売掛金や受取手形は、得意先に対する貸付金と同様であるという認識を営業マンにもってもらうことがまず必要でしょう。
不良債権をなくすための最良の方法は、その発生を未然に防止することです。得意先の倒産の予兆を早期に発見することも営業マンの仕事です。得意先の営業状況を実際に目で確認し、たとえば次のような変化があれば、すぐ報告するようにしましょう。
①入金が遅れがちになった
②入金が一部になってきた
③手形回収が多くなってきた
④手形サイトが長くなってきた
⑤在庫がたまるようになった
⑥活気が感じられない
⑦整理整頓がされていない
⑧取引金融機関を変更した
⑨社員の入れ替わりが多い など
与信限度とは、得意先ごとに信用の度合いを決定することです。具体的には、売掛金の上限金額を決めることをいいます。つまり、これ以上追加で掛売りしてはいけないという限界金額です。
与信限度を設定する場合は、次の事項に留意しましょう。
・ |
相手先が重要資産をどの程度もっているか、その重要資産について抵当権を設定する枠があるかどうかを確認する。 |
・ |
自社の売上げ(売掛金でもよい)に対する占有率はどれくらいか。 |
・ |
手形サイトが長くなるなど支払条件が悪化する場合には与信限度額を見直す。 |
与信限度があまりにも少額になる場合には、担保提供や保証金の支払い、個人保証の取りつけなどを求めるべきでしょう。
得意先別管理台帳は作成されていると思いますが、状況をすべて頭の中に記憶することはできません。完全に把握しているつもりであっても、漏れが発生するものです。
そこで、得意先ごとの売掛金の状況が一覧できるような一覧表を作成しましょう。作成してみると、「そういえばあの取引先の回収がまだだった」というところが見つかるかもしれません。もしかしたら、請求もれがあったということも判明するかもしれません。
この得意先別の「売掛金一覧表」は、ただ回収状況の管理に使うだけでなく資金予定を立てるにも重要な資料となります。経理担当者と数字を確認して、正確な一覧表を作成しましょう。
もし、得意先に回収の遅延しているところがあれば、すぐに対策を打つ必要があります。それには、作成した売掛金管理表のなかから、回収が遅延している得意先をすべて抜き出すことが必要です。その際には、いつからの売掛金が遅延しているのかといった情報や、手形未決済残高の情報も付加します。そうすることで、遅延得意先一覧表の中でも、問題の大きな得意先と少ない得意先に分類することができます。
遅延得意先の抜き出しが終わったら、次に得意先ごとに「売掛金回収状況報告書」を作成して上司に報告します。遅延金額情報だけでなく、なぜ遅れているのかといった情報を追加して、今後の対策の参考にします。
「売掛金回収状況報告書」にもとづき、具体的な回収方法を検討します。特に入金が遅延している理由が重要です。単に忘れているものや処理上のミスによるものは、取引先に連絡する程度の対応でも十分ですが、クレームなどで相手に支払い意思がない場合には、早急に取引先と話し合いを持ち、解決策をさぐる必要があります。業績悪化などによる場合は、数か月以内の一時的なものなのか、長期的なものなのかに応じて対応しなくてはなりません。状況によっては社長個人保証を求めることも検討すべきでしょう。もし破たん状況にある場合は、特に早急な対策が必要になります。弁護士などの専門家の協力を得ることをおすすめします。