「赤字に転落した業績の回復をお願いしたい」。
建設会社A社の社長から相談があったのは、2年前のことだった。
A社は、個人向け住宅がメインで、ここ数年の年商は24億円前後。
当期利益は、3年前は1400万円増だったが、翌年に300万円減になり、ついには4000万円減と失速してしまった。
このままでは1.2年で破綻してしまう状況だった。
あらゆる業種に共通することだが、業績アップの法則は、(1)価格競争とは違う土俵で戦う戦略(2)それを実行するための業務改善と組織変革の戦略を策定し、実行することだと確信している。
多くの中小建設会社を業績アップさせることは、さほど難しくない。
なぜなら、企業革新が進んでいないので、一定レベルの戦略を実行すれば、すぐに成果が出る状態にあるからだ。
さっそく、業績アップコンサルティングを開始。
まず、工期の短縮による利益創出からはじめた。
そのために工程表を再作成し、すべての外注先や資材納入業者を一堂に集め、工程表の意味とそれによる関係者の利益を説明し、協力を要請して工事を開始した。
結果、2カ月で工事が完了。
もちろん手抜き工事はなく、竣工検査でも何の問題もないという完成度だった。
おかげで大幅な工期短縮が実現した。
これにより元請けはもちろん、下請けや資材業者にも利益がでるようになった。
この手法の実践により、年間で約4億円の利益が見込めるように。
ただ、この予想は、あくまでも工期が短縮されたことにより、空いた時間を使って新たな工事を受注して、はじめて生まれる利益。
したがって、予想利益分を顧客に還元することに。
この発想の転換が新しい顧客を開拓する。
そのために、この会社が行った営業戦略は、顧客に対する従来の請負額の10%を(1)値引く(2)より上位の設備にグレードアップする(3)外構工事を無料で行う(通常は別工事)(4)家具、電化製品などを竣工祝いとしてプレゼントする(5)引っ越し費用に当てる(6)これに残金が生じた場合は、顧客の希望を聞いて(1)から(5)を組み合わせたものを提供するといったものだった。
これによりA社は競争に勝てる営業力を持つことに成功し、価格競争とは無縁に業績を伸ばすことができた。
翌年度の売上は34億円(利益8000万)となり、さらに直近の売上は45億円(利益5億円)と業績はV字回復をはたした。
今の建設業界は、半端な経営改善で生き残れるほど甘くはない。
従来の常識や既成概念にとらわれず「新しい価値を創造し提供する」、そのような企業への変身が求められている。
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