を稼いでいるんだろう?


ベルナ・チャイルドサポート代表 辻 由香里

岡山県倉敷市出身。神戸女学院大学卒業。(株)Y's Cheer Company代表取締役。
美容と健康をテーマにした講演活動を全国各地で展開。3年前、モンゴルからの来日コンサートで子供たちと出会い、感動し、彼等を支援する活動に参加。2008年に支援団体「ベルナ・チャイルドサポート」を設立。

 

ベルナ・チャイルドサポート
〒151-0064 東京都渋谷区上原3-18-1-303
TEL : 03-6902-0665 FAX : 03-6804-7811

子供たちへの募金について
http://www.berunachild-support.org/

越石 一彦 KOSHIISHI,Kazuhiko
株式会社クライアントサイド・コンサルティング 代表取締役社長
アントレプレナードットコム株式会社 代表取締役会長

 

史上最年少31歳で山一證券池袋支店の課長に就任。メリルリンチ日本証券を経て、株式会社クライアントサイド・コンサルティングを設立、代表取締役に就任。
現在、企業顧問として、現場の直接行動を劇的に変化させる実践論を中心に常時20社以上のベンチャー企業や上場企業の経営を支援。
また、アジア国際支援財団の評議員 議長、函館大学非常勤講師も務める。「ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド」(ゴマブックス)など著書、講演多数。

 

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