――辻さんは、「(株)Y’s Cheer Company」という会社の代表取締役を務めておられると同時に、「ベルナ・チャイルドサポート」というボランティア団体を組織され、モンゴルにある「太陽の子どもたち」という孤児院の支援を中心としたボランティア活動をされています。両方を含めて、現在の活動について教えてください。
はい。まず、ビジネスのほうですが、「美容と予防医学」をテーマとして、健康食品やサプリメントを取り扱っています。ボランティアのベルナ・チャイルドサポートでは、現在、モンゴルのダルハンという町にある「太陽の子どもたち」という孤児院の支援活動をいくつかの団体と協力しながら行っています。また、昨年の秋からは、国と協力しながら、貧しい子供たちのための「24時間保育園」とダルハン唯一の「障害児保育園」の支援もはじめました。これらの援助に加えて、定期的に現地を訪れて子供たちと交流したり、子供たちの貧しい家庭を訪問したり、現場に触れながら活動方針を決め、様々な活動を行っています。
――ビジネスでは大きく成功されておられますが、ビジネス成功の秘訣は何だと思われますか。
いえ、成功だなんてとてもとても、私がそんな偉そうなことは言えません。ただ、普通の主婦からビジネスを始めた、いわゆるスロースターターだった私の経験が、読者の方に何かのヒントになれば嬉しいです。
私はもともとビジネスの世界とは縁遠いところにいたと思います。もしかしたら、逆にそれがよかったのかもしれませんが、全てにおいて素直に学ぼうという姿勢だけは持っていました。始めたころは、何も上手く行かず、自信を失い、悩むことばかりでした。しかし、思い返してみれば、動きながら学んだあの時期が、メンタルからコミュニケーションスキルまで、今の自分の基礎になっていると思います。
――具体的には、どんな苦労がありましたか。
とにかくはじめは、商品の価値を“伝える”という単純なことが全くできませんでした。普通の話ならしっかり聞いてくれる方も、商品やビジネスの話をすると、何か買わされる話だと誤解され、全く話を聞いてくれませんでした。
やがて気付いたことは、自分の思いばかりが先行してはダメだということ。相手が求めているものが何かを知り、相手の立場に立って、相手のためになるものを提供することが重要だとわかったんです。その結果、相手が喜んでいただいた分だけ、自分のビジネスが拡大していったんです。
――ビジネスとか自己啓発に関する本も熱心にお読みになったそうですね。
最初はもう本当に何もわからなかったし、経験もなかったですから、ビジネスに対する考え方の本を兄から紹介されて読んで、目標達成のための意識付けを高めたりしました。
「おまえは何も知らないから、これを読んで勉強しろ。」なんて言われて、デール・カーネギーの『道は開ける』という本を渡されました。これはマーカーで線を引きながら、何度も読み返しました。
私はもともと落ち込みやすい性格だったのですが、たしかその本の中に「雨が降ったら傘をさせばいいんだ。」とか、「他人に自分の人生の舵を握らせるな。」といったことが書いてあって、そんな言葉のひとつひとつにとても勇気づけられました。また、なかなか結果がでないときでも、「今は世界の大企業となった会社でも、最初のうちは失敗の連続だった。」みたいな言葉を心の支えにして、がんばりましたね(笑)。
それで、胸の辺りに鉄板でも入っているんじゃないかっていうくらい、あるとき、何を言われても、落ち込まない自分がいることに気が付いたんです。その本を教科書にして、日々の現場で体験したことから、「成功するために必要な考え方」を学んだんですね。
――落ち込まなくなってビジネスは変わりましたか。
落ち込まなくなったことで、人と話をする回数も増えたのかもしれませんが、この頃から話を聞いてくださる方が急に増えていった気がします。すると、ビジネスの規模もぐんぐん伸びていきました。
結果が出始めると勢いがつくのか、業績はどんどん伸びて、自分でもびっくりするくらいの収益が出るようになったんです。



父はもともと岡山の倉敷で銀行員をしていました。母は銀行員だから結婚したという部分もあったようなんですが(笑)、それをすぱっと辞めてしまって、まさに机一つで会社を起こしたんです。工業用品の商社というか、いわゆる総代理店を始めたんです。
両親はほとんど私に規制をかけるようなことをしない人たちでした。私の好きなことを好きなだけやらせてくれました。大学時代は西洋陶芸にどっぷりはまりまして、もうそればかりしていたくらいなんですが、それが高じて大学卒業後も就職しませんでした。就職したら自分の時間の多くを会社に取られてしまって、陶芸ができなくなってしまうと思ったんですね(笑)。



