< 某作家の場合 >
作家と聞くと、一日中家にこもっては、ひたすら原稿を書いている・・・
そんなイメージがあるが、現実はちょっと違う。
「私もそうですし他の先生方の話を聞いても、大事にしているのは
やはり『取材』です。フィクション、ノンフィクションにせよ、
結局は現実世界で起きた事や、それと隣り合わせの事象から作品は
生まれるので、取材に割く時間・お金・労力が7~8割と言っても
過言ではありません。」
例えば推理小説。
「●●特急殺人事件」などの作品は、実際に自分が乗車した上で、
そこから見える風景、下車駅の景色、沿線の街並みなど、
相当に濃い取材をしなければ成立しないのは、
作品を一読すれば誰でも分かるハズ。
1度ならまだしも2・3度乗車し、途中下車しては乗り、
また途中下車しては乗りと・・・アイディアが思い浮かぶまで途方も無い
作業を繰り返していくわけだ。
「ですから、1日平均の労働時間と言っても、正直ピンときません。
趣味と言えば趣味ですし、仕事と言えば仕事です。
実は前職は、某出版社の編集部員なのですが、その時代に比べれば
精神的には楽なのが事実です。
Aさんの場合、それなりのコネクションがあったことで、
処女作はすんなり世に出たものの、2作目以降はなかなか部数が伸びず、
作品の題材やタッチを含め、大幅な軌道修正に迫られているという。
では、ズバリ年収伺います!
「年によって開きはありますが、おおよそ600万円くらいです。
ギャラの相場は400字詰め原稿用紙で、1枚あたり3000円から
5000円と言ったところです。
もちろん、出版社やネームによって更に前後はしますが・・・。
あと誤解しがちなのが、印税は「売れた数」ではなく、
あくまで「刷られた数」で決まり、その約5~10%が作家の手元に
入ります。」
同年代のサラリーマンより確かに年収は低いが、それでもAさんが
作家を続けている理由は、お金だけではなく常に「何かを発していたい」
欲求だと言う。
また、例え70歳・80歳になっても、気力さえあれば作家は続けられる。
そして年齢を増すごとに文章に深みが出る・・・。
そんな悦びを得るために、Aさんは今夜も取材に出かける。